2歳の子供の人見知りがひどい!原因や対処法を探っていこう
知らない人が近づくだけで泣いたり怖がったりする『人見知り』。生後6ヶ月~1歳ごろに始まり、早い子では1歳まで、遅い子供でも2~3歳までには終わることが多いために、「人見知りは0歳~1、2歳くらいまでの小さな子ども特有のもの」と考えている年配の方もいて、3歳くらいのすでに赤ちゃんとは呼べない子供が人見知りをしているなら、「2歳で人見知りはちょっと遅れているんじゃない?」「普段、あまり他人と会わせないようにしているから、人見知りをするんじゃないかしら?」と育て方や子供自身を批判するような発言をされることもあります。
人見知りは子供だけでなく大人にもありますから、もちろん「2~3歳になっても人見知りをするからこの子はちょっと心配!」という方程式は成り立ちません。ですが、そのような発言をされてしまうと、親としては「私の育て方が悪かったのかしら?」「この子はどこか問題を抱えているのかしら?」と不安になってしまうことも。
子供の人見知りにはどんな行動が見られるのか、人見知りの時期はもうとっくに終わったはずの2、3歳の子供が人見知りをする理由探っていきましょう。
こんな行動も人見知り!
子供の人見知りでもオーソドックスな行動には、ママの後ろに隠れる、もじもじする…など相手を拒否したり遠ざけるような特徴が見られます。中には、人見知りされた相手もたじろぐほどガン見してしまったり、激しく嫌がったりしてしまうことも。子供たちの人見知りを見ていきましょう。
泣き叫ぶ
突然、火がついたように『泣き叫ぶ』タイプの人見知りには、思わず人見知りされた方もたじたじで、一緒にいる親も焦ってしまいます。普段接しない人が一緒に部屋にいる分には問題が無いようでも、ちょっと抱っこをしようと手を伸ばすと、お母さんやお父さんが抱っこをしようとしてくれた人に申し訳なく感じるほどギャン泣きすることもあるのです。
固まる
子供にとって慣れない人、見知らぬ人が現れただけで、今までしていた行動も停止して突然固まることがあります。このタイプの人見知りは慣れない人を前にすると思わず思考を停止させしてしまう模様。
例えば、お母さんやお父さんと一緒にお歌を歌って機嫌よく過ごしていたところに、親戚のおじさんが部屋に入ってきただけでフリーズし、声も出なくなってしまったのなら「あ、人見知りで固まっちゃったかな?」と判断することができます。
凝視する
子供にとって慣れない人、見知らぬ人があらわれたらつい凝視してしまう人見知りもあります。固まる子よりも眼力強く、穴が開くほどがっちり見られてしまうと「人見知り…?ではない…?」とも思いますが、人見知りの一種です。
特に積極的にその子供に接しようとしていないにもかかわらず、子供がその人から目を離すことが出来なくなってしまう『凝視する』タイプの人見知りの場合も不安のあらわれだったりします。
その特定の人が子供に何かアクションを起こすと、反応に困り固まってしまうことが多いです。
うつむいてしまう
子供がうつむいてしまって、どんなに声を掛けても目を見ようとしないタイプの人見知りは、比較的3歳以上の子供に多く見られ、「恥ずかしい」という気持ちが出てくるとうつむいてしまう傾向にあります。
人見知りの原因は…どうしてそんなに人見知りするの?
人見知りは赤ちゃん時期だけのものではありませんが、多くは6ヶ月~1歳のうちに人見知りを見せる子は少なくありません。まずは、なぜ生後6ヶ月ごろから人見知りが見られるのかを見ていきましょう?
生まれたばかりの視界はぼんやり。6ヶ月頃から視力が徐々に良くなってくるから
赤ちゃんは生まれたばかりは視力が弱く、生後1~2ヶ月ごろでようやく視力が0.01~0.02ほどになり、30cm~50 cmほど離れたものがぼんやりと見えるようになります。その後、生後3ヶ月ほどで視力は0.04ほど、生後4ヶ月で0.06、生後5ヶ月で0.08程度になり、50 cmほどに顔を近づけると表情が分かるようになります。
生後6ヶ月くらいになるとようやく視力が0.1程度になり、近づいた人の表情や遠くにいる人の距離感が分かるようになります。視野も広くなっていきますので、今まで見知った人ではないことが分かると、『人見知り』行動が出てしまうようになるのです。
感情も育ってくる!「ママがいい」という気持ちが芽生えるから
人見知りは視力が良くなることだけで生じる行動ではありません。感情面の成長も、人見知り行動と大きく関係しています。親しい人(特に母親)に対して特別な感情や愛着が芽生えてくるようになりますので、それ以外の人には愛着を覚える人とハッキリ区別した感情を見せるようになるのです。
そのため、この時期は毎日一緒にいるお母さんには笑顔を見せても、週に1回しか会わないおじいちゃんやおばあちゃんには笑顔を見せなかったり、おじいちゃんおばあちゃんの抱っこを全力で拒否したり、会うたびに人見知りして大声で泣いたりするようになります。1~2時間くらい時間をかけてようやく慣れ親しんだとしても、また、1週間会わない時間が空いてしまうと、翌週には初めて会った人のように大声で泣くこともあるのです。
知らないことに対して不安を感じるようになってきたから
生まれてからの1年間は脳も日々どんどん成長していきます。
「お腹がすいた」「お尻が気持ち悪い」「眠たい」といった基本的な要求だけでなく、「不安」や「期待」といった複雑な感情も表現できるようになるのです。
そのような感情が成長していくと、知らない人が自分のテリトリーであるはずの部屋にいる違和感や、知らない人が自分の体に触れようとする違和感が、大きな不安となって赤ちゃんに襲い掛かってしまうこともあるのです。
赤ちゃんにとっては全てが未知の経験で刺激的。赤ちゃんのときは、いつもの場所、いつも一緒にいるママといつもの時間を過ごすことが最大の安心となるわけですが、成長とともに芽生える好奇心に後押しされ、不安に打ち勝ち「いつもの安心」から離れて冒険していくようになるわけです。
いつまでも人見知りをする子供としない子供
成長とともに視力が良くなったり感情面が育っていくに従い見られる人見知りは、本来どの赤ちゃんにも見られるものですが、個性や育った環境も影響し、激しく人見知りしてしまう子と人見知りをまったくしない子がいます。
両者の違いに、子供がいつまでも人見知りしてしまう理由が隠れているかもしれません?
子供の元々の性格
同じ兄弟姉妹でも性格が違うように、また、全く同じように扱われた双子でも性格に違いがあるように、人には生まれついた性格というものがあります。
できれば、我が子の激しい人見知りはちょっとご遠慮願いたいわけですが、そうもいかないのが子育てで、人見知りが激しく、知らない人が近づくと泣き叫んだり人と仲良くなるのに時間がかかったりする子供もいる一方で、人見知りをまったくせず、いつでも誰にでも笑顔を向けられる子供もいるのです。
子供の育つ環境
人の性格は、先天的に持っている本人の性質からも作られますが、環境や人との交流の中から後天的に作られる部分もあります。そのため、生まれたときから人の出入りが多い家で育っている子供は人見知りが少なくなる傾向にありますが、普段から親意外とは接しない環境が子供の人見知りを激しくすることもあります。
もちろん、同じように人が頻繁に出入りする過程で育っていても、いつまでも人見知りする子供や他人が近づくのを嫌がる子供もいますので、一概に言うことはできませんが、やはり『慣れ』や『環境』が人見知りの程度や人見知りの有無に大きく影響を与えるのは事実と言えるでしょう。
子供の親の反応
子供が人見知りをしたときの親の反応も、子供の人見知りの程度に少なからず影響を与えてしまうことがあります。
例えば、2歳くらいの子供が他人と挨拶するのを恥ずかしがったときに、親が敏感に反応して、「この子は恥ずかしがり屋でなかなか挨拶ができなくて・・・」と言うなら、子供自身、自分を「わたしは恥ずかしがりやで挨拶が苦手」と認識し、「だから拒絶してもいいの」と思い違ってしまうかもしれません。
反対に、子供が恥ずかしそうな素振りを見せても、親が特に意識をせずに、「はい。ご挨拶しようね!」と声掛けすることによって、本来、人見知りが激しい気質を持った子供であっても、「人と会ったら挨拶をするもの」と自然に学習できていく可能性は大きくなるでしょう。
2歳の子供の人見知りを改善するには?
成長の証ともいえる赤ちゃんの頃に勃発する人見知りも、子供によっては3歳ごろまで見られはするものの、放置しておいても徐々に解消されていきます。ですが、親の接し方によっても、子供の『脱・人見知り』をサポートすることはできます。
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人前で厳しく叱らないこと
子供が人見知りをしたときに、その場で叱責したり、「どうしていつも挨拶ができないの?」と人前で注意をしたりしてはいませんか?人見知りの子供は恥ずかしがり屋さんが多いので、注意をされてさらに人見知りが激しくなったり、人前に出ていくことがイヤになってしまいかねません。人見知りの子の性格傾向もしっかり考えて、人前での注意には配慮し「どうすればよいか」がわかるようにしてあげる必要があります。
子供が人見知りのために挨拶できないのだとしても、なるべくそのときは反応しないことです。その場ではそっとしておき、後から、「他の人にも挨拶してくれると、お母さん、嬉しいなあ」と子供に伝える方が効果的でしょう。
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過剰に反応しないこと
子供の人見知りが激しいがゆえに知人や親戚の目線が気になってしまうとしても、「この子は人見知りが激しいから・・・」などと子供の前で説明してしまわないようにしましょう。
子供は自分では無意識に人見知りをしているのですから、それを親等に「人見知りだから」「恥ずかしがり屋だから」と断定されてしまうと、自分は人見知りで恥ずかしがり屋だと認識してしまうようになります。
子供が人見知りしても、過剰に反応しないほうが、子供の人見知りを軽減するためには効果的と言えるでしょう。子供に自然に接するなら、子供も親も気付かないほど自然に、人見知りの傾向が少なくなっていきますよ。
子供の人見知りと発達の関係
子供が全く人見知りをしない場合やあまりにも激しく人見知りをする場合、人見知り以外の言動にも違和感を覚えるなら発達に問題がある可能性を疑うこともあります。
例えば、3歳児健診のときには、以下の項目から発達の遅れがある可能性のチェックをし、総合的に判断していきます。
3歳児健診で実施される発達に問題がある可能性を問うチェックポイント
・言葉に遅れがあるか
・簡単な指示行動(例:ごみを捨ててきて、この箱の中にボールを入れて)ができるか
・同年齢の子供たちと遊ぶか
・名前を呼ぶと、呼んだ方を向くか
・人が大勢いる場所でパニックにならないか
・じっと同じ場所にいることができるか
・相手の目を見て話すか
・特定の人(例:親や近所の人、よく会う親戚等)と人間関係を構築しているか
例えば、この中で「相手の目を見て話すか」という項目から、相手の目をなかなか見ない人見知りの子供は発達に遅れがあるのでは…と安直に考える人もいます。
ですが、発育段階における正常な人見知りも、子供によっては2~3歳まで続き、単に人見知りのために相手の目を見て話さないという可能性もあり、「人見知りが激しい」=「相手の目を見て話さない」=「発達に問題あり」とは言えません。
このように、人見知りの有無や程度だけでは発達に問題ありと安易に結びつけられないことと同じく、それぞれの項目だけで断定しないようにしましょう。
気になる場合は専門家に相談を
子供が幼いときは、子供が見せるちょっとした様子に違和感を感じると、親は「これは何か問題があるからではないか」「発達に問題ありのサインかも」と考えてしまいます。子育てにおいて常に子供を観察すること自体は親としてとても正しい姿勢だと言えますが、度が過ぎて子育てや自分の生活にも影響が出てしまうのは困りますよね。そんなときは、保健所や自治体が実施する相談会に参加し、専門家からアドバイスを受けるなら安心です。特に不安を解消したいと考えるお母さん・お父さんは、自治体の『子育て支援課』や『福祉課』等に問い合わせ、子供の療育センターや病院などを紹介してもらい、医師や保健師の診察とアドバイスを受けることもできます。
子供に発達の問題があるかも知れないと思えば不安は大きくなりますが、たとえ発達に問題があったとしても今ジタバタしてどうにかなることではありません。ネガティブに考え過ぎたり、ネット等で公開されている根拠が不確実な情報をそのまま鵜呑みにせず、子供にとって一番良い対応が出来るようにしていきたいもの。
子供は親の不安を敏感に察しますので、親がいつも不安でいることも人見知りに影響し、人と目を合わせないようになったり、自分がしたいことをすぐに行動できなくなったりしてしまいます。子供を明るく育てるためにも、不安があるときは専門家に相談してすぐに解決・対処することが望ましいのです。
悩みすぎないで!人見知りも個性の1つ
どんな子のどんな性格にも良い面もあれば良くない面もあるのと同様、人見知りだって悪いことばかりではないからです。
人見知りは自分と他人との距離感を少し考え過ぎる傾向があるだけとも言えます。
慎重な性格の表れとも考えられますし、周りの空気を察することができるとも考えられますので、決して短所と言い切ることもできないのです。
人見知りが激しいと、周りの人から、育て方に難癖を付けられたり子供の性質に問題があるのではと言われたりすることもあるかもしれません。ですが、子供の人見知りで悩みすぎないように、「これがうちの子の個性!」とおおらかに捉え、人見知りを叱るのではなく、『人と会ったときには挨拶する』など、どうすればいいか?を恥ずかしがり屋の子どもに合わせて教えていってあげましょう。