高校生の不登校の原因と親の対応

不登校の高校生が抱えている問題と追い詰めない親の接し方

不登校の高校生の数は、義務教育である小学校や中学校の生徒に比べて多くなっています。本人は大人だと思っていても、親からするとまだまだ子供ですが、不登校の高校生と向き合う親は精神的にも体力的にも大変です。思春期独特のさまざまな感情が絡む高校生の不登校について原因と親の接し方を解説。

不登校の高校生が抱えている問題と追い詰めない親の接し方

将来が心配!不登校の高校生の原因と対応方法

高校で不登校になり引きこもってしまったら、非行に走ってしまわないか、大人になるまでなかなか軌道修正が出来ずに将来に大きな影響を与えてしまわないか、心配ばかりが脳裏をよぎりますよね。
しかし小中学生ならまだしも、高校生ともなると子供自身はもう精神的には一人前のつもりでいることも少なくなく、下手に子供扱いなんてできません。

小学校や中学校の義務教育を終え、自ら志願して高校を受験、入学したのにもかかわらず、不登校になってしまう高校生は少なくありません。思春期真っただ中である高校生は、実に多感な時期であるため、些細なことが不登校を引き起こしてしまうと言えるでしょう。

学校に行きたくない高校生

何らかの原因があって高校生が学校に行かなくなってしまったときたとき、親はどのように接していってあげると良いのでしょうか?今回は【不登校の高校の原因と対応方法】というテーマで、お話を進めていきます。ぜひ、参考にしてください。

高校生の不登校は安易に子供扱いしにくい

小学校や中学校で不登校になっても、親のサポートや進学と同時に軌道修正ができ、再び学校に通い始める子供もいます。しかしながら、高校生の不登校は大人に近い年齢である分、将来に与えてしまう影響が大きいのではと言った懸念があるためになかなか悠長には考えられません。

高校生で不登校になると自分でも焦りや不安が大きいため、八つ当たり的に親への反発心を異常に露わにするケースが多く、自分の部屋に閉じこもって出て来なくなったり、昼夜逆転の生活をして誰とも喋らなくなったりする場合があります。また、子ども自身も力は大人並みであるがゆえに、男の子であるのならなおさら小学校中学校のようには接することができません。

ですが、「もう高校生なんだから、自分で解決しなさい」「不登校なんて、先が思いやられるわ」などと、高校生の子供が不登校になった場合、つい責めてしまう姿勢でいるのもあまり良くありません。
決して無理はできませんが、それでもできるだけ子供としっかりと向き合っていく姿勢を持ちましょう。

親が手出し口出しにくい理由

反抗する女子高校生

小学校や中学校の不登校と違い、高校生の不登校は、正直向き合うといっても簡単ではありません。高校生が不登校になったときに見られる言動の特徴を、以下にまとめてみました。

・親への反抗的な態度が目立つようになる。
・悩みを吐きだすことができない。
・暴力的になることもある。
・生活リズムが崩れて、昼夜逆転することも多い。
・インターネットやスマホ依存が激しくなる。

高校生になれば身体はほぼ大人に近づいていますが、まだまだ心は大人と子供が入り混じっている状態です。心の葛藤を上手く処理しきれずに爆発してしまったり、無気力状態が続いて普通の生活が送れなくなることもしばしばです。
高校生の男子の力はすでに大人並みですので、暴力的になられると太刀打ちできないのはお母さんだけでなく、お父さんですら頭を抱えてしまいます。心身ともに発達途中の高校生の不登校には、覚悟を持って臨むことが大切です。

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高校生の不登校の学年別の原因と対応方法は?

高校生になると、小学校・中学校の不登校者数に比べて、格段に多くなります。いったいどうしてなのでしょうか?全学年に共通しているのが、義務教育ではないことからくる学校への認識が1つになっています。

小・中学校は義務教育なので、子供ながらに何とかして通わなければならない義務感があったはずです。しかしながら、高校は義務教育ではないため、自分の意思で通うこともやめることもできます。「高校は義務教育ではないから、別に行かなくてもいいでしょ」と言われればその通りという状況が、高校生の不登校を引き起こす原因となっている部分はあるでしょう。

また、義務教育ではない高校は親がお金を払って通っているから、学校に行けない現状で親とも視線を合わせにくい…と感じて、親を避けるような行動を取る子供もいます。
いずれにせよ、高校生が学校へ通えなくなってしまう理由とはどこにあるのでしょうか?

高校1年生の不登校の原因と対応方法

厳しい受験期間を乗り越えてせっかく高校に入学したのに、1年も経たないうちに不登校になってしまう人も少なくありません。高校1~3年の中では最も不登校者数が少ない1学年ですが、数で見ると決して珍しいことではありません。高校1年生の不登校の原因として「人間関係のトラブル」以外に考えられる原因を見ていきましょう。

原因1◆受験達成による燃え尽き症候群

寝たい高校生

中学3年生のときに、希望の高校に入学するため必死になって勉強をして、見事合格!親としては、子供が念願の高校に入学できた嬉しさと、これからウキウキの学生生活を楽しんでほしいという想いでいっぱいになることでしょう。しかしながら、当の本人は違う感情を抱いてしまいがちです。

高校合格が最大の目標になっていたので、いざ合格をして目標が達成されると、気が抜けて「燃え尽き症候群」を引き起こしてしまうのです。
「希望の高校に入学したけれど、何だか毎日楽しくない」「目標達成したから、満足してしまった」となり、学校に通う意味を見出せなくなってしまう子供達が不登校になるという現実があります。
せっかく頑張って希望の高校に入学したのに、何だか残念です。

高校生の子供が勉強しないときに見せる親の姿勢
高校生の子供が勉強しないときに見せる親の姿勢
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原因2◆希望の高校に入れなかった虚しさ

希望の高校に入学できた子もいれば、努力虚しく行きたかった高校に入学できなかった人もいます。不合格という3文字は、思春期の子供の心に大きなダメージを与えることは確かです。
自分の中でうまく切り替えることが出来れば良いのですが、気持ちの切り替えがうまくできずに、入学後も暗い気持ちを引きずってしまう子もいます。

「希望した高校でもないのに…」という気持ちが、学校への足を遠ざける一因になるのです。
特に裕福な家庭でもない場合なら、入学金だって無料ではないことを知っている子供は、なかなか「もう一回、別の高校を受け直したい」と思い直し、親に伝えることはできません。

悲しい高校生

原因3◆新しい友達と遊ぶのが楽しい

完全に気のゆるみから不登校になってしまうケースもあります。高校に入学すると、小学校や中学校とは違った自由さを手に入れます。買い食いやアルバイトなど、ルールに縛られることが少なくなり、新しい友達と刺激的な生活を送るようになるのです。

良い友達の影響を受ければよいのですが、中には一緒になって学校をサボったり、夜遅くまで遊ぶことに一生懸命になる友達との付き合いを始めてしまう子もいます。遊びが楽しくなって、昼夜逆転の生活を始めてしまい、学校に通わなくなるというケースも少なくありません。

高校1年生で不登校になった子供に、どのように対応すればいいの?

もし本人が、今通っている高校に違和感を覚えているのなら、別の高校を改めて受験するのも1つの方法です。子供が『なぜ高校に通うのか?』という意思を強固に持つことが求められますが、高校1年生でどうしても学校に馴染めないような様子がうかがえる場合は、親からやんわり提案してみるのも良いでしょう。

高校受験浪人をするケースもありますし、定時制や通信制の高校に再入学するのも方法として考えられます。無理に現在通っている学校に縛られる必要はないのだということを、お子さんにアドバイスされてはいかがでしょうか?
もちろん親としてせっかく合格した高校に行かないことに対してはさまざまな葛藤があると思いますが、一番は子供が毎日元気に笑顔で過ごすことです。親として、子供にとって最善の道を探すお手伝いをしてあげてください。

高校2年生の不登校の原因と対応方法

高校生活も2年目になり、学校にも友達にも馴染んできたにもかかわらず、不登校の学生の数は増えていく傾向にあります。その理由は、どこにあるのでしょうか?

高校

原因1◆友達関係がうまくいかない

高校2年生になってくると、ある程度つきあう友達も決まってきますが、良好な関係を築ければ問題ありませんが、、友達同士のトラブルも増えてくる時期です。
高校生は思春期真っただ中の多感な時期ですから、部活・勉強にまつわる友人同士のトラブルだけではなく、異性をめぐるトラブルも出てきます。インターネットやSNSなどを利用した陰湿な嫌がらせや、殴り合いなどの直接的な喧嘩まで、友人同士のトラブルは実にさまざまです。

原因2◆大人や社会に嫌気がさす

高校生2年生ともなる身体的には大人と変わらぬ成長を遂げますが、精神的にはまだまだ甘ったれな面が多く残ることも少なくありません。反抗期の延長のように、理由もなく親や周囲の大人、社会、ルールなどに無性に腹が立ち、反抗したくなります。

全てにおいて客観視してしまい、楽しい・嬉しいなどのプラスの感情が素直に出せなくなる子もいます。当然、社会や大人に嫌気がさすということは、学校や教師のことも嫌いになって、不登校になってしまうのです。

原因3◆将来に対する不安

高校2年生になると、文系か理系を選択して、クラス替えが行われる学校もあります。
将来展望を何も考えず、行けばどうにかなるだろうという漠然とした学校への『期待』だけで進学クラスなどを進んでしまったケースでは注意が必要です。いざ決めなければいけないことが出てくると、未来の自分がイメージ出来なくなり、目的をもって同じクラスに進学した周りからは取り残されることとなります。

この時点でしっかり将来に向き合えればよいのですが、1日考えて決められる子も少なく「別にやりたいことが見つからない」「文系でも理系でもどちらでもいい」と、消極的になり学校へ通う意欲も失ってしまいます。

高校2年生で不登校になった子供に、どのように対応すればいいの?

社会や大人に対して自暴自棄になっている場合、親である自分達が子供の1番の理解者であることを認識させましょう。「~しなさい」といった命令はやめましょう。学校へ行きなさい、勉強しなさいと追いつめるほどに、子供の心は親から離れていますので、子供が意外だと思うような提案をしてみましょう。

「悩むのもいいけどたまには息抜きもしないと病気になわよ。いったん悩むのをやめたら?」「一緒に買い物に行かない?」「美味しいものを食べに行こうよ」などと提案をして、まずは子供が親に心を開けるような段取りを取っていきましょう。
不登校問題を解決するのは、それからで充分!子供の信用を得てこそ、次のステップに進めるのだと理解しておきましょう。

高校3年生の不登校の原因と対応方法

さて、高校生活も最後の1年になりました。進路選択のプレッシャーに押しつぶされて…なのでしょうか?実は、高校3年生の不登校者数が1番多いのです。それには、高学年ならでは悩みがあるようです。一緒に確認していきましょう。

原因1◆進路選択の不安

悩む高校生

「自分は将来なにをしたいのか」「卒業後はどうしたいのか」と考えなければいけない時期が、高校3年生です。高校を卒業した後に働くのか、進学するのか、進学するとしたらどの学校に進みたいのかなど、自分と否応なしに向き合わなければいけません
目標や夢がある子は、叶えるためにやるべきことも自ずと分かってきますし、努力もできますが、将来のイメージが全く湧かないと、何をしたら良いのか分からなくなり、落ち込んだりふさぎこむことも多くなり、勉強も手がつかなくなってしまうのです。

目標に向かって前進している友達がキラキラとまぶしく見えて、何も決められない自分に虚しさを感じるようになってくる場合もあります。高校へ行くたびに自分の敗北感を見せつけられているように感じると「もう何をしたいのか分からない。学校へ行く意味がない」という流れで、不登校になってしまう人が実際に増えています。

原因2◆受験のプレッシャー

専門学校・短大・大学受験を突破するためには、事前の準備が必要となり、
特に特に大学受験は大きなプレッシャーを抱えることになります。大学などの学歴は就職にも大きな影響を与えるという見解が強いために、大学で一生が決まると思い込んでしまう子もいるからです。

模試の結果で一喜一憂したり、勉強時間が増えて睡眠不足や食欲不振を招き、健康を害して情緒不安定になる子供もいます。そのような過度のプレッシャーからストレス状態が続くと「もう、勉強したくない」「受からないのなら、受験などしたくない」と爆発して、不登校という結末を招いてしまうこともあるのです。高校受験のときと同じように、進学先が目標や夢となっている場合は要注意です。

高校3年生で不登校になった子供に、どのように対応すればいいの?

反抗する女子高校生

周りに同調して親も子も焦ってしまいますが、まずは、焦らせないことが大切です。
「休んでいると勉強について行けなくなる」「休んでばかりだと内申点が下がって推薦を貰えなくなる」「しっかりと自分の将来について考えなさい」などと、勉強を強要したり焦らせると子供を追い詰めてしまうので、絶対にしないようにしましょう。

まずは気分転換をさせましょう

実際、勉強をしてもしなくても、落ちるときは落ちるし、受かるときは受かります。ですが、『運』ではなく、やるときはやる、リフレッシュするときはリフレッシュに専念するというように、効率よく勉強する必要が必要があるということです。
つまり、ストレスが蓄積している状態の子供にさらにストレスを上乗せするような状態は避けるべき。
不登校になってしまう原因の多くは、プレッシャーであると考えられるので、ストレス耐性が追い付いていなく、子供の心が押しつぶされ気味ならば、心身の休息が必要かもしれません。

それに、毎日勉強に追われてゆっくりと物事を考える時間がなかっただけかもしれませんので、気分転換をすることで新しい考えも浮かびやすくなります。

子供の意志を引き出したいのなら
学校楽しくないが行きたくないに変わる前に…親子の接し方
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子どもに「学校が楽しくない」と言われたら親は何をどう対応すればよいのでしょうか?子どもの年代別の本音や心理を探り、学校が楽しくなるようなアドバイスや対応ができるようここで一緒に考えていきましょう。

子供が抱えている罪悪感を軽くしてあげることが大切で、「人間の価値なんて学歴で決まるものではない」「学校に無理に通わなくても得意なものを見つければいいじゃないか」など、子供達が抱えている学校に通うことが出来ないという罪悪感をぬぐってあげましょう。不登校を解決するためには、子供が自分自身としっかり向き合って考えて行かなければなりません。

親が現状に対して焦らなくても良いという安心感を与えてあげることが、何よりも大切です。特に高校3年生は、進路に対して悩みを抱えると共に、非常に多感な時期なので周囲の配慮が大きな意味をなすのです。

高校3年生は、すでに親の言うことに納得もせず従うこともない年齢です。その上命令口調で言われたら、未熟な面も残るティーンエイジャーは腹を立てるでしょう。子供の将来が心配になり、つい急かすようなことを言ってしまいたくなるきもありますが、親としてどっしり構えて子供を陰ながら見守るのも親としての役目です。

不登校になっても、大丈夫!高校が人生を決めるわけではありませんよ!

高校生

今回は、不登校の高校生の学年別の原因と対応方法をご紹介しました。高校生はとても情緒不安定で、多感な時期な上、親や社会に対しても反抗心がとても強い時期でもあります。
だからこそ、ちょっとしたきかっけで不登校になりやすいですし、また不登校になり引きこもりになると、大人になるまで引きずってしまう傾向にあります。親は子供を責めたり、焦らせることはやめましょう。

勉強をしなくなるのも不登校のサインでもありますにので、高校生の子供が勉強しないときに見せる親の姿勢を参考に、子供のそばで良き理解者として見守りながら、新たな道を見つけるためのサポートをしてあげるときっと子供は自分のちからで道を切り開いていけるはずです。