二語文の練習方法と言葉の発達

二語文とは?言葉の発達を高めるためにママができること

二語文とは子供が会話できるようになるまでの大事な通過点です。どのような単語を使い、いつから始まるのか、子供の言葉の発達の過程や2歳や3歳で話せる言葉の目安を解説します。二語文から三語文へと高めるための練習方法や、ママができる手助けの方法を理解しておきましょう。

二語文とは?言葉の発達を高めるためにママができること

二語文とはどんな言葉?いつから始まるの?

言葉の発達過程である二語文とはどんな言葉で、いつから始まるのでしょうか?「自分の子供がなかなか話さない」など、言葉の発達はママにとって心配ごとの一つです。

子供の話す単語が少しずつ増えると、コミュニケーションがとれるようになり楽しいものです。しかし同時に言葉の発達を他の子と比べてしまい、言葉が遅れているのでは?と不安になることもあるでしょう。

二語文(にごぶん)って何?

二語文とは、意味のある2つの単語をつなげて話す言葉のことです。「マンマ たべる」「パパ いた」「ニャンニャ だっこ」というように、目的語と述語や名詞と動詞・要求語などの2つの単語で成り立っています。

二語文を話せるようになることで、それまで「マンマ」や「ニャンニャ」と1つの単語だけで表現していた子供が、どうしたいのかなど気持ちをより伝えられるようになるのです。

いつから始まる?

二語文は、一般的には2歳前後から話し始め3歳くらいまで続きます。個人差が大きく、早い子では1歳6ヶ月くらいから話し始めたり、3歳を過ぎて話しだしたりする場合もあります。

子供が言葉を話すまでの過程

子供が言葉を話すまで

何も話せない赤ちゃんから会話ができるようになるまで、子供の言葉は段階を踏んで発達しています。言葉は急にいろいろ話せるのではなく、一つずつできるようになって次へ進んでいくのです。自分の子は発達が遅いかも、と思って無理に焦って段飛ばしに進もうとせず、子供のペースで成長を見守ってあげましょう。

言葉の段階の目安

以下のような段階で言葉は徐々に発達していきますので、自分の子供は今どんな状態なのか知る参考にしてみてください。

  • 生後2ヶ月~/クーイング
  • 生後4ヶ月~/喃語(なんご)
  • 1歳頃/一語文
  • 2歳頃/二語文
  • 3歳頃/三語文
  • 3歳~/会話

生後2ヶ月~/クーイング

生後2~3ヶ月頃から始まるのがクーイングです。赤ちゃんが心地よい時などに「あー」「うー」などの母音を柔らかい声で発します。クーイングをするようになったことは、音を作る器官や発生が成長している証でもあります。

生後4ヶ月~/喃語(なんご)

生後4~6ヶ月頃から始まります。「あーあー」「うーうー」というようなクーイングを繋げたような発声からはじまり、「だー」「ば」などの子音を含むようになります。

そこからさらに、「ばぶばぶ」や「だーだー」といった同じ音を2つ以上重ねて反復できるようになっていきます。また、10ヶ月位になると喃語が少なくなり、代わりに身振りや手振りが加わるようになっていくのです。

1歳頃/一語文

1歳頃に話し始めます。意味のある一つの単語から成り立つ文章で、それまで意味もなく発していた単語も、ママを見て「ママ」というように意味を伴うようになります。

「パパ」「ワンワン」などの名詞や、「とって」「ねんね」や「だっこ」など、子供自身の気持ちや要求を表す言葉も話せるようになっていきます。

2歳頃/二語文

2歳頃から始まる言葉です。名詞と動詞や要求語などの2つの単語を使い話します。また、それまでブーブーだったものが車というように、ちゃんとした名詞を覚えていき、高い・低いなどの比較言葉も使えるようになります。

3歳頃/三語文

3歳頃から主語と目的語と述語などの3つの単語で成り立つ文章を話すようになります。「ママ まんま たべる」「ぼく りんご ほしい」などの言葉です。早い子では多語文(3つ以上の単語で成り立つ言葉)や「てにをは」を使って話し始める場合もあります。

3歳~/会話

3~4歳頃になると単語と単語の間に「てにをは」や接続詞が入り会話らしくなります。また「今日」や「明日」など、現在・過去・未来の区別もできるようになっていきます。

二語文を話さないのは言葉が遅れているから?

二語文を話さないのは

2歳になって周りの子は話し始めているのに、自分の子供がなかなか二語文を話さないと「言葉が遅れているのでは?」と、不安な思いをする場合もあります。言葉の発達には個人差があり、二語文を話さないからといって言葉が遅れているとは限りません。

個性や生活環境で発達のスピードは違う

なかなか二語文を話さなくても、それまでの発達が順調であればとくに問題はありません。子供の個性や生活環境によって発達のスピードは違ってきます。言葉を話すにはその前に子供が言葉に触れ、蓄積することが必要になります。

ママがよく話しかけている・家族が多くて常に耳に会話が入ってくる・保育園に通っているといった場合は、言葉に触れる機会が多く蓄積も多くなりますので早く話す場合もあります。逆に言葉に触れる機会が少ないと、蓄積のペースがゆっくりになるので話すまでに時間がかかる場合があるのです。

なぜ言葉が遅れるの?

次のような理由で言葉の発達が遅れる場合があります。子供にはそれぞれ個性があるので、お子さんがどのタイプなのかじっくり判断してみてください。

ゆっくりと発達するタイプ

発達のスピードは子供によって違います。言葉を発するためには、まず言葉を蓄積することが必要となり、話していないのはまだ蓄積の時期という場合もあります。蓄積がいっぱいになれば、コップから水があふれるように言葉がでてくる場合がありますので、しばらくは様子を見るようにしてみましょう。

また、男の子と女の子かによっても言葉の発達に違いがあります。一般的に女の子のほうが男の子より言葉の発達が早い傾向があり、大体男の子のほうが1~2ヶ月遅れる傾向がみられます。

言葉の意味がわからない・聴力に支障がある

会話を聞き単語の意味を理解していなければ、言葉を蓄積することができません。耳は聞こえているか、言葉の意味を理解しているかを確認するためにしばらく様子をみてみましょう。

耳の聞こえに問題があれば言葉の蓄積も遅くなりますので、早めに専門の機関へ相談することをおすすめします。耳は聞こえているけど言葉を理解できていない場合なども、言葉が遅れることがあります。

「りんごはどれ?」など、こちらの質問に指差しなどで答えることや「タオルとって」といったお願いに答えることが出来るのであれば言葉の理解はできていますので、しばらく様子を見てみましょう。

言葉が出てこない・口に支障がある

口や発声に支障がある場合や、口などに支障がなく言葉も理解していても話すことができない場合もあります。口に違和感があれば、言葉を話そうとした時にうまく話すことができません。口の中に病気がある場合や発音に違和感がある場合などは専門機関に相談をしましょう。

また口に支障がないときでも、失語症や精神的な問題で言葉が出てこないこともあります。その場合も専門の機関への相談を早めにすることをお勧めします。

伝えたい気持ちにならない

言葉は子供が「伝えたい」と感じることが大事です。子供自身が話す必要性がないと感じていると、言葉が出てこなくなる場合があります。

コミュニケーションが一方的

テレビなどのように一方的に言葉を発するものばかりに触れてしまうと、子供はコミュニケーションをとる必要性を感じなくなり言葉も覚える必要がないと感じてしまいます。

テレビを見ることは決して悪いことではありませんが、時間を決めるなどの工夫をしましょう。テレビに長時間子守をさせているような状態であればテレビの使い方を見直す必要があります。

ママがなんでもすぐにやってしまう

かわいい子供のお世話をついついやりすぎてはいないでしょうか?言葉を話すには子供が「食べたい」や「ねむたい」など、してほしいという気持ちを伝えることも大事です。して欲しい気持ちがあれば自分の中の言葉を使って欲求を伝えるようになります。

子供が可愛くてついお世話をしすぎることや、育児に慣れて子供の気持ちが分かるようになり、子供が伝えるより先にママが子供の欲求に応えることが続くと、子供は自分で伝える必要性がなくなってしまいます。してほしいことが分かっていても、ママがひと呼吸おいて子供が自分で伝えてくるのを待ってみるようにしましょう。

二語文を話しはじめないときは?

二語文を話し始めるのが遅い、言葉の発達が遅れていると感じたら、以下に当てはまらないか様子をみてみましょう。

  • 言葉を理解しているか
  • 呼びかけに反応するか
  • 音に反応するか
  • コミュニケーションがとれるか
  • 周りの人やおもちゃなどに興味を示すか
  • こだわりが強すぎないか
  • 落ち着きがあるか
  • 1歳で喃語などを全く発しない
  • 1歳半で意味のある単語を発しない・簡単な指示が理解できない
  • 3歳で二語文がでない

これらに当てはまったからといって、言葉の発達に障害があるということはありませんが、気になる行動がある場合は専門機関に相談してみるといいでしょう。

言葉の発達には個人差はありますが、耳や口などに支障や何か異変がある場合は早めに対応することが必要となります。子供の言葉が遅れていると感じた時は、一人で悩まずに小児科などに相談してみましょう。

言葉の発達をサポートする練習法

言葉の発達をサポートする

子供がまだ話さなくても言葉を蓄積しているのであれば、それを引き出すサポートをしてあげましょう。周りの大人が言葉を使うことで子供の言葉も増えていきますので、積極的に子供とコミュニケーションをとって話しかけてあげましょう。

まだ子供が話さない時期でも日頃から子供の気持ちをママが代わりに伝えるなど、気持ちを表す言葉を増やすお手伝いをしてください。

言葉の発達をサポートするポイント

二語文がまだ話せない場合など、言葉を教えるときには次の点を意識してみましょう。

真似をさせる

言葉が出てこない子供には、マネをさせることから初めてみてください。まずママが手本を見せて真似してもらうことで、徐々に話すことを覚えていきます。

根気よく毎日何度でも繰り返す

いきなり上手に話せる子はいません。話せないからといってさじを投げるのではなく、毎日コツコツと何度でも教えてあげてください。

子供がよく使う言葉から教える

言葉を教えるときは、子供がよく使う「やって」「ちょうだい」などの要求語から教えてみましょう。覚えることでコミュニケーションの幅が広がり、子供も伝えることが楽しくなります。

楽しくコミュニケーションをとる

言葉の発達は個人差があります。心配なあまりママが神経質になって言葉を教えていると、子供もママの不安などを感じ取ってしまいます。言葉を発することが楽しいと思えるように、ママが楽しんでコミュニケーションを取るようにしてあげてください。

具体的な練習方法

言葉を引きだす練習方法には、次のようなものがあります。ゆったりした気持ちで練習していきましょう。

足りない言葉に気づく

一語文ばかり話してなかなか二語文を話さない、二語文は話すけどいつも同じ言葉ばかり話すなどの場合は、どんな言葉を使っていてどんな言葉が足りていないのかを確認してみましょう。足りない言葉には次のような種類があります。

  • して欲しい言葉がわからない(動詞や要求語が足りていない)
  • 物の名前がわからない(名詞が足りていない)

足りない言葉が何なのかがわかれば、それを増やすお手伝いをしてみましょう。動詞や要求語が足りないのであれば「だっこ」「やって」「ちょうだい」など、まずはよく使う動詞から教えてあげてください。また、名詞が足りていない場合は物の名前を教えてあげましょう。

動詞や要求語・指差しなどで、子供が話した時は聞き返しなどしてみてください。例えば、みかんを指差したり「ちょうだい」とだけ話す場合は、「何を?」と聞くことで名詞が出てきたり、出てこなくても、その時にみかんを指さしながら「みかん?」と聞いてみることで、物の名前とイメージがつきやすくなります。

子供の気持ちを二語文で言い直す

子供が発する一つ単語の中には、ほかの意味やいろいろな気持ちが隠れています。それを見つけ出して、ママが言葉を補って返してあげることで、どう言えばいいのかがわかるようになっていきます。

例えば、子供が「わんわ」といったら、犬がいたや犬を抱っこしたいなどの気持ちが隠れています。それをママが見つけて「わんわ いたね」「わんわ だっこ」というように返してあげてください。

「なに?」「どうしたの?」と質問して言葉を促してもいいでしょう。「まんま」と言ってきたら「まんまがなぁに?まんまたべる?」と促してみてください。ママが二語文で返すことで、言葉が増えていきます。

気持ちを言葉にしてみる

子供の気持ちに寄り添った声掛けをすることで、コミュニケーション能力が高まり言葉を増やすことにもつながります。子供の気持ちをママが代わりに伝えるようにしてみましょう。

「たのしいね」「お腹すいたね」というように子供の気持ちを代わりに伝えることで、言葉が増えるだけでなく子供は「自分の気持ちをわかってくれる」と安心して、ママにたくさん気持ちを伝えたいと思うようになります。

安心して伝えることが出来るようにする

二語文を話し始めた子供は、自分の言葉が伝わっているのか不安になる場合があります。「ちゃんと伝わっているよ」と子供に伝えることで、子供は自分の発した言葉は合っていると感じ安心できます。

子供が二語文で気持ちを伝えてきたら、同じ言葉で返してあげましょう。例えば、「にゃんにゃ、いた」と子供が言ったら「にゃんにゃ いたね かわいいね」というように、同じ言葉で返して「大丈夫だよ」と伝えてみましょう。その時に別の単語を付け加えることで、子供は新しい言葉を得ることもできます。

たとえ子供がまちがった言葉を話しても否定はしないでください。自分の言葉を否定されると、子供は話すことへの自信を失ってしまいます。もし間違えているようなら優しい言葉で言い直してあげましょう。

楽しい雰囲気を作る

子供が言葉を覚えたり伝えたりすることを「楽しい」と思える雰囲気を作ってあげてください。コツとしてオノマトペを使うことをおすすめします。オノマトペとはパクパクやザーザーといった擬態語・擬音語のことです。

これらの言葉は子供が真似しやすい言葉でもあります。また楽しい雰囲気にもできるので、子供も喜んで真似してくれるようになります。

日常でできる三語分への発達の手助け

言葉をより引き出すためには、日常での子供との接し方がとても大事です。子供の言葉を引き出すための手助けには、次のようなことがあります。

楽しみながらコミュニケーションをとる

子供の言葉を増やすには、たくさん話しかけて楽しくコミュニケーションをとることが大切です。日常的にママが積極的に子供に話しかけてあげてください。また子供に話しかけるときは、短く、ゆっくり、はっきりを意識してみましょう。

長い文章を理解することはまだ難しいので、ママがわかりやすい言葉で声掛けをしてあげてください。可能であれば、声掛けをするときは動きを加えるようにしてみましょう。言葉の意味がよりわかりやすくなります。

ママが話しかけることで、「自分もママに伝えたい」という気持ちが高まります。子供自身が「伝えたい」と思えるようになることも、会話をするうえでとても大切です。

絵本で言葉の勉強

絵本を読む子供

絵本や言葉遊びは言葉を増やすことにも繋がります。絵本にはいろいろな言葉や表現方法が書かれているので、絵本を読むことで子供はたくさんの言葉に触れることができるのです。絵本の絵を指さしながら読み聞かせることで、子供は言葉とイメージがより結びつくようになります。

たくさんの人と触れ合う機会をつくる

いろいろな人と触れ合うことで自然と言葉に多く触れることができます。児童館や保育園などで同世代の子と過ごす機会を作ったりして、家族以外の人とのコミュニケーションを取れるようにしてみてください。

二語文を話すのが遅くても焦りは禁物

子供の言葉の発達には個人差があります。ママが焦ってしまっては、子供にもそれが伝わり余計に話すことができなくなってしまいます。

なかなか二語文を話さないと、ついほかの子と言葉の発達を比べてしまい不安になることもあるでしょう。話さないからといって焦るのではなく様子を見ながら、楽しくコミュニケーションをとることが大事です。子供の言葉を増やして話せるようにサポートしていってください。