子育てHOWTO

共働きの子育て

共働きの子育てはストレスフル!行き詰る前に考えること

子供を育てると言うことは簡単なことではありません。ましてや共働きの場合は、仕事と家事と育児が一挙にかかってきますのでストレスフルです。どのように子育てに向き合うべきか、困難なときはどうすることができるのか等について説明します。

共働きの子育てにおいて、夫婦で話し合っておくべきこと

夫婦で仕事をしながら子育てをする場合、子供が生まれる前に夫婦でしっかりと分担を話し合っておくことが必要です。最初にしっかりと話しあっておかないと、後で妻にばかり育児や家事の負担がかかることになるからです。なぜ、妻に多くの負担がかかってしまうようになるのか、また、子供が生まれる前にどのようなことを話し合うべきなのか見ていきましょう。

共働きなのに家事や育児における妻の分担が多くなってしまう理由

出産時には、妻は産前産後休業を取ります。出産の直前直後はさすがに身体がしんどいので妻も家事や育児に従事することができませんが、産後徐々に身体が回復してくると、「家に居るのだから・・・」と、家事や育児を自然とするようになってしまいます。

今までは共働き夫婦として家事をしっかりと分担していた夫婦も、一度妻が家事や育児の専属となる習慣がついてしまうと、それが新たな習慣となってなかなか抜け出せなくなってしまいます。産前産後休業が終わって職場に復帰した後も、ついいつものように育児や家事を妻が担当するようになってしまうことが多いのです。

子供が生まれる前に決めておきたい育児分担

「つい習慣的に・・・」「育児は女性の方が得意だから」と、妻ばかり育児の負担が大きくなってしまうことは決して良いことではありません。もちろん、家事も同様です。どちらが一方の負担が大きくなるということは、不公平感ばかり募る原因になってしまいます。できれば子供が生まれる前、遅くとも子供を保育園に預ける前に、夫婦でしっかりと話しあって次のことを決めておきましょう。

保育園の送り迎え

保育園の送り迎えはどちらが担当するのか決めておきます。もちろん、すべての職場が定時出勤&定時退社ではありません。急に残業が入った場合や、出張などで行けないときはどうするのかについても話し合っておきましょう。

保育園の途中呼び出し

赤ちゃんや幼児は、突然熱を出すことがあります。子供が急に熱を出したり、嘔吐や咳き込みなどの症状が出たりしたとき、どちらが主に迎えに行くかを決めておきましょう。「都合がつく方が迎えに行く」などとアバウトに決めてしまうと、後々もめることにもなってしまいます。

近くにどちらかの実家がある場合は、協力を頼めるかどうかも大事なポイントです。終業時間まで預かっておいてもらえるなら、働きやすくなります。

子供の入浴

子供の入浴は、どちらが担当するのかも決めておくことができるでしょう。平日と休日で分けても良いですし、入浴係と入浴後のお世話係(身体を拭いたりクリームを塗ったり等)を分けても良いです。

子供の食事

離乳食が必要な時期は、大人の食事とは別に作らなくてはいけません。朝ご飯と夕飯をどちらが分担するのか、決めておきましょう。また、食事中にどちらがお世話するかも決めておいた方が良いでしょう。

子供の寝かせつけ

どちらが子供を寝かせるのかも、決めておく方が良いかもしれません。家庭によっても時間帯が変わりますが、午後8時前後に子供を寝かせようとすると、大人の夜ご飯の片づけ当たりに時間が被ってしまいます。食事の後片付けをする人と、子供を寝かせつける人は別にする方が良いかもしれません。

ただし、日中忙しく働いていると、子供を寝かせながら自分も眠ってしまうことがあります。家に持ち込み残業がある人や明日の準備をしなくてはいけない場合は、子供と一緒に早い時間に眠ってしまうわけにはいきません。そのような場合は、用事が早く済んだ人に任せるなど、臨機応変に対応するようにしましょう。

共働きの子育ては妻だけの仕事ではない!上手に分担しよう

平成27年版厚生労働白書では、妻も常勤で働いている共働き世帯の約半数において、妻が育児の8割以上を負担していることが報告されています。妻が育児の8割以上を担当する割合は、妻の勤務形態によってさらに大きくなります。妻がパートの場合は6割以上が、自営業の場合は7割弱が、妻が8割以上の育児を担当しているのです(注1)。

妻の勤務形態と育児の分担割合

  40%未満 40~59% 60~79% 80~89% 90~99% 100%
常勤 6.2% 14.7% 32.2% 20.3% 20.9% 5.6%
パート 1.0% 8.5% 26.9% 28.2% 27.2% 8.2%
自営業 1.8% 5.4% 25.0% 33.9% 30.4% 3.6%
その他 0% 2.0% 20.2% 28.7% 42.1% 7.0%

ほぼ同じ時間に帰宅しているにもかかわらず、ほとんどの育児や家事を妻が担当しているなら、それはゆゆしき問題です。また、育児や家事のために、すべての飲み会や食事会のお誘いを妻が断っているのに、夫だけ独身時代と同じく好きなだけ飲み会に参加しているなら、それもあまりにも不平等な状態だと言えるでしょう。

しっかりと家事と育児の分担を決めておくことで、家庭に悪習を持ちこまないための予防線を張ることができます。子供が生まれる前に、遅くとも子供が保育園に行く前に、夫としっかりと話し合っておくようにしましょう。

考えたい共働きのメリットとデメリット

子供が生まれると、共働きを続けていくことが難しくなるかもしれません。それでも共働きを続けることにどんなメリットがあるのか、また、どのようなデメリットが想定されるのか見ていきましょう。

共働きのメリットは多い

出産後も共働きを続けることで、次のようなメリットが生まれます。

社会的充実感

一人で子育てに専念していると、なぜか社会から取り残されたような気分になることがあります。特に出産を機に専業主婦になった人は、社会からの疎外感を味わいやすくなる傾向にあります。産後休業から職場に復帰するときは一時的に体力等に問題を感じるかもしれませんが、継続して働き続けることで社会的充実感を得られるようになるでしょう。

経済的余裕

保育園に預ける保育料がかかるとは言っても、外で働かずに子育てと家事のみに専念しているよりは、共働きを続ける方が世帯収入は大きくなります。

ただし、待機児童が多い地域の場合、認可保育園の空きがなく、無認可保育園やベビーシッター、その他の高額保育サービスを利用することもあります。そのような場合は、一時的に働き続けることで出費が増えるという、矛盾した現象を生み出すかもしれません。

とはいえ、働き続けることで収入は増えますし、子供が小学校に入学するまでに認可保育園の空きが出ることもありますし、小学校に入れば収入が子供の保育費・教育費を容易に上回ります。問題が長期化することはありませんので安心して下さい。

家事や育児を夫婦で協力実施できる

妻が専業主婦になると、家事と育児は妻だけの役割だと勘違いして、まったく協力しようとしない夫も少なくありません。共働きを続けることで、家事と育児は妻だけの役割ではないこと、協力して実施していくべきであることを、夫にもアピールすることができやすくなります。

子育てに対する妻の意識調査

 

子育ての
負担感大

子育ての
負担感中

子育ての
負担感小

共働き世帯 29.1% 43.4% 27.5%
専業主婦世帯 45.3% 31.8% 22.9%

※0歳~15歳の子供が1人以上いる世帯で調査を実施

厚生労働省が公開しているこども未来財団の「子育てに関する意識調査」では、共働き世帯の方が専業主婦世帯よりも、妻の子育てに対する負担感が低いことが示されています。つまり、専業主婦になって一手に育事を引き受けるよりも、物足りない点は多いとしても共働きで夫と育児を分担する方が、妻の精神衛生状態は良好だと言えるのです(注2)。

キャリアを築くことができる

継続して働くことで、キャリアを築くことができます。産前産後休業を取得するのではなく、出産を機に退職してしまうと、「そろそろ働きたいなあ」と思ってもなかなか思うような仕事に就けなかったり、正社員の職を探すことが困難になったりすることがあります。今までのキャリアを活かせる仕事に就けないケースも多くありますので、仕事に対する満足感を得にくくなることもあるでしょう。

共働きを続けることのデメリット

どんなことでも、良い面もあれば悪い面もあります。共働きを続けることで多くのメリットが期待できますが、同時にデメリットもいくつか存在しているのです。

身体的疲労

朝食の準備とお弁当の準備、自分の身支度と子供の身支度、子供を保育園に連れて行って出社等、朝だけでも多くの用事を並行して実施しなくてはいけません。また、急いで会社から帰って、急いで子供を迎えに行き、急いで夕食を作って、急いで子供を寝かしつける等、常に時間に追われてしまいます。もちろん、夫がある程度家事や育児を分担したとしても、身体的疲労を抱え込んでしまうことになるでしょう。

精神的疲労

「そこそこで大丈夫」「手抜きをしても構わない」と考えられる人なら問題は少ないのですが、何でも完璧にしたいという気持ちが強い人の場合は、完璧な社会人・主婦・お母さんであろうとするあまり、精神的に追い詰められてしまうことがあります。

子供のさまざまな瞬間を見ることができない悲しさ

専業主婦になると言うことは、子供のさまざまな瞬間をそばで見られるということでもあります。反対に、共働きを続けるという道を選択することは、子供の成長の瞬間や喜び・悲しみを共有できないことも増えるということでもあるのです。

子供がある程度成長してから、「赤ちゃんのときや幼児のとき、もっと一緒にいておけば良かった・・・」と後悔してしまうこともあるでしょう。

子供への申し訳なさ

専業主婦の子供と比較して、一緒に過ごす時間が少ないことを申し訳ないと感じてしまうことも少なくないでしょう。平日の公園を子供と出かけたり、目的なく散歩をしたり、子供の昼寝に付き合ったりと、そのような子供を中心とした生活が遅れていないことに対して罪悪感を覚えるかもしれません。

平日、子供と一緒に過ごすことが出来ない代わりに、土日は子供と思う存分過ごそうと思っても、平日の疲労が溜まっていて、つい寝て過ごすこともあるでしょう。そのような週末が続くと、罪悪感も増えて行ってしまいます。

共働きでも困ったときに活用できる公的支援と今後の取り組み

ここでは、共働きの家族が利用できる、公的支援や今後利用できると予想される分野を紹介します。

地域子育て支援ネットワーク

都道府県単位、市区町村単位で、地域子育てネットワークを実施しています。子供が急に熱を出したときに預けられる病児保育所の案内や、困ったときに頼ることができる児童委員等についての情報を共有することができます。お住まいの市区町村の役場で尋ねてみてください。

例えば、京都府では、「京都子育てネットワーク」として次のような活動を行っています。

京都子育てネットワークの取り組み

中途採用者を増やすための企業指導

子育てに手がかかる0歳~小学校入学までは、子供のそばで育児に専念したいと考える夫婦もたくさんいます。ですが、いざ再就職を目指して就職活動を始めると、6年もブランクがあることで再就職先が見つからなかったり、非正規雇用しか選択できなかったりしてしまうことが多いものです。

育児のために退職した人の再就職支援ができれば、子育てしてからもキャリアを形成しやすくなりますので、子育てと仕事を両立しやすくなります。

厚生労働省では女性の再就職・再雇用に力を入れ、女性が再就職しやすい社会の仕組みを作るために、パンフレットの作成や積極的に女性を再雇用している企業をアピールするなどの活動を行っています。今後、再就職しやすい社会が実現すれば、育児と仕事の両立も今より容易になるのではないでしょうか(注3)。

共働きでもストレスを溜めないで子育てしよう

子育てと仕事を両立することは決して不可能なことではありません。ですが、どうしても時間的な余裕が持てなくなってしまったり、精神的に追い詰められてしまったりすることがあります。そのような状態になると夫婦の仲が険悪になるだけでなく、子供との正常な関係を保つこともできません。

どうしようもない状況にまで自分を追い込むのではなく、どのようにするのが家族みんなにとってもっとも幸せなことなのか、夫婦でしっかりと話し合ってください。子供の幸せも大切ですが、あなた自身の幸せも決して後回しにしないようにしてください。