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ぶりの栄養

2025.8.5

ぶりの栄養と魅力を深掘り 部位・調理法・天然と養殖の違いまで徹底解説

日本の食卓で親しまれるぶりの栄養素や脂質、たんぱく質のバランスを詳述。出世魚としての文化的背景、寒ぶりの旬や代表的な産地の特徴も紹介。刺身や焼き物などの調理法ごとの栄養変化、部位別の特徴、さらに天然ぶりと養殖ぶりの味や栄養の違いについても徹底解説した内容です。

ぶりの栄養を徹底解説|栄養成分・食べ方・調理法まで網羅

ぶりとはどんな魚?

ぶりの分類と名前の変化(出世魚)

ぶりはスズキ目アジ科に属する海水魚で、日本近海を中心に広く分布しています。幼魚から成魚へと成長する過程で名前が変わる「出世魚」としても知られ、地域によって呼び名に違いがあるのが特徴です。たとえば、関東ではモジャコ→ワカシ→イナダ→ワラサ→ブリという順で呼ばれ、関西ではツバス→ハマチ→メジロ→ブリと変化します。

このような出世魚の文化は、魚の成長段階を理解しやすくするだけでなく、地域ごとの漁業や流通の特色にも深く関わっています。成長とともに体長や脂ののりが変わるため、料理においても使い方が異なり、若魚はさっぱりとした味わい、成魚は脂がのって濃厚な味になります。

日本では古くから縁起の良い魚として親しまれており、特にぶりの名前の変化が「出世」や「成長」と結びつけられ、お祝いの席などにも登場します。江戸時代には武士の出世を祈願してぶりを贈る風習もあり、文化的な意味合いも持つ魚です。

項目 内容
分類 スズキ目アジ科の海水魚
分布 日本近海を中心に広く分布
出世魚の特徴 幼魚から成魚へ成長する過程で名前が変わる
関東の呼び名 モジャコ → ワカシ → イナダ → ワラサ → ブリ
関西の呼び名 ツバス → ハマチ → メジロ → ブリ
料理の違い 若魚はさっぱり、成魚は脂がのって濃厚な味
文化的意義 出世や成長の象徴。江戸時代には武士の出世祈願で贈答に使われた。

旬の時期と産地の特徴

ぶりの旬は地域や漁法によって若干異なりますが、最も脂がのって美味しいとされるのは冬の寒ぶりの時期です。特に日本海側の富山県氷見(ひみ)や石川県の能登半島、九州地方の長崎県などが有名な産地として知られており、寒流と暖流が交差する漁場で育つぶりは、豊富なエサと適度な水温の影響で脂質の質が良くなるとされています。

氷見の寒ぶりは、一定の基準を満たしたぶりにのみ与えられるブランド名で、漁獲量よりも品質を重視した出荷体制が組まれています。このように、産地によってブランド化されているぶりは、市場での価値も高く、年末年始の贈答品や高級料理店で取り扱われることも少なくありません。

項目 内容
旬の時期 冬の寒ぶりの時期(地域や漁法により若干異なる)
主な産地 富山県氷見、石川県能登半島、長崎県(九州地方)
産地の特徴 寒流と暖流が交差する漁場で育つため、脂質の質が良い
ブランド名「氷見の寒ぶり」 一定基準を満たしたぶりにのみ与えられ、品質重視の出荷体制
市場価値 高く、年末年始の贈答品や高級料理店で取り扱われることが多い

ぶりの基本的な栄養成分

ぶり100gあたりの栄養成分表

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)」によると、ぶりの可食部100gあたりには多くの栄養素がバランス良く含まれています。代表的な値として、エネルギーは約257kcal、たんぱく質は約21.4g、脂質は約17.6gとされています。炭水化物はごくわずかで、糖質制限を意識する方にも向いている食材です。

この栄養成分は、天然のぶりか養殖のぶりかによって多少の違いが生じます。特に養殖ぶりは脂質の含有量が高く、カロリーもやや増える傾向にあります。また、部位によっても成分に違いがあり、皮付きや血合い部分を含めた場合は微量栄養素の含有量も変動するため、参考値として理解することが大切です。

項目 数値・特徴 備考
エネルギー 約257kcal / 100g 日本食品標準成分表(八訂)による
たんぱく質 約21.4g / 100g 良質なたんぱく質源
脂質 約17.6g / 100g 養殖ぶりは脂質含有量が高め、カロリーも増加傾向
炭水化物 ごくわずか 糖質制限向きの食材
養殖ぶりとの違い 脂質が多くカロリーもやや高い 養殖の餌の影響による
部位による違い 皮付きや血合い部分含むと微量栄養素に変動あり 参考値として理解が必要

ぶりに含まれる主な栄養素(たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラル)

ぶりは良質なたんぱく質源であり、筋肉や臓器を構成する必須アミノ酸を豊富に含んでいます。たんぱく質の吸収効率も高く、動物性たんぱく質の中でも比較的消化しやすい点が特徴です。脂質は主に不飽和脂肪酸で構成されており、エネルギー源として機能するだけでなく、脂溶性ビタミンの吸収にも関与しています。

ビタミン類では、脂溶性ビタミンであるビタミンAやビタミンD、水溶性ビタミンではビタミンB群が含まれており、特にB12の含有量が高いことで知られています。ミネラルについては、ナトリウム、カリウム、リンなどがバランス良く含まれています。これらは体の水分調整や骨の形成、酵素の働きに関与する重要な成分です。

皮や血合い部分には、通常の筋肉部分とは異なる栄養素が含まれており、鉄分やビタミン類がやや多くなっています。調理の際に取り除かれがちな部分ですが、栄養価の点では見逃せない部位と言えるでしょう。

項目 内容・特徴 備考
たんぱく質 良質なたんぱく質源。必須アミノ酸を豊富に含む。吸収効率が高く消化しやすい。 筋肉や臓器の構成に重要
脂質 主に不飽和脂肪酸で構成。エネルギー源となり、脂溶性ビタミンの吸収を助ける。 健康的な脂質バランス
ビタミン ビタミンA、ビタミンD(脂溶性)、ビタミンB群(水溶性)を含む。特にビタミンB12の含有量が高い。 免疫や代謝機能をサポート
ミネラル ナトリウム、カリウム、リンなどをバランスよく含む。 水分調整、骨の形成、酵素活性に関与
皮・血合い部分 筋肉部分とは異なり、鉄分やビタミン類がやや多め。 栄養価が高いが調理で除去されがち

なお、ぶりの加工状態(刺身・焼き・煮物など)によっても、含有する栄養成分は若干変化します。加熱により水分が減少し、栄養素が濃縮される一方で、熱に弱いビタミンの一部は損失する可能性があります。

ぶりのエネルギー量とPFCバランス

ぶりのエネルギー量は100gあたり約250kcal前後で、魚類の中でもやや高めの部類に入ります。このエネルギーの大半は脂質によるものであり、次いでたんぱく質が寄与しています。炭水化物はほとんど含まれておらず、PFCバランス(たんぱく質・脂質・炭水化物の比率)は、たんぱく質と脂質に大きく偏った構成となっています。

具体的には、P(Protein:たんぱく質)が約33%、F(Fat:脂質)が約62%、C(Carbohydrate:炭水化物)が1%未満というのが一般的な数値です。このため、低炭水化物食を心がけている人にとっては、栄養バランスの調整がしやすい食材のひとつとして利用されています。

また、天然ぶりと養殖ぶりの間でもPFCバランスに違いが見られます。天然ぶりは脂質がやや少なくたんぱく質比率が高めですが、養殖ぶりは餌の影響で脂質の割合が増えやすく、カロリーも高くなる傾向があります。料理に使用する際には、目的に応じて使い分けるとよいでしょう。

項目 内容・数値 備考
エネルギー量 約250kcal / 100g 魚類の中ではやや高め
主な栄養素 脂質(主成分)、たんぱく質 炭水化物はほとんど含まれない
PFCバランス(一般) たんぱく質:約33%
脂質:約62%
炭水化物:1%未満
一般的な数値
PFCバランス(天然) 脂質少なめ、たんぱく質比率高め 天然ぶりの特徴
PFCバランス(養殖) 脂質多め、カロリー高め 養殖ぶりは餌の影響で脂質増加
利用のポイント 低炭水化物食に適している 栄養バランス調整がしやすい

刺身と加熱で栄養はどう変わる?

ぶりの刺身の栄養的特徴

ぶりの刺身は、加熱による栄養素の損失がないため、栄養成分を比較的そのまま摂取できるのが特徴です。特に水溶性ビタミンや熱に弱い脂溶性ビタミンは、加熱によって減少することがあるため、生の状態で食べることでそれらを効率よく取り入れることが可能です。また、刺身は脂質の質や風味をダイレクトに感じられるため、ぶり特有のまろやかさや口どけの良さを活かした食べ方といえます。

100gあたりのエネルギー量は加熱調理と比べて若干低めですが、これは水分が多く保持されているためです。タンパク質や脂質の構成比はほぼ同じでも、重量当たりの栄養濃度は生のほうがやや薄くなる傾向にあります。そのため、少量でもしっかり栄養を摂りたい場合は加熱調理が適していますが、素材本来の状態で摂取したい場合には刺身が最適です。

特徴 内容 メリット・注意点
栄養素の損失 加熱による栄養素の損失がなく、水溶性ビタミンや脂溶性ビタミンを効率的に摂取できる ビタミン類を効率良く摂取可能
脂質の質と風味 脂質の質や風味をダイレクトに感じられ、ぶり特有のまろやかさや口どけの良さが活きる 素材本来の味わいを楽しめる
エネルギー量 100gあたりのエネルギーは加熱調理より若干低め(水分量が多いため) 重量あたりの栄養濃度はやや薄い傾向
適した摂取状況 少量でも栄養をしっかり摂りたい場合は加熱調理が良いが、素材本来の状態を楽しみたい場合は刺身が最適 目的に応じて調理法を選ぶ

焼き・煮付け・照り焼きなど調理法別の違い

ぶりを焼いた場合、水分が飛ぶことによって重量当たりの栄養素が凝縮される傾向があります。特にたんぱく質と脂質の割合が増え、カロリーも高めになります。一方で、ビタミンB群のような水溶性ビタミンは熱に弱いため、加熱によってある程度減少することが知られています。また、焼き調理では皮の表面に焼き目がつくことで風味が増し、脂質の一部が溶け出すため、さっぱりとした仕上がりになります。

煮付けは調味料と一緒に煮るため、栄養素の一部が煮汁に溶け出す可能性があります。とくにミネラルやビタミン類は煮汁に移行しやすいため、煮汁も一緒に摂取することで無駄なく栄養を取ることができます。照り焼きは、味付けによってエネルギーが高くなる傾向があるものの、食べ応えがあり、脂質の風味も引き立てやすい調理法です。

調理によって脂の溶け出し具合や風味が変化するため、同じぶりでも料理の種類によって栄養の感じ方や摂取効率が異なります。そのため、食べ方を意識して選ぶことで、目的に合わせた栄養摂取が可能となります。

ぶりとぶりを使った料理の栄養

ぶりは豊富な栄養素を含む魚として知られており、そのまま食べる刺身から調理されたさまざまな料理まで、多彩な食べ方で楽しめます。ここでは、ぶりそのものと、ぶりを使った代表的な料理の栄養成分を一覧にまとめました。各料理の分量や重量、カロリーも併せてご紹介していますので、食事のバランスを考える際の参考にしてください。

料理名 分量 重量 カロリー
ぶりの栄養 切り身 200g 444kcal
ぶり大根の栄養 深型小皿一杯 138.4g 104kcal
ぶりの照り焼きの栄養 一人分 131g 287kcal
ぶりしゃぶの栄養 一人前 501g 321kcal
ぶりの刺身の栄養 3切れ程度 45g 100kcal
ぶり寿司の栄養 1貫 41g 78kcal
ぶりの塩焼きの栄養 1切れ 103g 222kcal
ぶりの照り焼き定食の栄養 1人前 600g 660kcal
ぶりの南蛮漬けの栄養 1切れ 134.6g 232kcal
ぶりの塩麹焼きの栄養 1切れ分 103g 213kcal
ブリのソテーの栄養 ぶり1切れ 236.6g 317kcal

栄養を逃さない調理のコツ

ぶりの栄養素をできるだけ失わずに調理するためには、加熱時間と温度を適切に管理することが重要です。特にビタミンB群や脂溶性ビタミンは高温で長時間加熱すると減少しやすいため、加熱は短時間で仕上げるのが基本です。また、焼き調理では皮面を先に焼くことで、旨みや脂質を内部に閉じ込めやすくなり、風味と栄養の両方を損なわずに調理することが可能です。

煮付けなどの汁物調理では、煮汁を捨てずに利用する工夫がポイントです。味付けを濃くしすぎず、汁ごと飲むような形で提供することで、水溶性成分の損失を最小限に抑えることができます。また、アルミホイルや蓋を活用して蒸し焼きにすることで、内部の水分や栄養素を閉じ込めたままふっくらと仕上げることができます。

その他にも、加熱前にぶりを塩で軽く締めておくことで、旨味や栄養が逃げにくくなり、調理後も味がぼやけません。こうした下処理の工夫が、ぶりの栄養価を保ちながらおいしく仕上げる鍵となります。

調理ポイント 説明 効果・メリット
加熱時間と温度の管理 ビタミンB群や脂溶性ビタミンは高温で長時間加熱すると減少しやすい。加熱は短時間で仕上げるのが基本 栄養素の損失を最小限に抑える
皮面を先に焼く 焼き調理時に皮面を先に焼くことで旨みや脂質を内部に閉じ込める 風味と栄養を損なわずに調理可能
煮汁を捨てずに利用 煮付けなどの汁物調理で煮汁を捨てずに提供。味付けは濃くしすぎない 水溶性成分の損失を最小限に抑える
蒸し焼きにする アルミホイルや蓋を使って蒸し焼きにし、内部の水分や栄養素を閉じ込める ふっくらとした仕上がりで栄養を保持
加熱前の塩締め 加熱前にぶりに軽く塩をふって締めておく 旨味や栄養が逃げにくくなり味がぼやけない

ぶりを使った人気レシピ

定番の「ぶりの照り焼き」

ぶりの照り焼きは、日本の家庭料理の中でも特に人気のあるメニューのひとつです。醤油・みりん・酒・砂糖を基本とした甘辛いタレが、ぶりの脂の乗った身とよく絡み、白ご飯が進む味わいに仕上がります。切り身に軽く小麦粉をまぶしてから焼くことで、タレが絡みやすくなり、見た目にも艶が出るため食欲をそそります。

調理の際は、ぶりの切り身の皮面から焼き始めると、身崩れを防ぎつつ表面に美しい焼き色がつきやすくなります。焼き上がった後にタレを加えて煮詰めながら絡めることで、香ばしさとコクが一層際立ちます。忙しい平日の夕食でも簡単に用意できるため、定番料理として多くの家庭で親しまれています。

塩焼きやポン酢を使ったさっぱりレシピ

ぶりの塩焼きは、素材本来の味を活かしたシンプルな料理で、魚のうま味をダイレクトに楽しめる一品です。焼く前に軽く塩をふってしばらく置くことで、余分な水分と臭みが抜け、焼いたときの香ばしさと食感が引き立ちます。表面がパリッと焼けるように中火でじっくりと焼くのがポイントです。

また、ポン酢を使ったレシピは、ぶりの脂をさっぱりと楽しみたいときに最適です。焼いたぶりにポン酢をかけるだけでなく、大根おろしや刻みネギを添えることで、さらに風味が増し、食欲を刺激する一皿になります。暑い季節やさっぱりしたいときにおすすめの調理方法です。

ぶり大根・ぶりかまなどの家庭料理

ぶり大根は、冬の定番料理として知られており、ぶりのうま味と大根のやさしい味わいが調和する温かみのある家庭料理です。下茹でした大根に、下処理したぶりの切り身を加え、醤油やみりん、酒でじっくり煮込むことで、味がしっかりと染み込み、時間をかけたぶんだけおいしさが増します。特に大根が透き通るようになる頃が食べごろです。

ぶりかまは、ぶりの頭やエラの周囲の部分を使った料理で、脂が乗っていて濃厚な味わいが特徴です。塩焼きにするのが一般的で、特に皮の周辺や骨の間の身が人気があります。部位の性質上、加熱に時間がかかるものの、香ばしさとジューシーさを兼ね備えた一品に仕上がります。

これらの料理は、家庭にある調味料と少しの手間で本格的な味わいを楽しめるため、日常的な食卓にぴったりのぶりレシピとして広く親しまれています。

ぶりの洋風アレンジレシピ

ぶりは和風の味付けが一般的ですが、洋風のアレンジでも十分にその魅力を引き出すことができます。例えば、ぶりのムニエルは小麦粉をまぶしてバターで焼き上げる調理法で、香ばしい香りとコクのある味わいが楽しめます。付け合わせにレモンやハーブを添えると、脂の強いぶりでもさっぱりとした後味になります。

トマトソースやバジルソースを使ったソテーや、オーブンでのグリル調理もおすすめです。ソースの酸味や香草の風味がぶりの脂とよく調和し、洋風の献立として食卓を彩ります。また、ぶりを使ったカルパッチョやマリネなどの冷製料理も、前菜として喜ばれるメニューのひとつです。

和食のイメージが強いぶりですが、調理法と味付けを工夫することで、洋風の食事とも違和感なく組み合わせることが可能です。献立に変化をつけたいときや、おもてなし料理としてアレンジしたい場合にも適しています。

部位ごとの栄養の違い

切り身・かま・白子の特徴

ぶりの切り身は一般的に販売されている最もポピュラーな部位で、調理のしやすさと安定した味わいが魅力です。可食部が多く、皮や骨が少ないため、照り焼き・塩焼き・煮付けなどさまざまな料理に適しています。脂のノリは部位によって差がありますが、腹側の切り身は特に脂質が豊富で、焼き物や揚げ物に向いています。一方、背中側は脂がやや少なく、あっさりとした味わいになります。

ぶりの「かま」は頭部のすぐ後ろの部分で、骨のまわりに旨みが詰まっているのが特徴です。見た目はゴツゴツしていますが、脂が乗っており、焼くことで表面は香ばしく、中はジューシーな食感が楽しめます。骨の周りにはコラーゲンも多く含まれており、独特の口当たりがあるため、焼き物や煮物で好まれる部位です。

白子はぶりの雄にのみ見られる生殖腺の一部で、クリーミーでとろけるような食感が魅力です。切り身やかまとは異なり、脂肪分よりもたんぱく質が中心で、水分量が多いため加熱調理では縮みやすい性質があります。扱いが難しいとされる一方で、旬の冬場には特に人気が高く、鍋料理や天ぷらなどに使われます。

部位 特徴 調理例
切り身 一般的に販売される最もポピュラーな部位。可食部が多く皮や骨が少ない。脂のノリは部位により差があり、腹側は脂質豊富、背中側はあっさり 照り焼き、塩焼き、煮付け、焼き物、揚げ物
かま 頭部すぐ後ろの部分。骨のまわりに旨みが詰まっている。脂がのっており、焼くと香ばしくジューシー。コラーゲンも豊富 焼き物、煮物
白子 雄の生殖腺の一部でクリーミーなとろける食感。脂肪分よりたんぱく質が中心。加熱で縮みやすく扱いが難しい 鍋料理、天ぷら

白子やあらの使い方とレシピ例

白子は下処理をしっかり行うことが調理の鍵で、水洗いと酒または塩での臭み取りが必要です。その後、湯通しをしてから鍋や汁物に入れると、クセが抑えられ、まろやかな風味が引き立ちます。ポン酢をかけてシンプルにいただく白子ポン酢は定番で、熱を加えすぎないように調理することで、やわらかな食感が保たれます。天ぷらにすると外はサクサク、中はとろりとしたコントラストが生まれ、白子の旨みを存分に味わえる一品になります。

ぶりの「あら」は、頭・骨・ひれのまわりなど、普段は捨てられがちな部位ですが、実は多くのうま味成分を含んでおり、煮物やだし取りに重宝されます。ぶりあら煮はその代表的なレシピで、生姜や酒と一緒に煮込むことで、骨まわりのゼラチン質がとろけるような食感になり、食卓の主役にもなり得ます。また、味噌汁や鍋にするとだしのコクが加わり、他の具材との相性も良く、寒い季節にぴったりの料理となります。

これらの部位は一見扱いづらいように思えますが、調理法を工夫すれば家庭料理としても手軽に取り入れることができます。余すところなくぶりを活用することで、食材の魅力を最大限に引き出すことができます。

天然ぶりと養殖ぶりの違い

味や脂質、栄養の違いとは

天然ぶりと養殖ぶりは、見た目や味わいは似ているものの、その背景にある育ち方や栄養状態には明確な違いがあります。天然ぶりは海で自由に泳ぎながら自然の餌を食べて成長するため、筋肉質で身が引き締まっており、脂のノリは控えめながらもさっぱりとした上品な味わいが特徴です。時期や漁場によって脂質量にはばらつきがあるものの、自然環境の影響を大きく受けるため、旬の冬場には非常に高品質な魚体になる傾向があります。

一方、養殖ぶりは管理された環境で飼育され、脂肪を蓄積しやすいような高エネルギーの餌を与えられて育ちます。このため、年間を通して脂が安定してのっており、特に腹身の部分には豊富な脂質が含まれています。天然物に比べてやや柔らかい食感ですが、旨味とコクがしっかりと感じられるため、焼き物や照り焼きなどの濃い味付けの料理に適しています。また、脂質の構成や栄養素の比率にも違いがあり、特定のビタミンや脂肪酸の含有量が異なることがあります。

見た目にも違いが表れることがあり、天然ぶりは背中の色が濃く、体にハリがあるのに対して、養殖ぶりはやや丸みを帯びて白っぽく見えることが多いです。こうした特徴を理解することで、料理や好みに応じてどちらを選ぶか判断しやすくなります。

項目 天然ぶり 養殖ぶり
育ち方 海で自由に泳ぎ、自然の餌を食べて成長 管理された環境で高エネルギーの餌を与えられて育つ
身質・味わい 筋肉質で身が引き締まり、脂のノリは控えめ。さっぱりとした上品な味わい やや柔らかい食感で脂が安定。旨味とコクが強く、濃い味付けの料理に適する
脂質の特徴 時期や漁場で脂質量にばらつきあり。旬の冬は特に高品質 年間を通じて脂が豊富で特に腹身に多い
見た目の特徴 背中の色が濃く、体にハリがある やや丸みを帯びて白っぽく見えることが多い
栄養の違い 脂質の構成や栄養素の比率は自然環境の影響を受ける 特定のビタミンや脂肪酸の含有量が異なる

スーパーで選ぶ時のポイント

スーパーでぶりを選ぶ際には、まず「天然」か「養殖」かの表示を確認することが大切です。最近はパックや値札に明記されていることが多く、価格にも差があります。一般的に天然ぶりは高値で売られることが多いため、特別な日の料理や刺身で味わいたい時に選ばれる傾向があります。養殖ぶりは手頃な価格で安定して手に入るため、日常的な料理に向いており、脂のノリを重視する人におすすめです。

見た目から新鮮さを判断する場合は、身のハリと色合いに注目するとよいでしょう。新鮮な切り身はやや透き通ったようなツヤがあり、ドリップ(赤い液体)が少ないものを選ぶとよいとされています。また、皮付きで販売されている場合は、皮の色が鮮やかで銀色の光沢があるものが新鮮な証拠です。

養殖ぶりの場合、脂が多く含まれているため、購入後の調理で火の通り方に注意が必要です。特に厚切りの切り身では中まで火が通るのに時間がかかることがあるため、調理前に常温に戻すなどの工夫をすると仕上がりが良くなります。天然ぶりは脂が少ない分、焼きすぎると身がパサつくことがあるので、短時間の加熱で旨味を閉じ込めるのがポイントです。

ぶりをよりおいしく安全に食べるために

保存方法と消費期限の目安

ぶりは比較的足の早い魚であるため、購入後はできるだけ早めに消費することが望ましいです。特に生の切り身は冷蔵保存でも鮮度が落ちやすいため、当日か翌日までには調理を終えるのが理想です。冷蔵する際には、パックのままではなく、キッチンペーパーで表面の水分をふき取り、ラップや保存袋に包んで密閉状態で冷蔵庫のチルド室に入れることで、鮮度をやや長く保つことができます。

より長期間保存したい場合は、冷凍保存が効果的です。切り身は一枚ずつラップでぴったり包み、さらにフリーザーバッグに入れて空気をしっかり抜いてから冷凍庫へ入れます。この方法であれば2〜3週間は保存可能ですが、冷凍焼けや風味の劣化を防ぐためにも、なるべく早めに使い切るのが望ましいです。解凍する際は、冷蔵庫で半日〜1日かけて自然解凍するのが基本で、急激な解凍は食感や味を損なう原因になります。

調理後のぶりも保存の扱いには注意が必要です。例えば照り焼きや煮付けなどにした場合でも、冷蔵で2〜3日以内に食べきるようにし、再加熱する際にはしっかり中心まで温めることが大切です。作り置きする場合は、できるだけ空気に触れないように密閉容器に入れて保存し、味の変化がないうちに消費しましょう。

下処理の方法と臭みの取り方

ぶりは脂がのっているため、そのまま調理すると魚特有の臭みが残ることがあります。おいしく仕上げるためには、調理前の下処理をしっかり行うことが重要です。まず、表面に付着した血やドリップを流水で丁寧に洗い流し、キッチンペーパーで水気をしっかりとふき取ります。とくに血合い部分や腹の内側に残る血は臭みの元になるので、念入りに処理しましょう。

臭みを抑える方法として有効なのが「湯引き」です。切り身の皮目側に熱湯をさっとかけて表面を白く変化させた後、すぐに氷水に取って締めます。これにより、表面の余分な脂やぬめり、血が落ち、臭みが軽減されると同時に、焼き物や煮物にした際の仕上がりも良くなります。

さらに、下味をつける前に塩をふる「塩振り」も効果的です。切り身全体に軽く塩をふり、10〜15分ほど置いてから出てきた水分を拭き取ることで、臭み成分を外に出すことができます。この下処理を行うことで、加熱調理時の生臭さが抑えられ、味のしみこみも良くなるというメリットがあります。

下処理方法 内容 効果
流水で洗う 表面の血やドリップを丁寧に洗い流し、キッチンペーパーで水気をふき取る。特に血合いや腹の内側の血は念入りに処理。 臭みの元となる血や汚れを取り除くことで、生臭さを軽減する。
湯引き 切り身の皮目側に熱湯をさっとかけて表面を白く変化させ、すぐに氷水に取って締める。 余分な脂やぬめり、血が落ちて臭みを抑え、焼き物や煮物の仕上がりが良くなる。
塩振り 切り身全体に軽く塩をふり、10〜15分置いて出てきた水分を拭き取る。 臭み成分を外に出し、加熱調理時の生臭さを抑え、味のしみこみを良くする。

調理法によっては酒やしょうが、みりんなどの調味料を活用して風味を整えることも有効です。下処理のひと手間が、ぶり料理の仕上がりに大きな差を生むため、慣れていない場合でも試してみる価値があります。