不登校の原因と親の対応方法
不登校の原因から読み取る子供の心が抱える悩みと親の対応
子供の不登校の原因は一体何なのでしょうか?ある日突然、我が子が学校に通わなくなったら…「親として無理にでも行かせる」のは正解ではありません。不登校の原因ともなりうる子供の悩みから子供の心の葛藤を読み取り、子供が不登校になった原因は何かを子供の心に寄り添って考えていきましょう。
不登校の原因は?子供の心の悩みを読み取ろう
「お腹が痛いから、今日は学校に行きたくない」「何だか、熱があるみたい・・・」というちょっとした異変が、まさか子供の不登校の予兆だったなんてと驚かれるご両親は少なくありません。
まさか我が子が不登校なんて・・・と落ち込んでしまうかもしれませんが、親が悩んでいても子供の不登校は解決できません。子供の不登校には何らかの原因がありますから、諦めずに真剣に向き合うことが大切です。
それでは一緒に、子供の不登校の原因をリサーチしていきましょう。子供の心の悩みを読みとって、寄り添ってあげるのが親の役目です。
決して珍しいことではない!不登校は増えている
文部科学省の2014(平成26)年度「問題行動調査」によると、今まで減少傾向にあった不登校の数が、平成25年・平成26年は増加傾向にあるといいます。
ちなみに不登校と定義されるのは、病気や経済的な理由以外で、年度間に30日以上欠席した生徒のことを指します。更に詳しく見ていくと、児童生徒数1,000人当たりの不登校児童生徒の数は、小学校で3.9人、中学校では27.6人となっています。
この数字ですが、小学校では過去最多を更新しています。「不登校なんて、うちの子に限ってあり得ないわ」「毎日楽しそうに学校に行っているから大丈夫」と思っている方も少なくありませんが、決して他人事ではないと認識しておきましょう。
- 学校を休みたいという子供に対してどのように対処すれば良いか考えたことがありますか?子供たちは様々な原因で学校を休みたいということがあります。それぞれの原因に対してどのように対処すれば良いか解説します。
不登校の6つの原因と対応方法とは?
それでは、不登校の原因について一緒に確認していきましょう。
もちろん、全ての子供がこれから紹介する6つの原因に当てはまるわけではありません。しかしながら、不登校の原因がわからない場合には原因を探る必要からも、どのような事象が不登校の原因となっているのかを知ることも大切です。併せて、原因に対する対応方法も一緒にまとめておきます。
原因1◆人間関係のトラブル
人間関係のトラブルが原因で、自ら命を絶ってしまう子供のニュースを目にすることも少なくありません。実際に我が子が不登校になってしまうと、人間関係のトラブルが原因ではないかと感じてしまう親も多いのですが、現状ではそれが原因で不登校になってしまう子供の割合は約0.5~2%と、数値的にはあまり多くはありません。
これについては、深刻な問題に発展する前の「友人同士のトラブル」という時点で、学校に行かなくなってしまう子供達の方が多いことも挙げられますが、教師や親が把握しきれていないトラブルも多くあるだろうことは否めません。
陰湿な人間関係が原因で不登校になる子供の割合はそれほど高くはないというものの、最近のトラブルは昔とは違いインターネットやSNSを利用した悪質なものが増えています。
自分の知らないところで悪口をインターネット上に載せられていたり、チャットのグループから自分だけ削除されていたりと、トラブルの形態も昔とは違った形となって目立つようになってきました。
さて、このように人間関係のトラブルの形態も変わってきた中で、トラブルが原因で不登校になっている子供にどのように接したら良いのでしょうか?
- 学校に行きたくないと子供が言い始めたとき、周りの大人たちはどんな対応をしてあげればよいのでしょうか。子供たちの本音を知り、親が取るべき姿勢や年代ごとの心境や背景について一緒に模索していきましょう。
人間関係が原因で不登校!子供への対応方法とは?
人間関係が原因の場合、子供は自分の口からその事実をなかなか言い出せないと思います。「私、陰湿な意地悪をされていて学校に行きたくないの」と正直に言える子供は、ハッキリ言ってごく少数です。
ですから、不登校の兆候を感じた時点で親の方から「最近、学校でお友達とうまくいってないのかな?」「嫌いな人とは、無理に関わりを持たなくていいのよ」と、子供が話しやすいきっかけの言葉を投げかけてあげてはいかがでしょうか?
一番言ってはいけない言葉は「人間関係でもめるのは、やられる方が悪いのよ」「そんなことに負けるな」「やっている人に、やらないでって言いなさい」のような、人間関係のトラブルに対して果敢に立ち向かっていくことを後押しするような言葉です。
人間関係の揉め事は頑張って解決できるものではありません。陰湿な嫌がらせなどは根絶が難しいこと、エスカレートしやすいこと、子供の心を著しく傷つけることなどから、子どもの力で解決出来るレベルにはない問題。親が対処し子供を守るべき事例も多くあります。
また、(親は不服にせよ)ときの流れが解決してくれるという場合もあります。ですから、不登校になった子供を決して責めるのではなく、とにかく話を聞いてあげることを優先しましょう。
原因2◆反抗
誰にでも「反抗期」はあるものです。ですが、親に対する反抗心が人より大きく、非行や悪い仲間との遊びに走り、学校に通わなくなるケースも少なくありません。
第二次反抗期は思春期に芽生える親からの自立心ゆえの自然な反抗心が起こる時期ですが、アイデンティティが確立されているわけでもない自信のなさ、未熟な不安から、友人関係に連帯感を求める傾向にあります。
特別に親しいわけではなくても、どの時代にも「不良」はいて、実際に非行や遊びによる不登校の原因は全体の9~13%を占めているので、反抗期の不登校の理由としては珍しくはないのです。
ほとんどの子供が迎える反抗期ですが、ごく一部の子供達が非行や遊びに走ってしまうのには何か理由があるのでしょうか?反抗期も相成り思春期の子供が非行や遊びに走ってしまうのには、特別な原因があるようです。例えば、以下の理由が考えられます。
- 両親が毎日のように喧嘩をして自宅で安らぐ空間を失くして、夜に出歩くようになった。
- 成績優秀な兄と比較されるのが嫌で、自宅に帰りづらくなった。
- 生きがいとしていたサッカーを、ケガで出来なくなった。
- 進学校に通っていて、勉強が嫌になった。
- 一人っ子のため親の期待が大きく、自宅で親と過ごすのが嫌になった。
このように、心のよりどころとしていたことが出来なくなったり、両親の期待に応えなければと一生懸命頑張っていた糸がプツンと切れてしまったときに、非行や遊びへと走ってしまうことが多いようです。
- 中学生は勉強しない、勉強嫌いの子供が増える時期です。それは反抗期や交友関係が広がるためで、勉強よりも楽しいことがあるからです。中学生の子供に勉強しないときの適切な親の対応を紹介します。
反抗が原因で不登校。子供への対応方法とは?
第二次反抗期の子供の親への反抗心は、まだまだ精神的自立には至らない甘さゆえですから、反抗しつつも自分に意識を向けて欲しいという気持ちもあります。
「学校に通わなくなったら、親は自分のことをどう思うかな?」「いつもいつも仕事ばかりなんだから、少しくらい親は困ったって関係ない」という子供ならではの考えにも、精神的自立に向けた成長過程がさせていることと理解して対応していくようにしましょう。
反抗期のこじれが原因で子供が不登校になったなら、しっかりと愛情を注ぎ、非行などダメなことはダメとした上でも認めるべき部分も増やしていくことが大切。子供だって反抗しつつも、親は仕事よりも世間体よりも、自分が一番大切なのは十分にお分かりのはずです。
「親にとって、一番大事なのは子供よ」と言葉と態度でたくさん伝えて、愛情表現をしていきましょう!ポイントは非行や遊びに走っている子供を頭ごなしに責めないことです。それらの行動の背景や子供の成長過程を考慮して頭ごなしではない対応を取るようにしましょう。
原因3◆気力・やる気が湧いてこない
「何もしたくない」「動きたくない」「考えたくない」など、気力が湧いてこなかったり、パワー不足の子供達が増えています。これらはメンタル的な要素も絡んでくる問題で大人に多いようなイメージがありますが、意外にも、不登校の原因で一番となる理由でもあります。「気力・やる気が湧いてこない」子供たちは、小中学生では全体の25.9%、高校生では30.1%と高い割合になっています。
子供が無気力になってしまうのにも、様々な原因があるようです。以下にまとめてみました。
- 志望した学校に入学できなかったから、通いたくない。
- 進学校に入学したら、自分よりも出来の良い人がたくさんいて、自信を喪失した。
- 良い子でいる自分に疲れた。
- 受験が終わって、気が抜けた。
上記の理由が暗に示唆するものに「燃え尽き症候群」があります。
理想の自分に何とかして近づこうと必死に努力した結果、どこかでスイッチが切れて無気力状態になってしまい起こりますが、気力が湧いてこないと、学校に行くことは億劫になりますし、中には起き上がって顔を洗うことすら面倒に感じる子も出てきます。このような精神状態が続くことで、いつの間にか学校に行かないのが当たり前になり、引きこもり状態になってしまうのです。
気力・やる気が湧いてこないことが原因で不登校。子供への対応方法とは?
正直、気力・やる気がない状態で「頑張れ!」「学校に行こう」「勉強しなさい」と言っても、子供の心には何も響きません。気力が湧かないと、食欲も落ちてしまうことが多いので、体調を崩してしまう子供もしばしば出てきてしまうのです。そこで、まずは少しでも気力とやる気が回復するように、十分に休ませてあげることが大切です。
それが、1週間なのか、1ヶ月なのかは分かりません。子供の状態に合わせて、親が気長に待ってあげるようにしましょう。そして少し前向きさを取り戻したのなら、規則正しい生活を送るサポートをしてください。例えば「ちょっとそこのスーパーまで、おつかいを頼んでいいかしら?」などと、目的を作ってあげて、達成感を思い出させてあげるのも1つの方法です。
メンタルヘルスを健全に保つにはある程度の意志が必要です。意思を強く持ち自己管理していくことのできないうちは親のサポートが必要ですが、メンタルが弱くなってるときに自己管理を求めるのも無理な話。無気力などの問題はカウンセリングを受けたりメンタルクリニックに相談をして対応を考えるのも良いでしょう。
原因4◆勉強について行けない
せっかく有名進学校に通っていたのに、不登校になってしまう子供達の多くが「勉強について行けない」という理由で、学校に行くことを拒否してしまいがちです。
不登校の原因のうち全体の約9%を占めている学業不振は、しばしば子供にとって大きな悩みとなります。
- 学校生活が辛いと子どもに告白されたとき、あなたはどう受け止めてあげられますか?学校が辛いという子どものリアルな現状を探り、親としてどう対応すべきなのか、学校以外の選択枠などについても詳しく解説します。
「毎日勉強ばかりで疲れてしまう」「授業のスピードについて行けない」「進学校独特の雰囲気に違和感を覚えた」という感情が出てくると、次第に学校と勉強の2つから離れてしまいたくなるのです。
勉強についていけなことが原因で不登校。子供への対応方法とは?
勉強についていけないことが不登校の原因なのであれば、勉強が楽しくなるように成績を引き伸ばしてあげることが親としての役目です。
一緒に宿題をしたり、子供が塾に通いたいと言えば通わせてあげるのも、1つの方法でしょう。
しかしながら、勉強の目的が持てないのなら、本人が必要性を感じるまでは勉強から離れて過ごさせてあげましょう。「人生、成績で決まらないから」「勉強が出来なくても、立派な人はたくさんいるわよ」と、勉強から敢えて離れて視野を広く持ち、将来を考えていく方法も教えてあげましょう。
原因5◆家庭内トラブル
家庭内のトラブルが引き金となって、不登校になってしまう子供も少なくありません。子供は大人よりもはるかに敏感ですし、精神的なダメージを受けやすい傾向にあります。例えば、両親の離婚・親のリストラ・介護による家庭内のトラブルなどが起きると、大きなストレスを感じて学校に行けなくなってしまうのです。
学校に通うよりも、家庭内で起きたトラブルを受け止めることで精一杯になってしまうのかもしれませんね。このような家庭内トラブルによって、悪い仲間とつるみ始めたり、自分の部屋から出て来なかったりという何らかの変化がでてくるはずです。
家庭内トラブルが原因で不登校。子供への対応方法とは?
家庭内トラブルの影響を受けるなら、恐らく、毎日大きな不安に押しつぶされそうになっている子供たち。元凶である家庭内トラブルの解決が1番優先すべきことですが、それと合わせて子供が安心できるような言葉を投げかけてあげましょう。
「大丈夫。絶対にあなたのことだけは守るから」「何も心配しないで。ママはあなたから離れないわ」など、子供を包み込むような言葉をかけてあげるのです。
そうすることで、子供の心の中に安心感が生まれて、家庭内トラブルが起きていようとも強く生きていくことが出来るかもしれません。
原因6◆親と離れるのが不安
小学校低学年~中学年には、「ママと離れたくない」「学校に行ったり、友達と遊ぶよりも、家に居たい」と、自立心が育たないことが不登校の原因となっている小学生が増えています。
さすがに中学生や高校生には見られない理由ですが、親と離れることで大きな不安を覚える小学生は珍しくはありません。子供が親から自立できないのと同時に、親も子供から自立できないケースもあり、子供だけに原因があるとは言い難いのです。
親と離れることが不安で不登校。子供への対応方法とは?
たとえば何でも親がやってあげたり、いつも助け船を出してしまうのは、良い教育とは言えませんね。親として、ときには心を鬼にして子供と接する覚悟を持ちましょう。
まずは何でも子供にやらせてみて、子供がどうしても出来なかったら救いの手を伸ばすなど、最初から100%サポートしないようにして下さい。子供の自立を促すために、まずは親が子離れすることが大切です。
不登校中の子供とどのように接したら良いの?
では、不登校中の子供とはどのように接したら良いのでしょうか?まず、絶対にしてはいけないことは「不登校の子供を責めること」です。
「どうしてあなたは、きちんと学校に行けないの!」「他の子は行っているのに・・・」と、他の子と比較したり、不登校であることを責めるのはNGです。
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不登校になりたくてなっている子はいないのだと、親であるあなたがきちんと理解しておきましょう。
子供の存在をきちんと受け止めて、一緒に悩み、話を聞いてあげることが一番大切です。子供の話を聞いてもいないのに、アドバイスをしてはいけません。アドバイスをするよりも、まずは一生懸命聞くことに意味があるのです。
「こんな自分でも、親は愛してくれるのだろうか?」と不安になってしまう子も、非常に多いです。そこで、意識的に「愛している」「大切だよ」と愛情表現をしてあげることもお忘れなく。
いかがでしたか?今回は不登校の6つの原因と、その対応法についてご紹介しました。
子供が不登校になると、親としては心配で仕方がないと思います。しかしながら、親だからこそどっしりと構えて、その原因に気づいてあげることが大切です。親として子供が不登校であるという現実から逃げることなく、しっかりと向き合って一番近くで支えてあげて下さいね。