ごっこ遊びをしないとどうなる?
ごっこ遊びの年齢別の遊び方 – 手作りおもちゃで楽しもう!
ごっこ遊びは子供が大好きな遊びですが、実は、子供の発達を促す重要な役割を果たす遊びでもあります。ここでは、ごっこ遊びが必要な理由と発達との関係のほか、ごっこ遊びをする際の親が注意すべき点などを解説。さらに、おすすめの手作りおもちゃについて紹介しています。
ごっこ遊びが子供に与える重要性
本を読んだり絵を描いたりする遊びと違って、ごっこ遊びは特定の年齢の子供だけが行う遊びです。それは、ある能力の発達がごっこ遊に関係しているためで、その能力は子供の発達に大きな影響を与えることが分かっています。
なぜ、子供はごっこ遊びをするのか?また、ごっこ遊びは子供の発育にどのような影響を与えるのでしょう?ここではまず、ごっこ遊びが子供に必要な理由について紹介していきます。
ごっこ遊びってどんな遊び?
ごっこ遊びとは、実際には目の前にないものを、あたかもあるかのように振る舞って遊ぶことで、「象徴遊び」と呼ばれる遊びの一つです。自分がママという役割を演じるままごとや、お医者さんになって診察するふりをするお医者さんごっこなどが、代表的なごっこ遊びです。
子供は、ないものを他のものに置き替える象徴機能という働きが発達することによって、象徴遊びができるようになります。象徴遊びは、物を何かに見立てて遊ぶ「見立て遊び」からはじまり、徐々に自分以外の他者の存在を理解するようになることで、初めてごっこ遊びができるようになります。
象徴機能は、子供の言葉やコミュニケーションの発達に必要な働きです。ごっこ遊びをすることによって象徴機能のトレーニングにもつながるため、ごっこ遊びは子供が成長する上でなくてはならない遊びだといえます。
ごっこ遊びと子供の発達の関係
発達に問題のある子供は、誰かのまねをしたり、誰かになったふりをしたりするのが苦手なため、ごっこ遊びをしない場合があります。発達に問題のある子供は、「人と目が合わない」「他の子供に興味がない」「言葉が遅い」などの特徴がみられるなど、人関係やコミュニケーションに影響が現れるのが特徴です。
単にごっこ遊びが好きではないという子供もいますが、中には発達に問題があるのが原因で象徴機能が得られない子供もいます。もしも、子供がごっこ遊びをしないという場合は、素人判断はせず、かかりつけ医や、乳幼児健診の際に相談してみることも大切です。
ごっこ遊びはいつから?知っておきたい年齢別のごっこ遊び
個人差がありますが、一般的にごっこ遊びは生後2歳頃から始まります。
それまでは、目に見えるものが興味の対象の全てなのに対し、徐々に目に見えないものについての想像を働かせることができるようになります。さらに、「他者表象」といって、自分のことだけでなく他の人のことを頭の中で思い浮かべるなど、他者への理解を深めていくのです。
子供のごっこ遊びは、心と体の発達によって次のように変化していきます。
2歳児のごっこ遊び
子供は赤ちゃんの頃から親の言動をよく観察していますが、1歳くらいになると相手の真似ができるようになります。手を振りながら「バイバイ」と言ったり、両手を合わせて「いただきます」と言うことができるようになります。そして、2歳頃になると、さらに細かな真似ができるようになります。
教えてもいないのに、知らないうちにママの口癖を真似していたり、テレビで見かけたキャラクターのセリフを真似て言ってみたりすることもあります。また、この頃は主に、積み木を電車や飛行機に見立てて遊ぶような「見立て遊び」をして遊びます。
3歳児のごっこ遊び
本格的に、ままごとやヒーローごっこなどの「ごっこ遊び」を始めるのが、この時期です。真似る対象はママやパパのような身近な人のほか、お医者さんや電車の運転手のような特定の職業に就く人、好きなテレビ番組に出ているヒーローなど、多岐に渡ります。
また、この頃になると、小道具を使ったごっこ遊びがはじまります。ままごとでは、調理器具を使って料理をしたり、食器を使って食事をするふりをします。また、マントや変身ベルト、剣などを身に着けて、ヒーローになりきって遊ぶようになります。
4・5歳児のごっこ遊び
使える言葉が増えてきて、想像力が豊かになってくることから、お友達と役割を決めてごっこ遊びが楽しめるようになります。自分達の独自のルールを作ったり、ストーリーを組み立てたりながら、さまざまなシチュエーションのごっこ遊びを作り上げていきます。
相手のことを思いやったり、相手に合わせたりすることができるようになるので、ケンカをすることもありますが、この時期は自分たちできちんと仲直りをすることもできます。多少のもめごとがあっても子供たちの自主性に任せて、大人は少し距離を置いて見守ってあげることが大切です。
ごっこ遊びから得られる効果とは?
子供は誰が教えたわけでもないのに、ほとんどの子供がごっこ遊びをするようになります。なぜ、子供は成長の過程でごっこ遊びを始めるのでしょう。それには、次のようなさまざまな能力の発達が関係しています。さらに、ごっこ遊びをすることにより、これらの能力はさらに発達していくのです。
コミュニケーション能力や協調性
ごっこ遊びを始めたばかりの頃は1人で遊ぶことがほとんどですが、徐々に親やお友達とごっこ遊びをする楽しみを覚えます。お友達とごっこ遊びをする場合、コミュニケーション能力がないと遊び自体が成り立たなくなる場合があります。
ごっこ遊びでは、それぞれの配役を決めて、自分の役にふさわしい言動や行動をしなければなりません。子供同士でやりたい役がかぶって衝突する場面もありますが、じゃんけんで決めたりその役を交代でやったりするなどのルールを決めることで、徐々に協調性も身についていきます。
周囲の大人の真似
ごっこ遊びをするためには、子供はその役の言動を真似しなければなりません。しかし、発達に問題のある子供のような、相互的な対人関係に問題があると、人の真似が上手にできないため、ごっこ遊びをしない子が多くいます。バイバイをされた際、手のひらを自分に向ける「逆さバイバイ」をする子もいます。
誰かの真似をするためには、その人の発言に耳を傾け、行動を注意深く観察する必要があります。そのため、家族のような周囲の大人やテレビで見たキャラクターの真似が上手にできるということは、対人面において正常に発達しているという証ともいえるのです。
社会性
お医者さんごっこやお店屋さんごっこのように、ごっこ遊びでは特定の職業についている人になったつもりになって遊ぶ場合があります。これは、「お医者さんは病気を治す人」「お店屋さんは物を売る人」というように、その職業の社会的役割を理解することよって初めて成立します。
また、ヒーローのような架空のキャラクターを演じる場合でも、「ヒーローVS悪者」という関係性が理解できなければ、悪者をやっつけるようなことはしません。このように、子供は小さいながらもごっこ遊びを通して、社会とはどのようなものなのかを徐々に理解していくのです。
記憶力や想像力
ごっこ遊びをする時は五感をフルに使って、興味を持った対象から情報を得ます。当然、言葉や行動を記憶するという能力が自然に養われます。例えば、お店屋さんごっこをしている子が、「いらっしゃいませ」と言えるのは、お店屋さんがよく言うセリフを覚えているからなのです。
また、ごっこ遊びでは目の前にないものを、あたかもあるかのように振る舞う必要があるため、想像力が必要とされます。砂のご飯を食べるふりをしたり、お母さんになったつもりになって小言を言ってみたりと、子供はありったけの想像力を使ってごっこ遊びをしているのです。
子供のごっこ遊びへの親のかかわり方3ヶ条
子供がごっこ遊びを楽しんでいる時は、特に親が遊び方を教える必要はありません。しかし、年齢が小さい子供は1人で遊ぶことに飽きてしまったり、子供同士ではうまく遊ぶことができない時もあるので、親がスムーズに遊べるように手助けをすることも大切です。
1.とにかく一緒に楽しむ
ごっこ遊びに誘われたら、子供と同じ目線に立って与えられた役になりきりましょう。子供は親の表情から敏感に気持ちを読み取ります。一緒に遊んで親が楽しんでいるなら子供も楽しいですし、つまらなそうにしていれば子供もつまらないと感じます。
また、子供はごっこ遊びをすることで想像力をフル稼働している状態です。たまに、とんでもない無茶ぶりをされることがあるかもしれませんが、子供達が作り上げた世界を壊さないように、上手に接することを心がけましょう。
2.細かいことに口出ししない
子供の発想は独特です。ごっこ遊びの中にも大人が考え付かないような物や設定が登場しますが、そこで大人が口出しするのは良くありません。無理に正そうとすれば、子供の遊びの妨げになることもあるので、好きなように遊ばせてあげることが重要になります。
「そんなことはありえない」と、頭ごなしに否定することは絶対に止めましょう。「こうした方がいいのに」と親の価値観を押しつけるのもNGです。ただし、子供がごっこ遊びの中で次の展開をどうするか困っているようなら、話が進展するきっかけをさりげなく作ってあげましょう。
3.遊びやすい環境を整える
ごっこ遊びには小道具が必要な時があります。お母さん役の時はエプロン、ヒーロー役の時はマントなどを与えてあげると楽しさが倍増します。お店屋さんごっこをする時はお店に並べる商品や買った物を入れる袋などを用意して、リアリティーを出してあげると喜びます。
また子供同士でごっこ遊びをする場合は、限られた空間の中で行うと発展しやすいです。例えば同じ部屋内でもパーテーションなどで区切ると、「おうち」や「お店」のイメージが広がりやすくなります。
ごっこ遊びにあると楽しい!おすすめの手作りおもちゃ
子供がごっこ遊びを楽しむためには、小道具も重要な役割を果たします。家にあるものや100均で手に入る物を使って、手作りしてあげましょう。
1-フェルト食材
フェルトは色が豊富なので、食材作りにぴったりです。また、切りっぱなしでもほつれることがなく、細かく縫う必要もないので、手芸初心者のママでも簡単に扱うことができます。フェルトを好きな大きさに切って、中に綿を詰めて縫い合わせるだけで、いろいろな食材に変身します。
大根やピーマンなどの野菜のほか、バナナやイチゴなどの果物、おにぎり・卵焼き・ウインナーが入ったお弁当が、意外と簡単に作れちゃうんです。ワンランク上を狙うなら、お寿司屋さんごっこやケーキ屋さんごっこのなど、子供が喜びそうなごっこ遊びに必要な食材を作ってみましょう。
2-ままごとキッチン
ままごとキッチンは、おもちゃ屋さんでも大人気。でも、普通に買うと1万円から2万円もすることから、最近はままごとキッチンを手作りする人が増えています。収納用のボックスや段ボール箱と、100均で売っているワイヤーネットを組み合わせることで、リアルなキッチンが出来上がります。
鍋敷きを並べたコンロの上におもちゃの鍋を並べて、その横に洗面器やボウルをはめ込めばシンクに早変わりです。楽しみながら一緒に作ることで愛着が湧くし、全部で千円ほどしかかからないので、まさに手作りする価値があるごっこおもちゃだといえます。
3-計算機付きレジスター
お店屋さんごっこが大好きな子供におすすめなのが、手作りレジスターです。空き箱の中に100均で買った仕切りボックスをはめ込んで、おもちゃの紙幣や小銭を入れておきます。上には電卓を取り付けて、さらに、お菓子の空箱を組み合わせてバーコードリーダーやカードリーダーを作りましょう。
本物の電卓を取り付けることで、小さいうちから数字に親しむことができます。また、お金を数えたりおつりを渡したりすることは、金銭感覚の養うことにもつながるほか、お客さん役になることによって買い物のしかたも学べます。
4-段ボールの家具や家電
おままごとで欠かせないのが、テーブルや椅子などの家具です。自分の身長にぴったりの家具があれば、子供も喜ぶはず。大きめの段ボールがあれば、おままごとをする時にそのままお家やお店屋さんの売り場としても使えます。
また、家電で作りやすいのが冷蔵庫です。扉の開け閉めができるように、カッターで切り込みを入れるだけで、簡単に作ることができます。取っ手を付けてから、中に棚やドアポケットと付けます。また、同じ要領で小さめの箱を使って作れば、電子レンジにもなります。
5-電車の運転手なりきりセット
電車の運転手さんに憧れる子供は多いはず。電車ごっこといえば、輪っかにしたヒモの中に入って遊ぶというイメージが強いのですが、子供の脇の下から膝までの高さに切った、少し大きめの段ボールを使えば、さらに電車感が増してきます。
段ボールの側面には、マジックで窓や扉、子供が好きな電車のラインカラーを描きましょう。また、肩から吊り下げる紐をつければ安定感がアップします。黒い色画用紙を使って運転手さんの帽子を作れば、電車ごっこがますます好きになるはずです。
6-ヒーローのマントと武器
ヒーローごっこに欠かせないのがマントやベルト、剣です。マントは風呂敷のような大きな布でも構いまえんが、ゴミ袋を使えばテカり具合がかなりのマント感を醸し出します。布に紐を通してあげれば何回でも使い回しができるし、真ん中にマークを描くと自分だけのマントの出来上がりです。
ベルトは色画用紙でベースを作り、折り紙で飾りつければ完成です。光り物ならさらにヒーローっぽくなるので、金や銀の折り紙やアルミホイルを活用するのも良いでしょう。剣は傘を入れるビニール袋で作ると安心です。空気を入れて膨らませて厚紙の持ち手を付けると、叩かれても痛くありません。
7-手作りパソコン
最近の子供に人気なのがパソコンやタブレットです。大人が使っているのを見て、自分も欲しいと言い出す子供が増えています。まだ、ごっこ遊びをしている時期に本物を買い与えるのも気が引けるので、手作りのものを用意してあげましょう。
パソコンを作るにはお菓子の空き箱が便利です。まずはキーボードと画面を作ります。画面の部分は子供が描いた絵や、実際のパソコンの壁紙を印刷したものを貼ります。また、キーボードはインターネットで検索すると画像が見つかるので、印刷すれば後は貼るだけで完成です。
ごっこ遊びは親子で楽しんで子供の能力を伸ばす!
ごっこ遊びは、これから成長して学校生活や社会生活を送る上で、非常に大切な役割を果たします。子供がごっこ遊びを心から楽しみながら、想像力や好奇心などが健やかに育まれるように、親は陰でがっちりサポートしてあげましょう。