共働きの家計管理方法

共働きの家計管理は誰がする?パターン別の引き締め法

共働き世帯では、家計管理は夫婦どちらがすることが良いと言えるのでしょうか。また、家計を引き締める際には、どこに注意をする必要があるのでしょうか。「こんなはずじゃなかった」と後悔しない共働きの家計管理について探っていきます。

共働きの家計管理は誰がする?パターン別の引き締め法

共働きの家計!いい加減な管理では将来が不安すぎる!

いまや、夫婦が共に働いて収入を得る共働きが当たり前になりつつある時代となりました。共働き世帯の家計管理は誰がどのように行うのがいいのでしょうか。

今回は、共働き世帯の家計管理について考えます。お互いに忙しすぎて見て見ないふりをしていると、近い将来、「そんなはずじゃなかった」と後悔することになりかねません。

もしもいい加減にしていたなら、これを機にぜひ改めるようにしましょう。家計の収支を考えることで、将来の人生設計がしやすくなります。無理のない生活設計をするために、ここでそのヒントを探してください。

家計を管理するのは誰?夫婦が別々に管理する家が多い?

共働きの家計は、どのように管理していることが多いのでしょうか。JR東海エージェンシーが共働きの夫婦に調査を実施したところ、専業主婦(主夫)世帯と比べて夫婦別の財布で管理していることが多いことが分かりました(注1)。

世帯タイプと家計管理者

  家計管理は別 妻が家計管理担当 夫が家計管理担当
専業主婦(主夫)世帯 19.1% 52.8% 28.1%
配偶者控除世帯 30.3% 48.6% 21.4%
共働き世帯 44.0% 46.6% 9.4%

家計管理の方法は?家庭としての貯蓄や資産形成はできていますか?

それぞれの買いたいものを思い浮かべる夫婦

SUUMO結婚生活調査によりますと、共働きの人は収入の中から一部を「生活費」として出し合い、残りのお金については配偶者の関与を受けることなく、各自が好きなことに使用する人が多いです。

生活費や夫婦共同で管理しているお金の中から充分な額の貯蓄や資産形成ができていれば将来的な問題は少ないのですが、そうでない場合は将来に不安を感じるのではないでしょうか。

お互いが「妻(夫)がきちんと貯蓄しているだろう」と思っていたら、実は二人とも貯蓄をしていなかった・・・といったことに10年後、20年後に気付くようでは遅すぎるのです(注2)。

各自の家計管理の方法でもっとも近いのはどれですか?

家計管理の方法 割合
共用口座を作成し、一定金額を生活意図して入金。残りの収入は各自で管理。 29.3%
家賃や食費など、項目ごとに支払者を決める。 25.7%
どちらか一方の収入で生活。他方の収入はすべて貯蓄に回す。 19.7%
夫婦どちらもが共用口座に全額入金。夫婦どちらもお小遣い制。 15.0%
家計管理は特に実施していない。 8.0%
その他 2.3%

共働きの家計管理は誰がするのが良い?お互いの収入を教えない夫婦が増加中!

お財布を持つ妻と傍で見つめる夫

夫婦であっても配偶者の収入を把握していないというケースは少なくありません。公益財団法人家計経済研究所の調査によりますと、共働きの子供がいない世帯の場合、収入の詳細を開示している夫は約38%、妻は約25%に過ぎませんでした。同じ共働きであっても子供が生まれると収入開示率は増えますが、それでも正直に開示しない人(特に妻)が多いことが分かります(注3)。

お互いの所得の開示率(夫)

  詳細を開示 おおよそを開示 ほとんど開示していない まったく開示していない
どちらかパートの場合 59.2% 23.0% 6.4% 8.3%
夫婦共に正社員かつ子供がいる場合 50.4% 27.8% 6.6% 13.2%
夫婦共に正社員かつ子供がいない場合 38.2% 31.7% 9.2% 14.8%

お互いの所得の開示率(妻)

  詳細を開示 おおよそを開示 ほとんど開示していない まったく開示していない
どちらかパートの場合 30.8% 37.1% 12.8% 19.4%
夫婦共に正社員かつ子供がいる場合 35.5% 34.9% 11.2% 18.5%
夫婦共に正社員かつ子供がいない場合 24.8% 44.3% 12.9% 18.1%

注:家計経済研究所のオリジナルデータでは、所得層を大きく2つに分け、高所得層の開示率と低所得層の開示率として別々に提示しているが、この図表では便宜的にそれぞれの開示率の平均値を示している。また、「開示方法が分からない」と答えた人もいるため、総和が100%にならないこともある。

相手をあてにするのはNG!突然の経済危機に備えて共働き家庭も家計を知っておく

もちろん、それぞれの家庭のスタイルがありますので、収入をすべて配偶者に知らせなければいけないということはありません。ですが、おおよその収入を把握しておくことや、将来や万が一のための備えがどの程度あるのかだけは知っておく必要があると言えるでしょう。

専業主婦世帯よりも共働き世帯の方が世帯収入はどうしても大きくなりますが、家庭の経済危機を迎える確率は、専業主婦世帯よりも共働き世帯の方が高いとも言われます。

これは、収入が高いためについ家計管理を怠ったりずさんになってしまったりすることや、お互いの収入や貯金を把握していないために、「わたしが貯金しなくても、配偶者はきっと貯めてくれている」と根拠なく楽観視してしまうことから起こると考えられます。共働き世帯において、絶対に把握しておきたいこととして次の事柄が挙げられるでしょう。

ポイント1.貯蓄総額と毎月の貯金額はいくらあるのか?

貯金通帳を開いて見る主婦

家庭においてどの程度の貯蓄があって、毎月いくらずつ貯金しているのかは把握して置く必要があります。現在、貯金ができていない共働き世帯の場合、お互いの収入から家庭生活のために出し合うお金を増やし、貯金目的の共同口座を開設することができるでしょう。

もちろん、夫婦であっても個人的な貯金や資産形成を行うこともできます。例えば、突然離婚することになったときなど、自分名義の貯金や資産があれば心強いです。このような個人名義の貯金や資産は、生活費とは別途資金として分けておきましょう。

ポイント2.保険の種類、支払い金額と保障(補償)額はいくらか?

民間医療保険や生命保険、自動車保険、傷害保険、住居に対する火災保険なども、しっかりと把握して置く必要があります。将来や万が一のために備えることは大切なことですが、たくさんかければかけるほど良いというわけではありません。

例えば民間医療保険や傷害保険は、1つの保険に保険金を請求すると、他社で保険をかけていたとしても重複して受け取ることができないものもあります。このように、「実際には受け取ることができないもの」に毎月数千~数万円かけるのは無駄です。本当に必要な保険だけにかけるようにしてください。

保険の見直しは、さまざまな業者で実施しています。新しく加入する方がお得なものや長い期間かければかけるほどお得なものもあります。また、家族構成や住居形態、勤務形態が変わると、必要な保険も変わって来ます。専門家の意見を取り入れながら、少なくとも2~3年に一度は見直すようにしてください。

ポイント3.ローンや負債、奨学金返済はどの程度あるのか?

今、家庭にどのくらいのローンや負債があるのか把握しておくことも大切です。なかなかお金が貯まらないなあと思っていたら、配偶者に多額の借金があった!なんていうこともあるかもしれません。特に結婚して数年は奨学金を返済しなくてはいけない世帯が多くあります。どのくらいのローンや借金を抱え、いつ返済が終わるのか、しっかりと把握しておきましょう。

ポイント4.住居に対する将来的計画をどのように考えているのか?

建築中の一戸建て住宅

ずっと賃貸住宅に住み続けるのか、それとも住宅を購入するのか、また、どちらかの実家と同居するのかなど、住居に対する将来的な計画も話し合っておく必要があります。住居費は家計の中でも多額を占める項目ですので、住居に対する将来的計画によっては他の費用を削減したりする必要が生じるかもしれません。

ポイント5.子供の教育費に対する将来的計画は?

子供がいる場合は、子供の教育費に対する将来的計画もしっかりと立てておく必要があります。学資保険に加入するのか、幼稚園と小学校・中学校・高校は公立と私立、国立のいずれを希望しているのか、また、大学の学費はどのように支払う予定なのかについての方針を決めておきましょう。例えば、大学の学費の支払い方だけでも次のような方法が考えられます。

想定される大学の学費の支払い方法

  • 大学入学時までに学資保険や定期預金を利用してある程度貯めておく。
  • 教育ローンなどを利用して、入学後に分割して支払っていく。
  • 奨学金を利用して、卒業後に親が分割して支払っていく。
  • 奨学金を利用して、卒業後に子供が分割して支払っていく。
  • 子供が仕事をしながら(もしくは仕事で貯めたお金を利用して)、学費を支払っていく。
  • 祖父母の援助で支払う。

教育費といっても学校関係のお金だけではありません。幼児教室や塾、お稽古ごと、スポーツなどのクラブに入会するなどの費用も考えておかなくてはならないでしょう。子供が興味を持つことや親が子供に習わせたいことすべてに教育費をつぎ込んでいると、次第に家計を圧迫していくようになります。

一番悩む!共働きのお小遣い

住居費や通信費などの固定費、食費などはある程度決まっていますので、額を決めることもそう難しくはありません。ですが、お小遣いについては人によってさまざまです。あまりにも多いのは無駄な出費につながりますが、あまりにも少ないのも生活しづらくなってしまいますので、一概にこうだと決めることは非常に困難です。

財布から万札を取り出すビジネスマン

収入が高い方がお小遣いも多くなる?

JR東海エージェンシーの調査によりますと、専業主婦(主夫)世帯と比べると、共働き世帯の方が夫も妻も自由に使えるお金(お小遣い)の額が大きいことが分かりました。共働きであっても夫の方が収入が多いという家庭が多いですので、自由に使える金額も夫の方が多くなっています。

毎月の自由に使えるお金(お小遣い)

  専業主婦(主夫)世帯 配偶者控除世帯 共働き世帯
40,226円 37,449円 44,343円
21,181円 20,761円 33,499円

お小遣い制度の導入パターン

生活費以外は各自がお金を管理するという家庭では、お小遣いという発想自体がありませんが、収入全てを家庭でまとめて管理している家庭ではお小遣い制が導入されます。JR東海エージェンシーの調査では、共働き世帯では専業主婦世帯よりもお小遣い制が導入されていることが多いことが報告されています。

お小遣い制の導入

  専業主婦(主夫)世帯 配偶者控除世帯 共働き世帯
夫婦共にお小遣い制 21.9% 22.2% 38.9%
夫のみお小遣い制 40.6% 39.1% 24.1%
妻のみお小遣い制 5.2% 3.3% 1.1%
お小遣い制は未導入 32.3% 35.4% 35.9%

無駄な出費を抑えるためにも適性額のお小遣い制を!

収入から生活費を差し引いた額すべてを自由に使ってしまうとすると無計画になりますので、無駄な出費も増え、将来、経済的困難状況に陥る可能性も高くなってしまいます。無駄な出費を抑えるためにも夫婦共にお小遣い制を導入することが勧められるでしょう。また、お小遣いがあまりにも多いと、家計を圧迫してしまいます。ランチがお弁当か外食かも考慮しつつ、適正な金額のお小遣いに設定するようにしてください。

共働きの家計緊縮!どこを減らす?

領収書とお財布

未完済の奨学金や多額の住宅ローン・自動車ローンを抱えている場合、あるいは夫婦どちらかが低収入の職についている場合、家計は厳しくなりますので、支出を抑えていかなくてはいけません。どの項目を見直すことができるでしょうか。

共働きであることそのものがリスクヘッジなはず「保険代」

共働き家庭の場合、妻か夫、どちらかが働けなくなっても、もう一方の収入があるはずです。もちろんパートや非正規などで共働きだけど片方の収入はそう多くないケースもありますので慎重に考えなくてはいけませんが、自分が働けなくなった場合にどの程度の金額があればいいのか考え、多すぎる掛け金を払っていないか確認してみましょう。

利用価値が低い保険に加入している可能性を知りたければ、保険の無料相談などを利用して見直してみることをおすすめします。

共働きではどうしても増えがちな「外食費」

外食費は食費ではなく、レジャー費として考える必要があります。外食が重なることが家計を圧迫しているかもしれません。健康の面から見てもおすすめできる状態ではありませんので、外食を減らすことを検討してみてください。

子供にお金をかけたい気持ちはわかるが予算は無限ではない!「教育費」

他の支出は抑えても、教育費だけは湯水のようにお金をかけるという人も少なくありません。ですが、その教育が本当に子供のためになっているのかは疑問です。子供が熱心に取り組んでいるのかをよく吟味し、本当に将来のためになる、もしくは子供が楽しんで取り組めているものだけにお金をかけるようにしましょう。

固定電話は使ってる?同じ携帯キャリアや格安SIMなどで節約可能「通信費」

利用していないのに家に固定電話を引いている人も少なくありません。1年に1度ファックスを利用するだけなら、コンビニ等でも実施できます。

また、家族で同じ携帯キャリアを利用したり、インターネット回線費と携帯キャリアをセットにしたりすることで、月々の通信費を数千円~数万円抑えることができます。自宅の回線とスマートフォン等のモバイル回線の乗り換えも検討してみましょう。

共働きの家計は無理な計画を立てないで!地道に節約を

家計を引き締め、無駄のない生活を送ることは良いことです。ですが、あまりにも厳しすぎる計画を立ててしまうと、生活そのものを楽しむことができなくなってしまうことがあります。

将来のために貯金をしたり保険をかけたりすることは重要ですが、あくまでも今現在の幸せな生活があった上に成り立つ将来ですので、無理な計画な厳しすぎる予算を立てることはおすすめできません。

地道に1歩ずつ家族のステキな未来に向かって歩くことができるような、無理のない計画を立てていくようにしましょう。もちろん、自分個人の貯金や資産を持つことも重要です。いざというときの心のゆとりにもつながりますので、無理のない範囲で備えておくようにしましょう。