2025.6.9

しめじの栄養

しめじの栄養を徹底解説:成分表から食べ方・加熱・冷凍までやさしく紹介

日本の食卓で親しまれるしめじは、100gあたり18kcalの低カロリーでありながら、豊富なビタミンB群やミネラル、食物繊維を含みます。栄養成分の特徴や品種ごとの違い、加熱や冷凍による栄養素の変化など、しめじの栄養を最大限に活かす方法をわかりやすく紹介しています。

しめじの栄養を徹底解説:成分表から食べ方・加熱・冷凍までやさしく紹介

しめじの主な栄養素とは?

しめじの栄養成分表(可食部100gあたり)

しめじは、日本の食卓でもなじみ深いきのこの一種であり、その見た目や食感だけでなく、栄養価にも注目されています。特に市販されているぶなしめじは人工栽培が進んでおり、安定した品質と価格で手に入りやすいのが特徴です。しめじは水分が多く含まれており、100gあたりのエネルギーは18kcalと非常に低カロリーです。そのため、料理のかさ増しや副菜の素材としても使いやすく、日常の食事に取り入れやすい食材といえます。

日本食品標準成分表(八訂)によると、ぶなしめじ100gあたりには、たんぱく質が2.7g、脂質が0.3g、炭水化物が5.0g含まれています。このうち糖質はわずかで、3.7gが食物繊維となっています。また、ナトリウムはほとんど含まれておらず、塩分摂取を控えたい人にとっても安心です。ミネラルではカリウムが340mgと比較的多く、その他にもリン86mg、マグネシウム12mg、鉄0.3mg、亜鉛0.5mgが含まれています。ビタミンでは、ビタミンB1が0.09mg、ビタミンB2が0.17mg、ナイアシンが6.6mgと、きのこ類全般に多いビタミンB群が特徴的です。

このように、しめじは一見地味に見える食材ながら、多様な微量栄養素を含んでいます。特にナイアシンの含有量は他の野菜類と比較しても高く、食材としての実用性を支えています。ビタミンDは0.3μgとわずかですが、きのこは日光にあたることでビタミンDの量が増える性質があるため、乾燥させたしめじなどを用いればさらに補うことが可能です。

5大栄養素におけるしめじの位置づけ

5大栄養素は、炭水化物・たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラルに分類されますが、しめじはこのうち主にビタミンとミネラルの供給源として扱われます。加えて、厳密には5大栄養素には含まれませんが、食物繊維も非常に重要な成分のひとつであり、しめじはこれを豊富に含んでいます。100gあたりの食物繊維が3.7gというのは、野菜類と比較しても高い数値であり、きのこ類全体の特徴でもあります。

炭水化物に関しては、ご飯やパンのように糖質が主体の食品と比べて少なく、しめじの炭水化物の大部分が不溶性食物繊維です。脂質は0.3gとごくわずかで、エネルギー源としての役割はほとんどありません。たんぱく質は2.7gと野菜類よりはやや多いものの、植物性であり、肉や魚などに比べれば主たる供給源とはなりません。

しめじの特筆すべき点は、微量栄養素のバランスです。特にナイアシンやビタミンB2、カリウムといった成分を比較的多く含むことから、調理の工夫次第で栄養補給の一助となる食材といえるでしょう。調理による栄養素の損失も比較的少なく、味噌汁、炒め物、煮物などさまざまな料理に使える点も魅力です。

栄養素 量(100gあたり) 特徴
炭水化物 およそ3.7g(主に不溶性食物繊維) ご飯やパンの糖質と比べて少ない
たんぱく質 2.7g 野菜より多いが植物性で主たる供給源ではない
脂質 0.3g 非常に少なく、エネルギー源としてはほとんど役割なし
ビタミン ナイアシン、ビタミンB2など含む 微量栄養素のバランスが良い
ミネラル カリウムなど含む 調理による損失が少なく、多様な料理で活用可能
食物繊維 3.7g 野菜類と比較しても高い値、きのこ類の特徴

ぶなしめじ・本しめじ・白しめじの栄養比較

しめじには複数の種類がありますが、最も流通量が多いのが「ぶなしめじ」です。スーパーなどで一般に販売されているしめじは、ほとんどがこの品種であり、人工栽培により安定した品質と価格を保っています。「本しめじ」はかつて天然ものが高級品とされていましたが、近年では人工栽培も行われています。「白しめじ」はぶなしめじの白色変異種であり、色以外の性質はほぼ同じとされています。

栄養成分については、文献上、ぶなしめじと本しめじに大きな違いはなく、いずれも低カロリーで食物繊維が豊富な点が共通しています。たとえば、本しめじも100gあたりのエネルギーは18kcal前後で、ビタミンB群やミネラルも同様の量を含んでいます。白しめじに関しても、栄養価に目立った違いは報告されていません。

ただし、品種によって風味や歯ごたえに若干の違いがあるため、料理に応じて使い分けることができます。たとえば、ぶなしめじはクセが少なく、炒め物や汁物に適しており、本しめじはよりしっかりとした食感を活かして焼き物や蒸し料理に向いています。栄養面では大きな差がないため、好みや料理の内容に応じて選ぶとよいでしょう。

しめじとしめじを使った料理の栄養

ここでは、しめじおよび本しめじを使った様々な料理の栄養成分についてまとめました。料理ごとの量や重量、エネルギー量を一覧にしているため、食事の計画や栄養管理に役立ててください。

料理名 重さ(g) エネルギー(kcal)
しめじ<栄養 >90g9023
本しめじ<栄養 >240g24050
しめじご飯<栄養 >152g152228
しめじの天ぷら<栄養 >9.9g9.919
しめじのバター炒め<栄養 >59g59140
小松菜としめじのおひたし<栄養 >158g15828
しめじと油揚げの炒め物<栄養 >171g171214
しめじとピーマンの卵炒め<栄養 >154.3g154.3120
しめじのポン酢炒め<栄養 >242g242394
小松菜としめじの炒め物<栄養 >139g13965
しめじのバター醤油炒め<栄養 >121g121108
ぶなしめじと玉ねぎの卵とじ<栄養 >227g227261
しめじの味噌汁<栄養 >226g22659
しめじとわかめの味噌汁<栄養 >198g19844
しめじとにんにくの牛脂スープ<栄養 >235g23538
ほうれん草としめじのソテー<栄養 >160.2g160.2101

しめじに含まれる注目成分とその特徴

ビタミンB群とミネラルのバランス

しめじに含まれる栄養素の中でも、特に注目されるのがビタミンB群とミネラル類です。ビタミンB群は水溶性ビタミンで、しめじにはB1、B2、ナイアシン、パントテン酸、葉酸などがバランスよく含まれています。これらはそれぞれ異なる働きを持ち、野菜や動物性食品では偏りがちになることもあるため、きのこ類を食事に取り入れることで、栄養の幅を広げることができます。たとえば、ナイアシンは100g中6.6mg含まれており、これはきのこ類全体の中でも比較的高い数値です。

また、ミネラルではカリウムが豊富で、ぶなしめじ100gあたり340mgが含まれています。カリウムは野菜や果物に多く含まれていますが、きのこ類もその供給源となることがわかります。その他にも、リンやマグネシウム、亜鉛、鉄などの微量ミネラルも少量ながら含まれており、特定の栄養素に偏らない、全体的にバランスの取れた栄養構成となっています。ビタミンとミネラルをまとめて摂取できる点も、しめじをはじめとするきのこ類の魅力のひとつです。

食物繊維の豊富さと分類

しめじには、炭水化物の一部として「食物繊維」が多く含まれており、その量は100g中3.7gとされています。これは生の状態での数値であり、調理して水分が減ると割合はさらに高まります。食物繊維は、人の消化酵素では分解されない成分であり、栄養素としては分類されないものの、食生活の中で重要な役割を担っています。特にしめじに含まれる食物繊維はその大半が不溶性で、きのこ独特の歯ごたえにも関係しています。

食物繊維には「水溶性」と「不溶性」の2種類があり、しめじは不溶性食物繊維を多く含む点が特徴です。これはしめじの繊維質な構造に由来しており、加熱してもある程度の歯ごたえが残る理由にもなっています。不溶性食物繊維は多くの場合、野菜の皮や根菜類などに含まれるため、しめじはこうした成分を補う素材としても使いやすいといえます。また、水溶性食物繊維も微量ながら含まれており、食事全体のバランスを考える上で役立ちます。

話題の「オルニチン」は含まれている?

近年、「オルニチン」という成分が注目されていますが、この成分が含まれているのは主にしじみなどの貝類や一部のきのこ類です。では、しめじにはこのオルニチンが含まれているのでしょうか。結論から言うと、しめじにもオルニチンは微量ながら含まれていることが確認されています。ただし、その量はきのこ類の中では決して多いとはいえず、オルニチンの供給源として意識的に摂取するには不向きです。

しめじの中で、特にぶなしめじには1gあたりに換算して数mg程度のオルニチンが検出されたという報告もありますが、数値としてはエノキタケやヒラタケといった、よりオルニチン含有量が多い種類と比べて控えめです。そのため、しめじを日常的に食べる中で自然とオルニチンを取り入れることは可能ですが、オルニチンそのものを目的としてしめじを選ぶことは、栄養面から見るとあまり合理的とはいえないかもしれません。

しめじの栄養を活かす調理法

加熱による栄養変化とおすすめの火の通し方

しめじに含まれるビタミンB群やカリウム、食物繊維などの栄養素は、加熱によって変化する性質があります。特にビタミンB群やカリウムのような水溶性成分は、調理中の水に溶け出しやすいため、加熱時間や加熱方法に注意が必要です。ただし、しめじの細胞構造は比較的熱に強く、一定時間の加熱でも食感や風味が保たれやすい特徴があります。

炒め物にする際は、強火で短時間、1~2分程度を目安に仕上げるのが適しています。長時間炒めると食感が損なわれ、うま味成分も減少する恐れがあります。煮物や汁物に使う場合は、しめじを後半に加えることで、歯ごたえを残しつつ栄養素の流出を抑えることができます。冷凍したしめじを使う場合でも、解凍せずにそのまま調理に使うことで、成分の損失を少なくできます。

茹でる・焼く・電子レンジ、最も栄養を保つ方法は?

しめじの栄養をできるだけ保持するためには、調理法の選び方が重要です。茹でる調理法では、栄養素の一部が湯に溶け出す傾向があり、水溶性ビタミンやカリウムなどが失われやすくなります。ただし、茹で汁をスープなどに利用することで、流出した成分も摂取できます。

焼く方法は水を使わないため、栄養素の流出が比較的少ないのが特徴です。フライパンやグリルで加熱する際は、強火で短時間に仕上げることで、うま味と食感を引き出すことができます。電子レンジを使う方法は、加熱時間をコントロールしやすく、水をほとんど使わないため、栄養の損失が最も少ない調理法のひとつとされています。600Wで1~1分半程度の加熱で十分です。

調理法 特徴 栄養保持のポイント
茹でる 栄養素の一部が湯に溶け出す(水溶性ビタミンやカリウムが失われやすい) 茹で汁をスープなどに利用することで成分を摂取可能
焼く 水を使わないため栄養素の流出が少ない 強火で短時間に仕上げることで旨味と食感を引き出す
電子レンジ 加熱時間をコントロールしやすく、栄養損失が最も少ない 600Wで1~1分半の加熱が目安

しめじの茹で汁に含まれる栄養とは

しめじを茹でた際に出る茹で汁には、水溶性の栄養素が多く含まれています。代表的な成分として、カリウムやビタミンB群、うま味成分のグアニル酸などがあります。これらは水に溶け出しやすいため、茹でた後にしめじだけを使うと、栄養価が一部減少することになります。

しめじの茹で汁は、スープや煮物に再利用することで、失われた栄養素を無駄なく取り入れることが可能です。特にグアニル酸は、加熱によって引き出されやすく、汁物のベースとしても深いうま味を与えてくれます。食材の旨味を活かした調理を意識すれば、栄養だけでなく味の面でも満足度の高い一品になります。

冷凍しめじの栄養価はどう変わる?

冷凍保存による栄養変化の有無

しめじは冷凍保存することで長期間の保存が可能になりますが、栄養価への影響はごくわずかにとどまります。水溶性ビタミンの一部は冷凍中や解凍時に若干減少することがありますが、全体としては大きな栄養損失は見られません。特に食物繊維やミネラル成分は安定しており、冷凍後もほぼそのまま維持されます。

また、しめじは冷凍によって細胞壁が壊れやすくなり、加熱した際にうま味成分や香りが出やすくなる傾向もあります。食感はやや柔らかくなりますが、調理しやすくなり、調味料のなじみもよくなります。

しめじの冷凍と解凍の正しい手順

しめじを冷凍する際は、石づきを落として小房に分け、洗わずにそのままフリーザーバッグなどに入れて保存するのが基本です。洗ってしまうと水分がつき、霜がつきやすくなるため、風味や食感に影響が出ることがあります。必要に応じて加熱直前に軽く洗う方法もありますが、基本的にはそのままの状態が理想的です。

解凍の際は、常温で戻すのではなく、冷凍のまま加熱調理するのがポイントです。解凍による栄養の流出を防ぎ、時短にもつながります。炒め物や汁物、煮物などに直接投入できるため、日常の調理に取り入れやすい保存方法としても重宝します。

ほかのきのことの栄養比較

えのき・エリンギ・舞茸との違い

しめじは、えのきやエリンギ、舞茸と比較すると、全体的にバランスの良い栄養組成を持っています。えのきは食物繊維が豊富で低カロリーですが、ビタミン類の含有量はやや控えめです。エリンギは食感が特徴的で、ナイアシンやパントテン酸などのビタミンB群がしめじよりも多く含まれる傾向にあります。

一方、舞茸はビタミンDの前駆体であるエルゴステロールを多く含み、紫外線に当てることでビタミンDに変化します。さらに、舞茸には特有の成分であるβ-グルカンが含まれています。しめじはこの中では特にグアニル酸を多く含むため、うま味の点でも際立っており、料理全体の風味を引き立てます。

しめじとしいたけ・なめこの比較

しいたけはしめじと同様に、うま味成分のグアニル酸を豊富に含むきのこです。特に干ししいたけはエルゴチオネインやビタミンDの含有量が高く、調理に使うと香りも強くなります。しめじはしいたけに比べて香りが控えめな分、さまざまな料理に馴染みやすく、使い勝手の良さがあります。

なめこはヌメリ成分が特徴的で、食物繊維の一種であるムチンやペクチンが含まれています。しめじと比べると、栄養バランスではやや特徴が限定されますが、独特の食感が料理に変化を与えてくれます。両者を組み合わせて使うことで、味・栄養・食感の面でより豊かな一品に仕上がります。

しめじとマッシュルーム、どっちが栄養ある?

しめじとマッシュルームは見た目や用途こそ異なるものの、栄養価では共通点と違いがあります。マッシュルームはビタミンDの前駆体を比較的多く含み、日光に当てることでその含有量がさらに増加します。また、ビタミンB2やセレンといったミネラルも豊富です。

一方、しめじは食物繊維とカリウム、ビタミンB群のバランスが良く、グアニル酸の含有量が多いため、うま味が強いのが特徴です。栄養面での優劣というよりも、それぞれに得意とする成分が異なるため、料理や栄養バランスに応じて使い分けるのが効果的です。

栄養を活かした食べ方とレシピ例

栄養士がすすめるしめじレシピ

しめじの栄養を無駄なく摂るためには、加熱調理で失われにくいメニューが効果的です。栄養士の間では、炒め物や蒸し料理としての活用がよくすすめられています。例えば、オリーブオイルやごま油を使ってしめじとほかの野菜を一緒に炒めると、ビタミンB群や食物繊維を効率よく摂取できます。蒸し焼きにすると、うま味を逃さず閉じ込めることができ、調味料も少なめで済みます。

また、ホイル焼きにして魚や鶏肉と合わせると、たんぱく質との組み合わせで食事全体の栄養バランスが整います。しめじはクセが少ないため、和洋中いずれの料理にもなじみやすく、味つけや調理法に自由度が高いのも魅力の一つです。

筋トレ時にも使えるしめじの調理アイデア

しめじは小さく裂ける特性があるため、茹でてやわらかくし、小さく刻んでからおかゆやスープに加えると、自然なうま味が加わり、調味料に頼らずとも味に深みが出ます。繊維質が豊富なので、少量でも満足感が得られるのも特徴です。

筋トレを行っている方にとっても、しめじは食事に取り入れやすい食材です。高たんぱくな鶏むね肉や卵と組み合わせて炒め物にすることで、栄養価の高い一品になります。低カロリーで食物繊維も多いため、食事制限中でも活用しやすいという利点があります。

しめじの味噌汁やスープで栄養を丸ごと

しめじを味噌汁やスープに使うと、うま味成分のグアニル酸がだしの役割を果たし、化学調味料を使わずとも深い味わいに仕上がります。煮込むことでしめじから栄養がスープ全体に溶け出し、汁ごと飲むことで効率よく栄養を摂取できます。

味噌汁の場合、しめじの他に豆腐やわかめを加えると、植物性たんぱく質やミネラルも一緒に摂れ、日々の栄養バランスが向上します。また、洋風スープに使えば、玉ねぎやにんじんなどと組み合わせてポトフやコンソメスープにもアレンジできます。どちらの場合も、できるだけ煮すぎず、しめじの食感を保つようにするのがポイントです。

まとめ|しめじの栄養を日々の食卓に

しめじは低カロリーでありながら、食物繊維やビタミンB群、ミネラルがバランスよく含まれた、非常に使い勝手の良いきのこです。特にうま味成分であるグアニル酸を豊富に含んでいるため、調理の際は出汁の代わりとしても活用でき、料理全体の味を底上げしてくれます。

保存性が高く、冷凍しても栄養価が大きく損なわれないことから、日々の献立に取り入れやすいのも大きなメリットです。しめじを使った炒め物、スープ、ホイル焼きなどのレシピを通じて、無理なく栄養を摂取できる調理法を選ぶことで、毎日の食卓に豊かさと健康をもたらします。