受験生の睡眠時間は平均6時間?どのくらいが普通なの
受験生と言うと睡眠時間を減らしてでも勉学に励むイメージがあります。
もちろん人にはよりますが、実際の受験生の勉強時間と睡眠時間をみてみると、受験生でないときと比べると睡眠時間を減らして勉強している人は少なくありません。
徹夜をして勉強することや睡眠時間が数時間になってしまう人もいるでしょう。受験生の睡眠時間と勉強時間についてベネッセコーポレーションが後悔したデータによりますと、難関大学に合格した学生が高校3年生の9月(平日)に勉強していた時間は「5~6時間」がもっとも多く全体の43.5%を占め、同じく高校3年生の9月時点の睡眠時間は「6時間」がもっとも多く、全体の44.6%を占めていました。
6時間の睡眠は成長期に十分とはいえずとも健康を損なうラインではないかもしれませんが、5時間や4時間と答えた人もそれぞれ13.6%と4.3%いますので、健康管理の面はもちろん、勉強字に集中力は保てているのか気になりますよね。
たくさん勉強すればするほど学力が伸び、点数が良くなるということはありません。睡眠不足のために次の日の授業に集中できないのであれば、睡眠時間を削ってまで勉強した意味は余りないとも言えます。
また、高校受験や大学受験を行う中学生~高校生は体も大きく成長する時期。厚生労働省が2014年3月に発表した「健康づくりのための睡眠指針2014」によると、思春期の子どもたちの一定しない睡眠や就寝時間の遅さが、学業成績の低さだけでなく体重増加とも関係していると述べられています。
つまり、中学生から高校生にとって、夜更かしをせずに規則正しい睡眠リズムを作ることが、健康な体を作っていく上でも、精神的・身体的に充分な成長を実現するためにも、そして学業成績を向上させるためにも必要なのです。
理想的な睡眠時間は7時間!睡眠不足は勉強に逆効果
夜更かしは学習効率を低下させる原因にもなりますので、特に成長期には勧められることではありません。かといって長く寝れば寝るだけ良いかというとそうでもなく、寝すぎてしまった日は、頭がいつもよりぼんやりして集中することができず、体もだるく感じることがあるでしょう。
人によって必要な睡眠量は異なりますから、7時間くらいをおおよその目安として、日中の集中力や体力をベストな状態に保てる程度の睡眠時間に各自が調節していくのが理想です。
寝だめは非効率
先ほどの厚生労働省の「健康づくりのための睡眠指針2014」では、成人男性の平均的な睡眠時間は6~8時間であり、6時間を下回ると日中に過度の眠気を感じる人が多いこと、睡眠不足が6~7日間続くと、その後の3日間に充分な睡眠を確保したとしも日中の作業能率が充分に回復しないことが示されています。
このことにより、睡眠時間は毎日確保していくべきであり、平日は睡眠時間を減らして勉強に励み、休日は睡眠時間を延ばして平日の疲れを癒やす(もしくは平日は睡眠をたっぷりととり、休日は睡眠時間を減らして勉強に励む)という『寝だめ』のような計画は非効率であることが分かります。体のためにも、効率の良い受験勉強のためにも、就寝時間や起床時間をいつもほぼ同じにすることが大切であると言えるのです。
成長期に必要な睡眠時間は死守するべし!
睡眠のリズムは一度狂うと、日中のベストな集中力を取り戻すのに時間がかかることから、一日のリズムに無理が生じがちな受験生も、規則正しく睡眠時間を確保していく必要がありますが、具体的に毎日の睡眠にはどんな効果があるのでしょうか?また、睡眠不足になるとどのような悪影響があるのでしょうか?
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睡眠の役割
たいへん忙しいことを「寝る間も惜しい」と表現することもあるように、用事があるなら睡眠を削っても仕方がないと考える人は少なくありません。社会人では特に、通勤時間や事業時間などとは異なり、睡眠は本人の意思で時間を長くすることも短くすることもある程度は可能ですので、仕事や趣味、リラックスタイムを優先してついおろそかになってしまうようです。
ですが、睡眠は趣味やリラックスタイムにも代替できないほどの重要な役割を果たしています。どのような役割を果たしているのでしょうか?
体や脳の疲労回復
一日中フル回転で動いたなら脳も身体も疲労します。一日頑張って疲れた脳や体は、睡眠状態に入ることで一日の疲労を回復しますが、このお陰でまた翌日はベストコンディションで活動できますよね。
脳内には睡眠を調節するアセチルコリンやノルアドレナリン、セロトニン、ヒスタミン、グリシン、メラトニン等の数々の物質があり、脳や身体が疲れると睡眠を促す物質が放出される仕組みになっています。
記憶を固定させる
記憶と言うのは、ただその時点でだけ覚えることを意味しているのではなく、覚えた内容をある程度の時間を経ても覚え理解しているということを意味しています。今日学んだことを記憶するためにも、しっかりと寝て記憶を固定させることが大切なのです。
また、睡眠中には、脳に蓄積された情報を整理する活動が脳内で行われています。必要な情報を結びつけたり、重要度の低い情報を忘れてキャパを増やしたりなどは、しっかりと睡眠をとるからこそ得られる結果と言えます。
身体を成長させる
成長ホルモンは睡眠中に大量に放出されますが、成長ホルモンはその名の通り成長期には体の成長も促します。成長ホルモンが分泌されることで骨が伸びたり筋力が増強します。特に体がつくられる時期である小学生から高校生にとってはとても大切なホルモンです。
けがを回復させる
睡眠をとることとけがの回復は無関係ではありません。けがは時間さえ経てば勝手に自然治癒して回復する…のではなく、成長ホルモンの働きによって回復が促されているのです。成長ホルモンは体の成長と同時に体の組織が修復・再生も促し、細胞の再生や修正、新陳代謝を促していきますので、成長ホルモンがしっかりと放出される人はけがのなおりが早いと言えます。
ストレスの解消
日中に嫌なことがあっても、睡眠をとることで不快な感情が薄まったり、イヤな記憶を一時的に忘れたりすることもあります。「イヤなことがあるときはとにかく寝る!」という方もいますが、これは問題から逃避しているだけではなくて根拠があっての行動とも言えるのです。
睡眠不足の影響
疲労回復や記憶の固定、けがの回復、成長、ストレスの解消等、睡眠は人間が健康を維持して生活していくために欠かせないものであるということができます。では、『睡眠』が不足してしまうと、どのような影響が出てくるのでしょうか?
集中力・思考力が低下する
睡眠が不足すると、日中、強い眠気を感じたり自分の意思に反してぼんやりしてしまったりすることがあります。充分な睡眠をとっていても昼過ぎに少しの眠気を感じてしまうくらいならば普通の範疇ですが、立ってもいられないほどの強い眠気を感じたり、昼過ぎ以外の時間帯に強い眠気を感じてしまったりするならあまり自然なこととは言えません。
集中力や思考力の低下が気になるときは、睡眠が不足していないか自分の生活を振り返ってみましょう。
仕事効率も著しく低下する
睡眠が不足すると、仕事の効率が低下することも分かっています。仕事や作業による生産性が低下するだけでなく、事故や人為的なミスの発現にもつながります。Dawson DとReid Kによる研究※では、人間が起きてから充分に脳が覚醒した状態で作業を行うことができるのは、起床してから12~13時間が限界であり、起床してから15時間を超えるとアルコールを摂取したときと同程度まで作業効率が落ちると報告されています。
これは受験勉強だけでなく社会人の仕事にも言えること。人間は無敵のロボットではないのです。心身の健康を保ちながら作業効率を意識しタスクを計画していくことが大切です。
体力や脳の疲労回復の低下
毎日の十分な睡眠は体や脳の疲れを回復させますが、人間に必要な睡眠時間は翌日繰り越しのようなことはできません。一定期間睡眠不足が続くと、不足した睡眠時間を補うべくあとで睡眠を長めにとったとしても、なかなか本来の作業効率まで回復することができないという研究もあります。
「来週のために土日は寝だめしよう!」とか睡眠をまとめてとったり、睡眠不足が長く続く状態では、体と脳の日々の疲れをとることはできず、健康に支障をきたす可能性も出てきます。日々の疲労は一日たりとも蓄積させずに回復させることが問答無用に重要で、そのためには毎日規則的な睡眠をとっていく生活リズムの維持が効果的なのです。
良質な睡眠をとりたいならルーティンが効く!
人によっては、体の調子の良さを維持する方法にも個人差がありますし、学習塾のスケジュールや部活動の予定によって、毎日同じ時間に就寝・起床すること自体が難しいという人もいるでしょう。
ですが、コンディションを最適に保ち、いつも高い作業効率・学習効率を発揮するためには、なるべく同じ時間帯に寝て同じ時間体に起きるように意識しましょう。
コツは目覚めたらすぐに体を動かすこと!
「目は覚めていても、なかなか体が動かせない・・・」「低血圧だから体のエンジンがかかるまでに時間がかかる」という人もいますが、睡眠時間を一定に保つ鍵は『目覚め』にありあす!
目覚めているのに長時間ぐだぐだとベッドの中で過ごしていると、なんと熟睡感が減ってしまうのだそう。それだけでなく、次回の入眠までの時間が長くなることもあるのです。
暖かい布団の魔力をばっさり断ち切るには、目覚めたなら無条件に間髪入れず布団を離れ、朝日を浴びつつ体中を伸ばし、脳と体をすっきりと覚醒させるようにしましょう。
運動不足にならないように注意
つい勉強ばかりの日々を送ってしまうと、体育以外の時間はまったく運動しないということにもなってしまうかもしれません。
あまりにも運動不足になると眠たくても眠れない、いわゆる不眠の状態になることもありますし、なにより成長期にある年齢の子供が健康的な発育していくためにも適度なスポーツは大切です。
適度に体を動かすことも、良質な睡眠をとり、脳をしっかりと働かせるためには必要なのです。特に部活動が終わった中学3年生は注意したいですね!
- 元気な子に育てる方法は?健康な心と体の成長を促す育児
元気な子に育てるためには、正しく褒めること・正しく叱ることが大きなポイントとなります。褒めることは自信や価値を見出すのに効果的であり、正しく叱ることで目標に向けて努力するという姿勢が生まれるのです。
あんまり神経質に時間にこだわるのは考えもの
一定の睡眠時間を維持することは大切ですので、睡眠時間の確保をもとにタスクスケジュールをしていく必要はあります。
ですが、あまりに「11時までには絶対に眠らなくてはならない!」「毎日7時間は確実に眠らなくてはならない!!」と1分1秒単位にもこだわるような厳しい規則を設けてしまうのも考えもの。強く暗示をかけてしまうと「11時までに寝ていないから今日は調子が良くない」「今日は7時間も寝ていないから、たぶん能力を発揮できない」と、逆に気になってしまうことも…。
人間は精密機械ではありませんので、若干のずれも考慮しながら「今日は疲れたから少し早めに休もう」と言った感覚で睡眠リズムをコントロールしていくべき。特に女の子の場合は、月々のホルモンバランスにも睡眠の質やリズムが影響されていきます。
睡眠時間を大幅に削ってまで勉強することは学習効率を低下させるのでオススメはできませんが、精神的に負担となるほど睡眠時間や就寝時間にこだわりすぎてしまうことも問題です。
「11時くらいには寝よう」「毎日7時間程度眠れれば良いな」と気楽に構えることも大切なのです。
理想的な睡眠・学習計画の立て方
睡眠時間が不足した状態が続くのはダメ。きっちりと睡眠時間を決めてしまうのもダメ。では、どうすれば理想的な睡眠や学習の計画を立てることができるのでしょうか?
受験生が健康的な睡眠時間を確保しながら、学習計画を効率的に立てていくコツをご紹介していきます。
1.時間目標ではなく学習目標
「夜9時~12時まで勉強しよう」と勉強時間できっちりきっちりと計画を立てるのではなく、時間はおおよその目安にとどめ、「今日はこの単元の勉強をしよう」「今週中に酸化還元反応の分野だけ仕上げてしまおう」と学習目標を立てましょう。
学習分野で目標を立てると、全体的な学習目標も見えてきます。一日一日自分がどこまで勉強したかが分かり、時間を無駄に使うことも減るでしょう。
2.時には夜更かしも可
夜更かしや睡眠不足の状態が続くことはオススメできませんが、1日くらいはいつもより遅く勉強したとしても問題はありません。勉強効率が非常に高く、学習が普段以上に進む!など、コンディションの良いときには、「今日はもうちょっと頑張れるかも!」と思うもの。このようなときには夜更かしをして勉強するのも、受験生には必要なことかもしれません。
3.休日も平日もなるべく同じ睡眠時間
休日に睡眠をとりすぎて体がだるくなってしまったり、だいぶ遅く起きた日は起床してからなかなかエンジンがかからず、学習効率が低くなったり…といった経験したことがある人も多いでしょう。
繰り返しますが、寝だめに疲労回復効果は望めません。規則正しい睡眠時間をコンスタントに確保し続けることが学習効率を最も高めるのですから、「休日だからいつもよりたくさん勉強しなくちゃ」「休日だからいつもよりたくさん寝よう」と考えるのではなく、休日も平日もなるべく同じ睡眠時間・就寝時間になるように計画を立てるようにしましょう。
睡眠時間を削って得はない!勉強効率の追求を!
受験生にとって一番大切なことは、どれだけ長く勉強をしたかではなくどれだけ内容が身についたか?であるはず。睡眠時間を削って勉強するのもたまには良いかもしれませんが、恒常的に睡眠時間を削ることは、記憶力の低下や体力の低下、疲労の蓄積などを招きますので、受験生の学習計画としては安易であり避けるべきでしょう。
また、人間ですから規則正しい生活がベースにあっても、「絶好調!!」というときもあれば、「今日はもうだめ…」という日もあります。学習効率を最大限に発揮するには、規則的な生活や学習時間・睡眠時間・就寝時間・起床時間に過度にこだわらず、予定や体調に合わせて多少の前後はしても総括的にコントロールしていくことが大切です。
その上で効率よく勉強するために、学習計画を立てていきましょう。
ただ単にだらだらと勉強しているだけでは自分がどこまで理解してどこが理解していないか、どの分野に時間を掛けるべきなのかも把握できません。健康的な睡眠時間をベースに、学習計画をしっかりと立て、効率よく勉強していくなら、最高の状態で受験に挑むことができるはずです。