共働きでも家事の負担は妻に多い!まずは現状を把握しよう
外での労働は夫の役割、家事は妻の役割という時代は終わりました。総務省の労働力調査では、1997年以降、専業主婦世帯の数よりも共働き世帯の数が上回っていることが報告されています。そして、その差は徐々に大きくなり、2014年の時点では共働き世帯は約1114万世帯と、専業主婦世帯(約687万世帯)の約2倍になっています(注1)。
共働きでも妻の家事・育児時間が圧倒的に長い現実
労働に対する夫と妻の役割に差が少なくなってきた中、家事に対する意識も変わってきたのでしょうか。平成27年版厚生労働白書によりますと、共働きであっても圧倒的に妻の家事時間や育児時間が長いことが分かります(注2)。
夫の家事 |
夫の育児 |
妻の家事 |
妻の育児 | |
---|---|---|---|---|
末子が0歳 | 28分 | 77分 | 214分 | 343分 |
末子が1~2歳 | 36分 | 46分 | 203分 | 157分 |
末子が3~5歳 | 25分 | 24分 | 225分 | 86分 |
末子が6~8歳 | 29分 | 8分 | 259分 | 39分 |
※いずれも共働き世帯かつ夫婦と子供のみの世帯。表中の数字は1日当たりの分数。
もちろん、出産を機に労働形態を変える女性は少なくありません。出産前には正規労働者として勤務していた女性が、出産後には派遣社員やパート・アルバイトといった非正規労働の形態で働くようになることも多いです。ですが、子供が8歳以下の共働き世帯全体を見てみると、夫の家事時間が妻の約10分の1というのはあまりにも少ないと言えるのではないでしょうか。
共働きなのに家事に協力的でない夫!どうすれば生まれ変わらせられる?
妻と同じように正社員として働いていても、会社や通勤にかかる時間がほとんど同じであっても、家事に協力的でない夫もいます。このような夫は、どのように更生させることができるのでしょうか。どのようなアプローチが効果的かは夫によって異なります。夫の性格とも照らし合わせながら、効果的な方法を実施していきましょう。
放っておいても家はキレイになりません。とことん家事を放棄する
シンクの中に食器が溜まっていると「なんとかしなきゃ」と思います。フローリングの上に白いほこりが舞っているのを見ても「なんとかしなきゃ」と思ってしまいます。食器を洗ってさあ寝ようかと思った瞬間、ガスコンロが油で光っていることに気付いてしまうと、寝る時間を削ってでもガスコンロの徹底掃除をしてしまいます。
「なんとかしなきゃ」と頑張ることは、とても素晴らしいことです。ですが、あなたが頑張る分、家がキレイになるだけでなく、あなたの夫はあなたが頑張って当然なのだと思うようになるのです。これが繰り返されると、家がピカピカになっていくのと反比例してあなたの身体と心は蝕まれ、重いストレスとなってあなたにのしかかってくるでしょう。
そうなる前に、対策を打たなくてはなりません。汚れた食器やガスコンロ、ほこりが目に入っても、アクションを起こさずに我慢して下さい。徐々に家は汚れていきますので、夫も何かが違うことに気付き始めます。「なんか最近、家が汚れていない?」と夫が言うタイミングで反撃開始です。家は放っておいてはキレイにならないこと、今まで妻が努力してきたからキレイになったこと、これからは一緒に家事をしていきたいことを論理的かつ冷静に言い聞かせましょう。
わたし疲れました。口数を徐々に減らしていく
「妻はいつでも明るく元気」と思い込んでいる夫に効果的な方法です。徐々に口数を減らし、時には背中をまるめて「ふうっ」とため息をつくなど、疲れている様子をそれとなくアピールしてください。逆効果になる可能性がありますので、決して、「あ~疲れた」「しんどい!」と大げさにアピールしないようにしてください。
いくら鈍感な夫でも、いつでも明るく元気だと思っていた妻の疲労の色が濃いなら、どうかしたのかと尋ねるでしょう。おもむろに口を開き、家事負担が多すぎることや、少しは手伝ってほしいことを悲しい調子で淡々と伝えて下さい。
夫を褒めて「カジメン」「イクメン」に育てる
誰でも褒められるのは嬉しいことですし、褒められると「もっとしよう」という気持ちになることもあります。男性は女性よりも「褒められたい欲求」が高い人が多いです。とことん褒めて家事好き男子に育てていくのはいかがでしょうか。
例えば、たまにご飯を作ってくれたとします。特別おいしくなかったとしても、「わあ、こんな料理初めて食べた!」とか「おいしいねえ、料理得意なんだね」「プロみたい!」と言う風に、少々大げさに褒めましょう。
子どもがいる場合は、「今日はお父さんのご飯が食べたい」と言わせてみたりするのも1つの手です。料理だけでなく後片付けもしてくれたときは、「明日からも頑張ろうって思えるわ。本当にありがとうね」と感謝の言葉を付け加えることも良いかもしれません。
共働きで、なおかつどちらも仕事による拘束時間(個人的な飲み会などは当然除く)が同じ場合、本来ならば家事は平等に分担しなくてはいけません。ですが、なぜか習慣的に妻の家事負担が多い家庭も多いでしょう。
そのような家庭の妻は、「夫も家事をするのは当然なのに、なぜ当然のことをしたからと言ってお礼を言わなくてはいけないの?」と思うかもしれません。確かにそれは正論です。いつもあなたが家事をして夫からお礼を言われているならともかく、普段からお礼も言われていないのに、なぜ夫が当然の家事をしたというだけで「ありがとう」を言わなきゃいけないのでしょうか。
もちろん、あなたには「夫が家事をしてもお礼を言わない」という選択もあります。しかしあなたがお礼を言わない場合は、これからも現在と同じく夫が家事に協力的でない状態が続く可能性も高くなります。
お礼を言わないで協力も得ないのと、お礼(もちろん心から感謝する必要はありません。社交辞令的な感覚、もしくは演技でもかまいません)を言って協力を増やすのと、どちらが良いのかをじっくりと考えてみてください。
荒療治だが効果大?長期不在にして家事の大変さを身を持って教える
突然の用事で1~2週間、家を空けてみましょう。「実家のお父さんの具合が悪いの。行って来るね」「研修が入ったので、○日までには帰ってくる」と、理由は何でも良いので、とにかく家に1~2週間帰らないようにしてみましょう。
もちろん、不在の間に夫が不自由なく暮らせるように、おかずの作り置きをしたり下着や洋服の場所を教えたりするのはアウトです。そんな手伝いをしてしまうと、「なんだ、意外とカンタンじゃん」と思ってしまう可能性があるからです。
家事に協力的でないほとんどの夫は、普段(あなたが家事をしているとき)よりも質素な食事をし、アイロンの当たっていないシャツを着、洗濯物の山とほこりにまみれて暮らすことになります。あなたの突然の不在と言う経験によって、食事も掃除も洗濯も自動的には行われていないことを、身を持って実感するでしょう。
家に帰ってからのアフターフォローを忘れずに
家があまりにも汚れていた場合、例えば玄関にくつは脱ぎっぱなし、洗濯機から洗濯物があふれ、至るところに脱ぎ捨てた服が落ちているといった場合。「一体どうしてこんなことに!」と叫びたい気持ちを抑えて、「家事は毎日しないといけないから、大変なんだよね・・・」とつぶやくように言って、1つ1つの家事を片づけていきましょう。おそらく、夫も家事の大変さやあなたの普段の努力に気付き始めていると思われます。
一方、家が意外とキレイな場合。床も清潔に磨かれ、洗濯物もきちんと畳んで片づけられ、シンクに使用済みの食器もなかった場合は、冷蔵庫の中身を見てみましょう。おそらく、掃除や洗濯をしっかりとするために、食事に手を抜いて、外食もしくはテイクアウトに頼っていたと思われます。「食事を家で作らないのも良いけど、続くとお金がかかるんだよね」と何かの機会があれば言ってみるのもよいでしょう。
共働きなら家事の外注化も検討しよう
フルタイムの仕事をこなし、家事も完ぺきにこなす。もちろんある意味理想の形かもしれませんが、頑張りすぎると身体も気持ちもボロボロになってしまいます。適度に手を抜くところは手を抜いていくのも大切なことです。家事を部分的に外注化してみるのも検討して下さい。
大掃除はハウスクリーニングの専門家に任せる
普段の掃除は自分でするとしても、換気扇の中やエアコンの中の掃除は、1年に1度専門の業者に任せてみるのはいかがでしょうか。どちらもキレイにクリーニングすることで、家の中の空気もキレイになります。また、エアコンの効きが良くなると、電気代を抑えることもできます。
洗面所や浴室、キッチンなどの水回りも1年に1度は専門の業者に任せてみるのが良いです。キレイにしているつもりでもどうしても汚れが溜まってしまいますので、自分で1日かけて磨くよりも、業者に任せる方が効率的です。徹底的に掃除をしてもらうことで、汚れがつきにくくなることも嬉しいポイントです。
食材は宅配してもらえるサービスを活用する
食事は何を作ろうかと考えながらスーパーで買い物するのも、意外と時間がかかる作業です。1週間分の食材とレシピをまとめて送ってくれる業者などを利用すると、食事について考える時間や買い物の時間を短縮することができます。
ワイシャツはクリーニングに任せる
襟やそでのシミ抜きをして、アイロンをかけて・・・と、洗濯物の中でもかなり時間を使うのがワイシャツです。思い切って、ワイシャツはクリーニングに任せてしまうのはいかがでしょうか。ワイシャツなら1枚100円台でクリーニングしてくれる業者も少なくありません。
共働きは効率よく家事をしたい!
掃除も洗濯も料理も、毎日のことですので終わりがありません。今日も頑張って家事を終えたとしても、明日になればまた片づけなくてはいけない家事が生まれてきます。少しでも効率よくすることで、家事にかける時間を減らしていきましょう。1日20分家事時間を短縮するだけで、1ヶ月に10時間もの余裕が生まれます。
動きに無駄がないように家事の動線を再検討する
そんなに広い家でなくても、家具や小物の配置によっては家事をするためにかなりの距離を歩くことになります。例えば、洗濯機の近くに洗濯かごがなかったり、ハンガーや洗濯バサミは離れた場所の押し入れにしまっていたりすると、洗濯をするだけで家の中を行ったり来たりすることになってしまいます。あなたの家事の動線に無駄がないか、再検討してみてください。
冷凍保存を活用し、料理の負担を減らす
もちろん、フライ物はその場で衣を付けると美味しさが際立ちます。ですが、フライ物を作る度に1から作るとなると、時間がかかってしまったり卵液があまってしまったりと非効率です。衣をつけた状態までまとめて作って冷凍保存するのはどうでしょうか。また、他の魚や肉もそのまま冷凍するのではなく、「焼くだけ」「揚げるだけ」の状態にして冷凍するようにしてみるのもいいかもしれません。
家事分担から夫婦不和になることも・・・
家事に時間がかかると、徐々に生活が苦しいものになってしまいます。毎日ただノルマをこなすためだけに生きているような錯覚におそわれてしまいますし、時間がなくなると心にも余裕がなくなりますので、ちょっとしたことでも夫に当たってしまったり、会話をすることすら面倒になってしまったりするようになります。家事の負担がちょっとだけ辛いことから始まって、一緒に生活することすらイヤだと思いつめてしまうことだってあり得ます。
夫婦不和になってしまう前に家事の負担を減らす工夫をし、夫にも家事の協力をするように伝えて下さい。「これくらいなら我慢できる」と思っていたのが、いつの間にか我慢できないようになってしまうことも少なくないのです。
共働きの家事は人それぞれ!他の家庭と比べない
ほとんどの共働き家庭の夫は家事に協力的なのに、自分だけどうして家事に協力的でない夫と暮らしているのだろうと思うかもしれません。ですが、ほとんどの家庭ではいまだに夫の家事時間が少なく、家事に非協力的な夫が大半を占めています。「うちの夫は料理をいつもしてくれているのよ~」と友人が言ったとしても、それは友人が料理が苦手で、夫の趣味が料理という場合もあります。また、他の家事についてはわかりません。
人と比べると「どうしてうちだけ・・・」と悲しくなってしまうこともあります。家事のスタイルは人それぞれですので、他の家庭とは比べないようにしてください。比べてもストレスを溜めるだけで、何の解決にもなりません。