2歳の子どもの偏食について
2歳の子どもが偏食!食わず嫌いや好き嫌いを直す方法
2歳の子どもが偏食をするのは仕方のないことなのでしょうか。また、食わず嫌いや好き嫌いをどのように直せるのか、子どもにどのような食習慣をつけさせていく事ができるのかについても説明します。
2歳の子どもの偏食は普通?成長過程における偏食の理解
何でも「イヤ!」というイヤイヤ期。食事も「イヤ!」の一言でまったく食べなくなってしまったり、気に入ったごくわずかなものしか口にしなくなってしまったりすることがあります。とは言うものの、体の基礎を作る大事な時期ですから、「イヤ!」とは言ってもきちんと栄養のあるものを食べてもらいたいですよね。2歳の子どもの偏食は普通のことなのか、親はどのように子どもの偏食に向き合うことができるのか見ていきましょう。
偏食は味覚が発達してきた証拠
おっぱいやミルクだけで栄養を摂っていたころは、お腹が空いたら泣いて早く飲みたいということを訴え、お腹がいっぱいになったら乳首から口を離して飲むのをやめていましたよね。つまり、おっぱいやミルクが美味しいかどうかではなく、空腹かどうかで食事を決めていたのです。
ですが、離乳食や普通の食事をとるにつれ、味というものは1つではないこと、食感や匂いもさまざまにあることを体験として学習していき、「これは好き」「これは嫌い」と判断できるように成長していきます。
つまり、単に『偏食』というと、好きなものしか食べないことや食に強いこだわりを示すことと言ったネガティブなニュアンスを持ちますが、2歳のころの『偏食』は、味覚や嗅覚、舌の感覚が成長してきた証でもあると言えるのです。子どもがちゃんと成長している証なのですから、親もあまり悩むことはありませんよ。
味覚は変わる!偏食も変わる!
あんなに嫌いなものだったのに、いまや好物の1つになっている食べ物や、反対に、とっても好きでほとんど毎日食べていたお菓子が、いまは受けつけなくなっているということもありますよね。大人でも味覚は変わるのですから、子どもも味覚は確実に変化しますので、今、偏食がひどいからといって、また、食べられるものが少ないからと言って、「大人になって苦労するのでは?」と過剰に心配する必要もないのです。
また、色々な食べ物を経験した大人でも、初めて食べるものには抵抗があったり、すぐには「美味しい」と思えなかったりすることがありますよね。2歳の子供も同じです。食生活が始まったばかりですから、ほとんどの食べ物に慣れていなくて、「これは食べたことがない味」「この匂いは初めて」「こんな噛みごたえは初めて」という感覚が、すべて「これ嫌い!」という感想で表現されてしまうこともあるのです。
親は子どもの偏食を意識しないように心がける!
子どもが「これ嫌い!」と言った食べ物に一つ一つ反応して、「あの子はニンジンが嫌いなんだから、ちゃんと食べさせるように工夫しなくちゃ」と思う必要はありません。なぜなら、そのときは嫌いだったかもしれませんが、本当にニンジンの味や食感、匂いが受けつけずに嫌いだと言ったのではなく、なんとなくその場の雰囲気で「これ嫌い!」と言った可能性もあるからです。
それにもかかわらず、親が一つ一つの子どもの言葉に敏感に反応してしまい、「この前、ニンジン嫌いって言っていたよね。今日は味付けを変えたから○○くんも食べられると思うよ」と子どもに言うなら、「ぼくはニンジンが嫌いなんだ」と自分で自分の好き嫌いを決めつけてしまうことにもなりかねません。
一度の子どもの発言に敏感に反応するのではなく、好き嫌いを軽く受け流して色々な味付けで子どもに豊富な食材を食べさせることで、子どもの味覚はさらに発達していき、好きな食べ物や食べられる食材が増えていくのです。
好き嫌いを直す方法
一度や二度ではなく、いつも同じ食材を嫌いと言う場合は、本当にその味やにおい、食感が嫌いな可能性もあります。そのような好き嫌いはどのように直すことができるでしょうか。
美味しいね!と声掛けする
ある程度、好き嫌いが固定してしまった子どもに対しても、「○○ちゃんはピーマンが嫌いなんだよねえ」と子どもの嗜好を言葉で確認することは勧められません。ピーマンが嫌いということを意識すると、ピーマンを食べることの方が子どもにとっては『事件』になってしまい、そのような無茶なことは止めておこうと、ピーマンを意識的に避けるようになってしまうからです。
例えば、今日の食事の中にピーマンが入っていたとしても、敢えて、「今日はピーマンが入っているよ。でも、味が分からないようになっているから、○○ちゃんでもぜったいに美味しく食べられるよ!」などの声掛けをしてはいけません。子どもがピーマンに対して特別な意識を持たないように配慮しながら、ただ「美味しいねえ!」「これも食べてごらん。本当に美味しいよ!」と、食べ物のおいしさをアピールしましょう。
大人に比べると子どもは雰囲気に流されやすいと言えます。いつもは好き嫌いをして食事の半分以上を残してしまう子どもも、保育園や幼稚園などみんなが残さず食べる環境に身を置くと、自然と全部残さず食べられるようになります。
それと同じく、親がいつも「美味しいねえ!」と声掛けしながら食事やおやつを食べたりする家庭では、子どもも自然と何を食べても「美味しいねえ!」と思ってしまうようになるのです。
気のせいだって!と声掛けする
子どもの月齢が進んで来ると、自分で自分の特徴を意識するようになっていきます。親が「ピーマン嫌いなんだよねえ」と言わなくても、「ぼくはピーマン嫌いだよ!」と自分でアピールするようになることもあります。
ですが、いくらアピールしたとしても、「それは気のせいかもよ。」「たまたま体の調子が悪かったのかもね」と好き嫌いを認めない方向で声を掛けることで、子どもも「もしかしたら今日は美味しく感じられるかも」と自分に期待するようになることがあります。
もちろん、アレルギーを引き起こす食材には配慮をしなくてはなりませんが、子どもにアレルギーがない場合は、積極的に食べられる食材を増やすことが、子どもの食生活を豊かにし、人生を楽しめることにもつながるのです。
アレルギーを引き起こす食材
人によっては、同じものを食べても発疹や咳が出たりすることがあります。また、摂取量や体調によっては意識を失ったり血圧低下によるショック状態に陥ったりといった重篤なアレルギー反応を起こすことがあります。正確な人口は把握できていませんが、全体の約1~2%の人に何らかの食品アレルギーがあると見られています。厚生労働省でアレルギーを引き起こす食材として紹介されているのは次の25品目です。(注1)
食品アレルギーを引き起こす可能性がある食材
・発症件数が多いもの:卵・乳・小麦・えび・かに
・症状が重篤化しやすいもの:そば・落花生
・過去に一定の頻度で症例が報告されたもの:あわび・いか・いくら・オレンジ・キウイフルーツ・牛肉・くるみ・さけ・さば・大豆・鶏肉・バナナ・豚肉・まつたけ・もも・やまいも・りんご・ゼラチン
嬉しい!と声掛けする
食事を食べることも喜びですが、愛する人に美味しい食事を作ることも大きな喜びです。「○○くんはなんでも美味しいって食べてくれるから、お母さんは嬉しいわ!」とか「美味しそうに食べてくれると、お父さんも嬉しくなるよ!」と子どもに声掛けすることで、食べることの喜びだけでなく、食べさせることの喜びを表現することができます。
楽しい食事を心がける
食事が楽しいと、ついいつもよりも食べる量が増えたりすることが大人でもありますよね。子どもも同じです。食事が楽しいと、ついつい色々なものを美味しく感じ、いつもよりも食べる量が増えたりすることがあるのです。
朝、お弁当づくりや出勤準備に追われて子どもと一緒に食事をすることができないとき、子どもはどれくらいの量を残さず食べますか?週末など時間がたっぷりあるときに、おじいちゃんやおばあちゃんなどに囲まれて楽しくにぎやかに食べるときの量と比べて少ないのではないでしょうか。
子どもがいつもしっかりとたくさん食べられるように楽しい雰囲気を作ることも、好き嫌いを直すためには大事なことなのです。毎朝、忙しくてどうしても子どもと一緒に食事をすることができない場合でも、夜はにぎやかに食べたり、週末は時間を掛けてゆっくりと楽しみながら食事をしたりすることができるでしょう。
食わず嫌いを直す方法
食べたことがないものなのに「これ嫌い!」と口にすらしないことがありますよね。このような食わず嫌いはどのように直すことができるでしょうか。
見た目を変える
毎日キャラ弁を作るのは大変なことですよね。ですが、子どもは食べ物を見た目で判断していることが結構ありますので、見た目を楽しいものに変えるだけで、食わず嫌いだったものを食べるようになることがあります。ゴマや海苔などでお絵かきしたりして、食わず嫌いの食べ物の印象を変えるのはいかがでしょうか。
また、色や形が食わず嫌いの原因になっていることもあります。例えば、ピーマンならあの鮮やかなグリーンが苦手要素となっているかもしれません。ハンバーグやコロッケの中に入れてしまったり色が分からないように調理したりして、「嫌いなはずのピーマンを食べることができた!」という実績を作っていくことができるでしょう。
匂いを変える
子どもの嫌いな食材というと、ピーマンやなす、ニンジンなどの匂いが強いものがよく挙げられます。子どもは本能的に匂いで安全な食べ物かどうかを判断していますので、匂いがあまりにも強いと「危険なのかも!」と判断し、口に入れたこともないのに「これは嫌い!」と受けつけなくなることがあるのです。
ニンジンやピーマン、なすなどの食材の匂いは、調理によっては消すことができますよね。もちろん、味付けを濃くすると塩分過多・砂糖分過多になる可能性があり、健康には良いことではありませんので、調味料を増やすこと以外の方法で匂いを消していかなくてはなりません。
例えば、ピーマンの独特のにおいは、熱湯でさっと湯通しするだけでかなり抑えることができます。また、ごま油などの香りの強い油で炒めても、においを抑えることが可能です。ニンジンのにおいも、同様に香りのついた油で炒めたり、調理後にさっと醤油をまわしてかけたりするだけでも抑えることができますよ。
美味しく食べている姿を見せる
食わず嫌いのものがあると、「どうして食べないの?」「まずはちゃんと食べてみて!」とついついお説教してしまいますよね。すると、子どもは「ちょっとくらいなら食べても良いかも」と思っていても、なかなか言い出すきっかけをつかむことができずに、「絶対に食べない!」と頑固に主張してしまうことになるのです。
ですから、子どもが「これは食べない」と言っても、過剰に反応するのではなく、「あ、そう。」と軽く流して、お母さんやお父さんは「美味しいわ」「今日の○○。特に美味しく出来ているよね!」と食事を楽しんでみるのはいかがでしょうか。すると、子どもも自分も食べたいという好奇心に逆らえないようになり、「本当に美味しいの?」と手が出て食べるようになるかもしれません。
食べず嫌いのものをお弁当に詰める
「お弁当には子どもが好きなものを入れたい」と考えてしまうかもしれませんが、反対に、食わず嫌いのものや苦手なものを敢えて入れるという方法もあります。
もちろん、子どもがお弁当嫌いになってしまっては困りますので、好きなおかずを一杯入れて、一品だけは嫌いなものや苦手なものを入れるのはいかがでしょうか。
子どもの性格にもよりますが、幼稚園や保育園でお弁当を残すのは格好悪いと思っている子どもには効果的です。また、お弁当を残すことには抵抗がなくても、同じ年くらいのお友だちと一緒に入るときはついテンションが高くなってしまう子どもにも効果的です。
幼稚園や保育園はかなりハードに遊ばせますので、お弁当の時間にはお腹が空いて、ついついいつもは好き嫌いしてしまうものにも箸やスプーンが伸びてしまうこともあるでしょう。
無理に食べさせるのはNG!食べ物に興味を持てるように
子どもの好き嫌いや食わず嫌いを克服しなければと親が悩むほど、子どもの偏食がひどくなることもあります。
ですが、特定の食材だけを食べないとしても、それが理由で病気になってしまうことはありません。気負わず気楽に子どもが楽しく食べられることだけを意識してみるのも良いのではないでしょうか。
参考文献