食事中、子供にテレビを見せていますか
あなたの家庭では、食事中にテレビがついていますか。テレビを見ながら食事をすることは、しつけやマナーの点からみると、行儀が悪いというイメージがつきもの。子供がいるご家庭なら、一度は「食事中のテレビ問題」に悩んだことがあるのではないでしょうか。
ですが朝食時は天気予報や列車情報を確認したい、夕食時は家族が盛り上がるテレビ番組が多いから、などテレビをつけた方が良いことが多いのも事実です。
食事中のテレビは、それぞれの家庭の育児方針が大きく関わってくるため何が良い、悪いとは一概には言えません。食事中にテレビを見た方がいいのか見ない方がいいのか、テレビとのつきあい方を様々な観点から考えてみましょう。
食事中にテレビを見る・見ないにはそれぞれ理由がある
食事中にテレビを見る、見ない理由はそれぞれです。テレビを食卓の一部としている家庭があれば、食事中にはテレビを消すことを徹底している家庭もあります。
食事中にテレビを見る理由
- なんとなく一日中つけたままになっている。
- 音が無いと寂しい。にぎやかになるから。
- 見たい番組、欲しい情報があるから。
- 小さいころからの習慣。
- 子供が大人しくなるから。
- 家族でテレビを見ていると会話が弾む。楽しいから。
- 夫がつけたがるから。
食事中テレビを見る家庭は、わいわいとしたにぎやかさを求めています。夫の希望や見たい番組があるから、という意見もありますが、特に見たい番組は無いけどBGM代わりにテレビをつけっぱなしにしているという家庭も多いです。家族間の会話をはずませるためのコミュニケーションツールとしてテレビを活用しているという声も多いです。小さいころからの習慣で、となんとなくテレビをつけているという家庭もあります。
食事中にテレビを見ない理由
- 食事に集中したいから。
- 家族の会話を楽しみたいから。
- 夫の方針。
- 静かに食事をしたいから。
- 小さいころからの習慣。
- 目が悪くなるから。
- マナー、行儀的に良くないから。
食事中にテレビを見ない理由には、保護者の育児方針・こだわりを感じます。食事に集中したい、マナーやしつけ、家族間でのコミュニケーションを重視しているために食事中にテレビを見せないという意見がとても多いのです。夫の希望、小さいころからの習慣という理由は、テレビを見せる派とも共通しています。もちろん、食事中にぎやかにしたいからテレビをつけている家庭があるのと同様、静かに食べたいからテレビを消しているだけという家庭もあります。
食事中にテレビを見る・見ないで家族間の会話は変わる
テレビを見ながら食卓を囲んでいる家族の風景はもはや日本の文化といえます。食事中にテレビを見ている家庭はとても多いのですが、食事中のテレビは、家族間の会話にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
食事中にテレビを見ている家庭は約7割
ベネッセコーポレーションが行った、小学1~6年生の子供がいる保護者を対象としたインターネット調査によると、子供がいる家庭の約7割が食事中にテレビをつけていることがわかりました。
- 食事中毎日テレビをつけている…47%
- たまにつけている…28%
- つけていない…25%
毎日テレビをつけている家庭とたまにつけている家庭を合計すると75%と大半を占め、テレビをつけていない家庭は25%と全体の4分の1に留まりました。
確かに、テレビ業界において「プライムタイム」と呼ばれる、1日の中で視聴率が最も高くなる時間帯は家庭の夕食時と重なる19時ごろです。職場や学校から帰宅して、ほっと一息、テレビを見ながら家族団らんの夕飯を囲む、という家庭がとても多いということでしょう。
食事中にテレビを見るときはうまく活用して盛り上がる
テレビのクイズ番組やバラエティを家族で見るのは楽しいものです。おいしいご飯を食べながら、皆でクイズの答えを言い合ったり、おもしろおかしいことをする芸人を見て笑いあったりすることはかけがえのない幸せな時間です。このように、テレビを家族間のコミュニケーションツールとしてうまく活用すればとても盛り上がることが出来ます。
注意すべきは、テレビに集中しすぎてしまって家族間の会話がなくなってしまうことです。例えば、お父さんがテレビのニュースに見入ってしまい子供が話しかけても曖昧な返事をしたとします。子供にとって、仕事で家にいない時間が多いお父さんとゆっくり会話できるのは食事時ぐらいです。話したいことは山ほどあるのに、お父さんがテレビに夢中で話を聞いてくれないなんて、子供は悲しい気持ちになるでしょう。
それを見たお母さんがお父さんに注意をして、お父さんも嫌な気分になり、せっかくの一家団欒の時間だったのに一気にぎくしゃくしてしまうかもしれません。食事中にテレビを見るときは熱中しすぎて家族をおろそかにしないように気を付けましょう。
食事中にテレビを見ないときは会話で家族の絆を深める
人はごはんを食べるとき、いつも以上に開放的で無防備になります。食べ物を共有することで、心を許し合うことが出来、お互いの距離が縮まりやすくなるのです。
仕事上で依頼や交渉をしたいときに会食の場を設けるのは、食事をしながらだとその要望が通りやすいからです。家族でご飯を食べる時間も同様ですので、テレビを見ながら食事をする時間は家族同士が向き合い、絆を深めるための絶好のチャンスといえます。
そんなときこそテレビを消して、お互いに集中することで、よりしっかりとしたコミュニケーションをとることが出来るでしょう。会話が途切れてシーンとしてしまっても、それはそれで食べることに集中出来るので、焦って話す必要はありません。おいしい食事を楽しみましょう。
とはいっても育ちざかりの子供は静かな食卓に、物足りなさや堅苦しさを感じることもあるかもしれません。そんなときは食後のお茶の時間にテレビをつけることをオススメします。食事中はテレビを消し、食後はテレビを見ながらの会話を楽しんでみてはいかがでしょうか。
普段テレビがついている家庭で、最近子供のことがよくわからない、家族間がぎくしゃくしていると感じたら、一度テレビを消してじっくり話してみるのが良いです。いつもと違う話が出来るかもしれません。
食事中にテレビを見ても見ていなくても話しておきたい家族間の会話がある
食事中にテレビを見てもいなくても、家族一人ひとりに焦点を当てた会話は必要です。一家が集まってゆっくり話せるのは食事時ぐらいです。この時間帯に密なコミュニケーションをとることで、家族のメンタルをケアが出来、家族間の仲も深まるはずです。
- 今日の食事への感想。「美味しい」「熱い」など。
- 今日の出来事の振り返り。学校での出来事など。
- 「○○の調子はどう?」と近況を聞く。困っていること、挑戦していることなど。また、以前話していたことの進捗を聞く。
食事中の食卓は、会話のきっかけだらけです。お父さんお母さんから「今日のご飯は美味しい?」と子供に話しかけて、話しやすい雰囲気を作ってあげましょう。
食事中だからこそ子供に教えたいマナーがある
子供の時期は、将来社会で必要となるルールやマナーを身に着けるための準備期間といえます。お父さんお母さんのしつけ次第で、子供の食に対する向き合い方は大きく変わってきます。食事中にテレビを見ることは全てに悪影響を及ぼすわけではありませんが、集中力を削ぐことがあるはずです。テレビと上手くつきあって、子供にはきちんとしたマナーを身に着けてあげましょう。
「音を立てる」「こぼす」などのマナーを教える
子供のころの食事の時間は、食事に関するマナーを覚える時間でもあります。「いただきます」「ごちそうさま」といった食前食後の挨拶はもちろん、箸の持ち方や正しい姿勢などのマナーが大切です。音を立てる、こぼす、お茶碗にご飯粒を残す、口に食べ物が入っているのに話す、といった誤ったマナーは正してあげなければなりません。
大人になると、仕事の打ち合わせ、結婚相手のご両親とのお食事会などで人と食事を共にする場面が増えていきます。そんなときに、食事上のきちんとしたマナーが出来ていれば、相手に好印象を与えることが出来ます。出来ていないと逆に悪い印象を持たれ、「育ちが悪い」「しつけがなっていない」「清潔感がない」というレッテルを貼られ色眼鏡で見られてしまうかもしれません。
恥をかくのは子供なのです。何も知らない状態の子供にルールやマナー、食事の楽しさを教えられるのは親だけです。テレビを見ながら教えてあげてももちろん良いですが、もし子供が集中出来ないのであれば、テレビを消してしっかり教えてあげましょう。
食べることの大切さを教える
近年、様々な嗜好品や外食店が増えたことや、過度なダイエットブームの影響で、栄養が偏り、健康面での問題が出ていると指摘されています。こんなご時世だからこそ、「心と身体の健康のため、自力で健全な食生活をする力」を子供に身に着けさせるために食に関する知識を教えることは親の義務といっても過言ではありません。
食事中は、食材の名前や旬の食べ物を学ぶ絶好のチャンスです。味やにおい、音や食感を意識してみると、食べることがより楽しくなります。「この食べ物は北海道産だね」など生産地を教えてあげると想像の幅が更に広がります。実際に今目の前にある料理から話題を広げてみましょう。
とはいえ、子供は興味が無いものにはまったく関心を示さないもの。もし「食」に興味が無ければ、「ふうん」と流され、それ以上の話がなかなか進められません。そのきっかけ作りとして、テレビを利用してみるのは1つの手です。
夕食時のテレビでは、暮らしや料理、食物に関するバラエティ番組が多いです。食育に関する番組を録画しておくのもオススメです。テレビを見ながら楽しく、子供の食への関心や興味を高めてあげましょう。
子供が食事中にテレビを見ると身体に影響が出る!?
子供が食事中にテレビに熱中しすぎると、身体によくない影響が出ることがあります。大人がきちんと管理してあげるようにしてください。
味覚がにぶくなる
オランダの科学者が、テレビを見ながら食事をする人は、食べる量が増えたり香辛料を増やしたりする行動が見られると発表しました。これはつまり、食事以外のことに集中していると、味覚が鈍り、無意識に濃い味を好むようになるということなのです。
子供の味覚は、幼いうちにピークを迎えると言われています。子供が食事中にテレビに没頭すると、味がわからなくなり、濃いものを求めるようになってしまうのです。この時期に濃い味に慣れてしまうと、素材の味や薄味のものを受け入れられなくなるかもしれません。
子供のころに培った味覚は、なかなか変えられないものです。そのまま濃い味を好んで食べ続けると、塩分過多によって内蔵に負担がかかり、生活習慣病になる可能性が出てきてしまいます。お父さんお母さんは、子供の将来のことも考え、食事中に子供がテレビに見入ってしまっていると感じたら、食事に集中するように働きかけてあげましょう。
肥満につながる
アメリカのオハイオ大学研究グループの調査によると、食事中に習慣的にテレビを見ている人はテレビを見ない人に比べて、肥満になるリスクが37%高いことがわかりました。テレビを見ながらの食事は、知らず知らずのうちに多く食べてしまう上、咀嚼がおろそかになり食べ物がうまく消化・吸収が出来ないため、肥満につながることがあるのです。
食べ物を口の中に入れたまま、噛むことを忘れてぼーっとテレビに見入っている子供を見かけることはありませんか。なんとなくだらだらと箸を動かし食べ続けお腹がいっぱいになって動けなくなったらごちそうさま!なんてことはないでしょうか。
子供はまだ自己コントロールが上手くできません。テレビに気をとられすぎず、食べる量は適切に、しっかり噛んで食べるようにお父さんお母さんが見守ってあげましょう。
食事中のテレビを見る・見ないに決まりはない
食事中にテレビを見る、見ないに正解はありません。ルールで固めて息苦しくなってしまったら元も子もありませんし、家族が楽しめるなら、それがその家の団らんの形です。食事中のテレビとのつきあい方のポイントはこの2つです。
- テレビにかじりつくのではなく、家族間のコミュニケーションツールとして活用する。
- しつけやマナーを教えるときやきちんと会話したいときはテレビを消して家族と向き合う。
テレビは便利で楽しいものです。メリハリある上手い使い方をして、毎日の食事をより良い時間にしていきましょう。