言いたいことが言えない子供

言いたいことが言えない子供が自分の意見を表現するために

言いたいことが言えない子供が自分の意見や考えを自分の言葉で表現出来るようにするために親ができることとは?子供が言いたいことが言えなくなってしまう状況はどうして作られるのか、無口は子供の個性として見まもるべきなのでしょうか?子供の意見や考えを引き出すために教えたいことをまとめました。

言いたいことが言えない子供が自分の意見を表現するために

言いたいことが言えない子供・・・個性か、それとも直すべきか

言いたいことが言えないで、いつでも周囲の言いなりになってしまう子…。親が一緒にいる子供のころなら親が子供の言いたいことを読み取り代弁してあげられても、子供が大人になったときのことを考えると不安に感じてしまいますし、現在でも、親や気持ちを分かってくれる大人がいないときはどう子供が過ごしているのかと思うと少し心配になりますよね。

言いたいことが言えない子供でいることは、本当に良くないことなのでしょうか?個性として尊重すべきなのかそれとも直すべきなのか、いくつかの側面から探っていきましょう。

言いたいのに言えないのか、言いたくないのか

言いたくても言えない内気な女の子

子供が自分の気持ちや考えを発言しないのは、内向的なあまり言いたいのに言えないのか、それとも言いたくないのかのどちらなのでしょうか?

本当は言いたいことがあっても、周りに自分の意見を言うことがなんだか恥ずかしかったり、「もし否定されたら・・・」と思うとなかなか言えなかったりすることもありますが、人前で自分の意見を言うことが嫌で、自分から進んで意見を言わないだけの子供もいます。

子供たちの会話を聞いていて、自分の子供だけが何もしゃべらないなら、「なんで意見を言わないんだろう?言いたいのに言えないのだろうか?」と早合点して心配してしまうかもしれませんが、本当のところは言いたくないだけということもありますので、子供の様子はよく観察してあげましょう。

言えないときと言いたくないときの違い

子供たちが目の前で話しているなら、子供の表情をよく観察してみましょう。他の子供の話を喜んで聞いているでしょうか?それとも何か言いたそうな顔をしているでしょうか?
大人にも人の話を聞くことが好きな人や自分で話すことが好きな人がいるように、子供も聞いているほうが好きな子供と自分から話すほうが好きな子供はいるのです。
子供が何も言わずに周りの話を聞いているだけでも、その表情がにこにこして話を聞いているなら、言いたいのに言えない状態なのではないと言えます。

では、子供たちが遊んだり話す様子が見られない環境では、子供から聞く話によく耳を傾けましょう。
子供の話から、いつも周囲の意見に流されているだけのように感じられるなら、「○○ちゃんは自分の意見を言っていないの?」と質問したくなるでしょう。そのように尋ねたとき、子供が「・・・言っているよ」「時々は言うよ」とあんまり嬉しくなさそうな反応を示すなら、もしかしたら言いたいのに言えない状況があるのかもしれませんね。

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言いたいのに言えない状況を子供がストレスに感じているのかどうか

親のいう事を聞く優しい男の子

言いたいことがあっても言えない状況と言うのは、大人はもちろん、子供にとっても非常にストレスフルな状況です。子供が浮かない表情をしていたり、子供同士で関わることを避けるようにしたりするなら、言いたいことが言えずにストレスを感じていると考えられます。

ですが、元々口数が少ない子や、子供たちの話を聞く方が好きな子は、自分からはほとんど口をひらかずに子供たちと接していても、特にストレスを感じていません。
学校や幼稚園から帰ってきたときの子供の様子や、子供が教えてくれる学校や園の様子から、子供が友人関係でストレスを受けているのかどうか判断してみましょう。

言いたいのに言葉をまとめられないのかもしれない

子供は、自分が言いたいことを上手にまとめられなかったり、自分の思っていることを言葉で上手に表現できないとき、支離滅裂な発言をしたり、言葉よりも先に手が出たり、泣いてしまったりすることがあります。ある意味言いたいことが言えていない状況ですが、思考力や文章力が育てば、いつかは自分の言いたいことを言えるようになります。

この場合は、今はまだ上手く伝えられないだけで、一応は自分に言いたいことがあるときに、他の子供や大人に伝えたいという気持ちは持っています。

言いたいことを言える子供になるために

子供が自分の言いたいこと、人に伝えたいことを適切な場所で言えるようになるために、親はどのように導いてあげたらよいのでしょうか?

子供の表現力を育てるには

木陰に隠れる人見知りの男の子

言いたいことがうまく言えない子がいるかたわら、幼いときから自分の言いたいことを上手に表現できる子もいるので、表現力が欠如しているために自分の言いたいことを伝えられない子供なら、普段の親の接し方で言いたいことを言えるように改善できるかもしれません。

子供の言葉を待つ

思っていることをすらすらと言うためには、それ相応の訓練を積まなくてはなりません。
頭で考えるよりも口の方が先に動いてしまうような子供なら、自分自身で訓練し、徐々に表現力を上げて行くことができますが、思考を言葉に変換しないと話せない子供の場合は、適切な言葉が出てくるまでに少々時間がかかることになります

子供の頭の中で「何を話そう」「どう話そう」と試行錯誤を繰り返しているときに、「早く言ってよ!」「○○って言いたいんでしょ?」と、周囲の大人が急かしたり、子供が言いたそうなことを代わりに言ってしまったりするなら、子供はいつまで経っても自分自身の力で表現できなくなってしまいます。時間がかかっても子供の言葉を待つという姿勢が、親には求められるのです。

親が積極的に色々な表現をする

子供が自分の言葉で表現できるように『待つ』ということも大切ですが、子供が表現豊かに話せるようになるまで、親も積極的に色々な表現を使い、子供に多くの表現を耳から学ばせる工夫も大切です。

親が何を見ても「すごいー!」「やばい!」「かわいい」としか言わないなら、子供も心が動かされるものを見たり聞いたりしても「すごいー!」「やばい!」「かわいい」としか表現できなってもある意味当然。
「きれいだねえ」「両手でも抱えられないね」「上手でびっくりしてしまうね」等、その状況に合わせた表現を使い分けるようにしたいものですね。

絵本を読む

親が積極的に色々な表現をすることで、子供の表現力は向上させられます。ですが、どんな人間にも自分らしい表現というものがありますし、親だってあまりに多彩な表現や毎日毎日異なる表現をし続けることは難しいですよね。

こんなときに役立つものが絵本です。絵本には作者によって色々な表現が使われ、どのような状況でその言葉を使うことができるのか、文章と絵で子供にも分かりやすく説明されていますよね。
色々な作家が書いた絵本を読み聞かせたり、また、子供が自分で本が読めるようになってからもたくさんの本に触れる機会を設けたりするなら、大いに子供の表現力を磨いていくことができるでしょう。

小学校に入学すると、図書館で多くの本を自由に借りたり読んだりできるようになります。
字を読むことがあまり好きでない子やスピーディに話を理解したいせっかちな気質の子供は、『伝記』や『物事の仕組みを開設した本』を選ぶとき、つい絵がたくさん書かれたマンガを手に取ってしまうかもしれません。これらの本は、子供の知的好奇心を満たし、子供の視野を広めるためには有意義と言えますが、子供の表現力や読解力を向上させるには不向きと言えます。

子供の表現力や読解力などの基礎的な国語力を高めたいと考えるなら、特に子供が小学校中学年から高学年にかけての時期は、子供が本を読んでいるということだけに満足してしまうのではなく、子供がどんな本を読んでいるか、ときには文芸作品と言える良質な文章に触れているかもチェックしてみましょう。

文章を書く練習をする

子供は作文などといった文章作成は苦手であることが多く、テストでも記号や解答を選択するような問題は得意でも、訊かれていることの意味を読み取る必要のある文章題や自分の言葉で表現する問題は苦手だと意識している子供は少なくありません。

子供が自分で考えていることを口で表現するときは、言葉に表情や身振りなども加え、また、周りの大人も子供が言いたいことを理解しようと脳をフル稼働させて子供の話を聞くので、子供自身に少々表現力が多少足りなくても周りの人々に理解してもらうことは可能です。ですが、文章を書きだし表現する作文では、表情や身振りなどのその他の表現を付け加えることができませんので、文章に見える表現力が足りないなら、言いたい内容はなかなか理解してもらいにくくなりますよね。

子供が言葉を文章にして表現できるようになるには、基本的な文章力に加え、文章での表現力をも身につけさせることが必要になります。表現力を高めるためには、質の良い文章を読むことは必須ですが、何よりもまず自分の手を使って文章をたくさん考え書く習慣も非常に有効です。親子で手紙のやり取りをしたり、日記を書く習慣をつけさせたりして、子供に文章を考え書く機会を与えるようにしましょう。

意見を言える環境を作る

ママの脚を掴む甘えん坊の女の子

先にも述べた通り、子供が自分の言葉で意見を言う環境を作ることは、子供の表現力を高め、自分の考えや言いたいことを言えるようにするためには欠かせません。『子供が自分の言葉で意見を言う環境』とは、具体的にどのように整えていくと良いのでしょうか?

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急かさず、子供の言葉を引き出す

子供が自分の言いたいことを言えるようにするためには、親は子供の言葉を急かさずに待つことが大切です。
おばあちゃんのお米の買い物を手伝って「重かった」「疲れた」など単純な感想しか言わないなら、「どんな風にして運んだの?」「この前の登山と比べるとどっちが疲れた?」「運んでいる間、どこを通ったの?」「何か見つけた?」「おばあちゃん、どんな顔していた?」等のように、子供の表現を促すようなリアクションを加えてフォローアップしてみましょう。

子供と同じ目線で発言する

親が威圧的に接すると、子供は自分の言葉を抑えてしまうようになります。
子供が子供同士の中でも言いたいことを言えるようにするためには、まず、家庭で発言する機会を持つ、つまり子供が親の前で自信をもって言いたいことを言えるようにしてあげることが大切です。つまり、子供が「話しやすい」と感じられる環境づくりがポイントとなります。

子供が話しやすくなるお家での接し方

・子供の話に共感する
・子供の話を遮らない
・話すスピードや声の大きさを子供に合わせる
・子供と同じ目線で会話する

子供の言葉を否定的に受け止めない

子供が話す度に、親が「もうちょっとはっきりと話して(やや怒り気味)」「それは違うんじゃない?」などのネガティブな反応を示すなら、子供は自分から話すことを徐々に嫌がってしまうようになってしまうかも。

言いたいことがあったときにその感情を押し込め変に我慢させてしまわないためにも、「自分の言葉で話す」練習を遮らないようにしてあげましょう。余程ひどい内容でない限りは、子供に共感を示し、子供が次を話したくなるような相づちを打つようにしたいものです。

話すタイミングを教える

休日に子供と一緒におでかけする家族

『言いたいことを言いたいときに言う』のは、必ずしも良いことではありません。成長とともに、時と場所を選んだ発言も覚えていく必要がありますね。どのようなタイミングで話したらよいのかを見計らうこともコミュニケーションの一端。これも子供は普段の親との会話から学んでいくのです。

人の話を聞く姿勢を教えましょう

言いたいことが言えない子供には、まずは人の話を聞くことを教えてあげましょう。人に何かを言われた際にどう思うかがわかれば、自分が話したときの相手の気持ちを理解することができます。

■子供の話は遮らない■

まずは子供の話を遮らずに最後まで聞く習慣を親が身につけるようにしましょう。
遮らないで最後までしっかり耳を傾けてあげることで、子供は自分の意見が尊重されていると感じ、これが相手の話にも落ち着いて耳を傾けられる土台となります。

また、自分が話す言葉をちゃんと聞いてもらえているという意識は、慌てず落ち着いて話す力も育てます。相手に聞いてもらえるような話し方を心がけるようにもなるでしょう。

■親や兄弟の話に割り入らせない■

周りが子供の話を遮らずに聞くだけでなく、子供にも周囲の人々の話を遮らずに聞くことを教えることが大切です。親や兄弟が話しているときに割りこむように話してきたら、「最後まで聞いてから教えてね」と優しく他人の話を遮らないことの重要性を教えましょう。

また、自分の考えや気持ちを話すことと同じくらいに人の意見を聞くことは大切だと知ってもらいたいもの。人が話しているときはしっかりと目を見てうなずく姿を見せるなど、親が積極的に聞く態度を示すなら、子供にも人の話を聞く態度がどのようなものかがわかりやすいですね。

特定の誰かに優先権を与えるようなことはしない

家庭によっては、父親や母親、長男、長女などの特定の誰かだけに、皆の前で話す権利が与えられているようなこともあります。家庭の方針に何らかの事情があるなら、特定の誰かだけが話す権利を持っていたとしても一概に悪いことだとは言えません。

ですが、子供が学校や社会で言いたいことを無理なく表現できる人になってほしいと望むのなら、特定の誰かだけが話せる環境は好ましいものではありません。親や年長のきょうだいなど、年齢が上の人に敬意を持つことは大切ですが、不遜にならない程度に、幼い子供も自分の意見を言える環境を作ってあげたいものです。

元気な子に育てる方法は?健康な心と体の成長を促す育児
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元気な子に育てるためには、正しく褒めること・正しく叱ることが大きなポイントとなります。褒めることは自信や価値を見出すのに効果的であり、正しく叱ることで目標に向けて努力するという姿勢が生まれるのです。

子供のために言いたいことは適切なタイミングで言うことを教えましょう

本当は言いたいことがあるのに言えない・・・という悩みを抱えている状況は、周囲が思う以上に辛いものです。これが環境によってのもので何年、何十年も言いたいことが言えない状況が続くと、知らず知らずに自分の気持ちを抑えるようになり、感動が少なく、愛情などの感情表現も苦手な人になってしまうこともあるでしょう。

気持ちを抑え過ぎるあまり、自分だけの世界にひきこもるようになってしまったり、心から分かりあえる友人を持つことができなくなってしまったりすることもありますので、幼いときから自分の言葉で表現できる力を養う親のしつけは、子供の将来を豊かにするためにも大切ですね。

もちろん周囲の状況を読まないで、不適切なタイミングで不適切な発言をしてしまうなら、いくら言いたいことを言っているとはいえ、本人が伝えたいことの半分も伝わらないものです。
言いたいことを適切なタイミングで言える子供に育てるために、親は子供が小さいときから家庭で積極的に話をする機会を設け、どのような言葉を使うべきか、どのような言葉が周囲を温かくするのか、どのような表現をすれば伝わりやすいのか、親子の会話を通して教えて行きたいですね