療育手帳取得のための基準と申請

療育手帳を取得すると割引などのメリットが!

療育手帳は発達障害などの知的障害者が取得できます。障害の程度を判定するIQテストの数値には地域格差があり、細かい基準値が違い、判定結果にも違いが出ます。ですが、療育手帳を持っているとさまざまなメリットもありますので、申請を悩んでいる人は体験談も参考にし、検討してみましょう。

療育手帳を取得すると割引などのメリットが!

療育手帳の意味

療育手帳とは、都道府県の知事が発行している障害者手帳で、知的障害者がさまざまな補助を受けるために必要になる手帳です。知的障害者自身か保護者が申請することができ、住んでいる地域によって、療育手帳が愛護手帳や愛の手帳、みどりの手帳と呼ばれることがあります。

発達障害として分類されているのは、広汎性障害として知られる自閉症障害、アスペルガー症候群、小児期崩壊性障害、レット障害です。なお、広汎性障害の診断基準が変わり、アスペルガー症候群は自閉症スペクトラムに包括されています。(注1)

また、ADHDとして知られる注意欠陥・多動性障害、小学生頃になってくると判明する学習障害(LD)です。

療育手帳の判断基準と等級

療育手帳では、知的障害の程度をIQではかり、数値から最重度、重度、中度、軽度に分けられます。この療育手帳の判断基準は、国と地方自治体で違いがありますので、お住まいの福祉課など担当課に確認をしてみましょう。

最重度から軽度までのIQ値

  • 最重度:~IQ20
  • 重度:IQ21~35
  • 中度:IQ36~50
  • 軽度:IQ51~75 地域によっては70

認定区分

国の制度上、障害程度の表示は、A:最重度、重度、B:中度、軽度です。

自治体によって療育手帳の認定区分をAやBとせず、1~4度と分けているところもあります。自分が住んでいる地域で区分の基準が違ったり、Q値の境にいる場合は、行うタイミングで重度や中度になることもあります。

IQ値のボーダーに注意

IQ値のボーダー

療育手帳を交付するテストは1回きりです。また、申請者が本当に該当するか、都度、更新を行っていきます。
地方自治体によって区分が違いますが、IQ値の境にいる人はIQ数値が「1」違うだけで区分が違ってしまいます。
例えば、IQ50の人とIQ51の人では、IQ50なら中度なのにIQ51なら軽度の区分になります。同様に、IQ76を取得すると軽度対象外なので療育手帳がもらえなくなることもあります。

また、地域によって軽度の判定となるのが、IQ値が70~75と、差があります。地域によって、IQ71の人が軽度の療育手帳がもらえる場合もありますし、住んでいる地域のルールによって、療育手帳がもらえないことを意味しています。

取得できない発達障害グレーゾーン

ホワイトボードの前に立つ児童

明らかに発達障害の場合やIQ値が低い知的障害だと、療育手帳はもらいやすいです。ただ、問題となってくるのが、発達障害の特徴を持っているものの診断名がつかない時の発達障害のグレーゾーンです。

発達障害グレーゾーンならではの問題が、療育手帳を取得できるか否かになります。2~3歳で顕著な症状が出てくる発達障害ですが、定型発達、発達障害の2つの特性を持つ子供もいます。2歳のイヤイヤ期が3歳も続き、いわゆる育てにくい子と扱われますが、知能指数は低いわけではありません。

療育手帳を取得する時にテストがありますが、そこではIQ75、地域によってはIQ70より低い数値でないと軽度の療育手帳の交付がされないため、発達障害グレー判定ではIQの壁にぶち当たってしまいます。

療育手帳がなくても地方自治体が発行する受給者証をもらい、小学校の就学前の障害児が通える児童発達支援や、障害がある就学児の放課後等デイサービス施設を利用することで療育を受け、社会生活に適応していける環境づくりをしていくことが重要と考えられています。

療育手帳を取得するメリット

療育手帳の申請をしてもしなくても自由な療育手帳は、保有していると知的障害があることがわかるため、自治体からの支援がなくても大丈夫と考える場合はあえて申請しない人もいます。ただ、療育手帳を取得することで、数々のメリットがあります。

税金が控除・減免される

障害者控除

療育手帳を保有していることで、障害者控除と呼ばれる税金の免除を受けることができます。療育手帳には、障害程度が重度(A)と、その他の場合(B)があります。障害者控除は収入によって金額が違いますが、A判定では5万円から10万円以上、B判定では4万円程度から9万円弱まで割引がされ、障害が重いと特別障害者になり、控除額が大きくなります。

所得税や住民税の控除ができるほか、自動車保有をしている人は自動車税、自動車取得税の減免の対象にもなります。

自動車に関する税金の減免は、障害者本人が運転する場合と、障害者を送迎するための自動車で、障害者1人に対して自動車1台が対象になります。

公共交通機関の割引

駅のプラットホームと電車

普段利用するバスやタクシー、JRや地下鉄など、公共交通機関のほか、飛行機や船舶の割引も、療育手帳を提示することで利用できます。A判定の場合は障害者本人と介助者1名、B判定では障害者本人のみが割引対象となります。

なお、JRの場合は移動距離が100kmを超えなければ割引対象とはなりませんが、A判定で療育手帳の「旅客運賃減額」の項目が1種の場合、距離に関係なく割引が適用になるほか、高速道路や有料道路を利用する際、料金が半額になります。

高速道路、有料道路の利用料金の割引を受ける場合、市町村役場に自動車の事前登録が必要となり、高速道路の割引の申請手続きを行わなければいけません。ETCを利用する場合も事前登録が必要です。

障害者本人が乗っていても、登録をしていない自動車では割引対象外となりますので注意しましょう。

タクシーを利用する際の注意

療育手帳を提示することで全国のタクシーが1割引で利用できますが、介護タクシーではなく、通常のタクシーの場合、障害者割引制度を知らないドライバーがいる場合があります。

乗車する前に障害者割引制度を使いたいこと、または、自治体からタクシー利用券を交付されている場合、それを利用したいことを確認するようにしましょう。

その他の各種割引

公共料金の割引ではNHKの受信料が減免されるほか、携帯電話料金が割引されます。各キャリア会社で障害者割引のプランがありますので、手帳を取得したら窓口で手続きしましょう。また、NTTの電話番号案内も無料になりますが、事前登録が必要です。

おでかけをした時にも、療育手帳を持っていることで割引を受けられるサービスがあります。

  • テーマパーク入場料
  • 動物園入園券
  • 植物園入園料
  • 美術館・博物館入館料
  • 映画料金

上記の多くの施設で割引が受けられます。また、一部の宿泊施設、スポーツ施設、カラオケ店で割引を実施しているところもありますので、事前に確認をしてみましょう。

療育手帳の取得方法

療育手帳は知的障害がある人に交付されますが、申請をするかしないかは自由です。申告制なので療育手帳をもらいたい希望を出しても出さなくても構いません。

また、申告したとしてもIQ値が高かったり対象から外れていると交付されません。定期的な再判定もあり、継続して療育手帳を保有していてもいいかチェックもあります。

自治体からの支援がなくても大丈夫と考える人、障害に似た症状があるものの、療育手帳はなくてもいいと考える人は申請をしないこともあります。

療育手帳の取得に必要なもの

療育手帳の取得に必要なもの

療育手帳の取得のためには、知的障害があると感じる本人、家族の申請が必要です。必要な書類は、療育手帳を交付するための申請書、申請者本人の写真、申請者の印鑑の3つです。

  • 療育手帳を交付するための申請書:申請書は福祉窓口にあり、市町村でそれぞれ記載内容が違います。
  • 申請者本人の写真:証明写真で撮影できる3センチ×4センチのものを用意します。
  • 申請者の印鑑:申請者が18歳未満の子供でも印鑑が必要です。

写真については、療育手帳のテストを受けて申請が通った後に用意する地方自治体もあります。印鑑についてはシャチハタを禁止しているところが多いので、朱肉が必要な子供用の印鑑を用意しておきましょう。

療育手帳の申請場所

療育手帳を申請するにあたって、注意しなくてはいけないのが申請する場所です。療育手帳は、年齢によって申請場所が違います。

理由は交付場所が違うからで、18歳より前なら児童相談所から、18歳以上なら知的障害者更生相談所から交付されます。口コミでは、18歳以上だと療育手帳の基準が厳しくなるとも言われています。

  • 18歳未満:児童相談所から交付
  • 18歳以上:知的障害者更生相談所から交付

療育手帳を申請するか迷った時

療育手帳を申請するかどうか迷った際、住んでいる地域に障害者相談センター、障害者支援センターがあるので相談してみましょう。

療育を受けられる療育施設では事前テストをして、療育手帳が取得できるかどうかも診断してくれるので、療育施設に通っている場合、相談してみるのもいいでしょう。

もし、療育手帳を取得できなかった時の受給者証申請も、住んでいる地域の障害者相談センターや障害者支援センターの担当係員にお世話になります。あらかじめ、住んでいる地域の福祉系の担当者と顔合わせをしておくことが重要になってきます。

療育手帳を取得するか悩んだ体験談

貯金できることを評価する主婦

療育手帳を取得するかどうかについて、人によって取得を迷う声があります。療育手帳を取得して、税制面でのメリットを受けるか、サービスの優遇制度を受けるかなど人によって迷いがある場合もあります。

3人のママから、子供の療育手帳の取得について聞き取り調査しました。療育手帳の申請に迷いがある場合の参考にしてください。

申請してつもり貯金

ローザ(33歳)


私が住んでいる地域では、A1、マルAが最重度、A2、Aが重度、B1、Bが中度、B2、Cが軽度と表されます。子供は軽度のB2でした。療育手帳をもらって生活をしています。

療育に通っていて知的検査を受けたところ、療育手帳が取得できるのではないかと言われました。抵抗がある人もいますが、我が家は家族で相談して取得しました。子供は現在3歳の男の子ですが、専用口座にお金を移して貯蓄に回しています。

税金の控除が一番助かっていて、子供手当と一緒に専用口座に入金しています。

障害児を育てていると将来のことが心配になります。成長するにつれて障害がわかりにくくなったりする例もある中、引きこもり、鬱など二次障害も聞きます。少しでも貯金をしてあげられたらと親心で取得しました。

もし、更新時に療育手帳のIQ値に該当しなければ返納する制度もあります。認定されるなら取得しておくこともいいのではと考えています。

2度目のチャレンジで取得

ぺんぎん(40歳)


療育手帳は、自治体からの連絡で知りました。最初、検診で言葉遅れを指摘され、未就園児の療育に通っていました。周囲に聞くと、早々に療育手帳を取得している人も多かったため、私も療育手帳を申請してみることにしました。

未就園児の2歳ではテスト結果が幸運にもIQ値が高くなってしまい取得ができませんでしたが、保育園に通った後の年長さん5歳で再チャレンジ。療育手帳を取得することができました。

取得する、しないの判断は各自に任されているので、取得していない人も知っています。必要なくなったら返還手続きもできると聞いたので保有することにしました。

取得できない年少さん

みんてぃあ(30歳)


申請には乗り気で、療育手帳を取得し、減免分、レジャー費用も全て貯金をしておいて、子供の将来のために備えておこうと思いました。

まだ年少なので、医師の配慮で診断名はついていないものの、発達障害グレーです。IQ値も低く、場所見知りがありました。はじめての場所に療育手帳の結果はもっと悪くなるだろうと臨床心理士の先生も言ったので、私もそう感じていました。過去の療育でもIQ値は低かったので、軽度で取得できそうだと思いこんでいました。

ただ、事前テストでやった内容を覚えていて、担当者が男性で同性だったからか、いつもある場所見知りがなくて、すんなり応答ができました。結果、IQ値が高すぎて取得ができませんでした。

保育園は未就園の時に通っていた療育ほど熱心に障害児教育に力を入れてはくれませんので、受給者証を取得して、未就園児のための児童発達支援教室に通う予定です。かなりの人気と聞き、順番待ちが予想されますが小学校に進学する前にIQ値を高くするトレーニングを行っていきたいです。

各自の選択で取得を決められる療育手帳

療育手帳は、申請するのもしないのも各自の自由です。また、判断基準も、ボーダーの位置に属する人に不利になっています。

自分の子供が発達障害のような動きだけれども分からないという人は、発達障害のグレーゾーンとは?を参考にして、IQテストを受ける前のヒントにしてみてください。

取得することで受けられる恩恵も多く、住んでいる地方自治体や福祉課、障害者相談センター、障害者支援センターといった独自組織へ相談してみるのもおすすめです。

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