シングルマザーの実家暮らし

シングルマザーの実家暮らしは良い事ばかりじゃない!?

シングルマザーになって実家に戻る人は多いです。確かに実家暮らしをすれば子供の世話や生活費などの点でメリットはありますが、実家ならではのストレスもあれば、保育園の入所、児童扶養手当などの受給で不利に働くこともあります。シングルマザーの実家暮らしのメリットとデメリットを解説します。

シングルマザーの実家暮らしは良い事ばかりじゃない!?

シングルマザーの実家暮らしは良い事ばかりじゃない!?

シングルマザーとなったら、まず最初に気になるのはお金のこと。そして浮かんでくるのが「実家に戻る」という選択肢です。

母子二人が暮らせるスペースがあるなら、生活費を入れたとしても、賃貸マンションやアパートを借りる場合に比べて、家賃や光熱費などの生活費を削減できる可能性は高くなります。
特に家計においては住居費は大きな支出となりますから、仕事や子供の保育園・学校といった問題をクリアできるなら、同居のメリットは大きいはずです。

しかし、安易に実家暮らしを選択するのはちょっと待った!実家暮らしのシングルマザーの中には、金銭感覚や教育方針などの違いから、親との関係が悪くなるケースもあるのです。

シングルマザーが実家暮らしをするメリットとデメリットの両方を理解し、後悔のない選択をしましょう。

シングルマザーの住宅事情

実家で子供と遊ぶシングルマザー

まずは、シングルマザーとなった方にどのような住居の選択肢があるか、見ていきましょう。
実家暮らしはもちろん、アパートやマンションなどの賃貸物件、市営住宅・公団、そして最近ではシングルマザー向けのシェアハウスなど、それぞれの住居には各メリットがあります。

母子で生活していく上での快適さ、そして経済面の両面からお伝えしていきます。

親との同居(実家暮らし)

シングルマザーにとって仕事はマストですが、子供の面倒を見てくれる人がいるというのが実家に戻る一番のメリットです。

家賃という形で決まった金額を入れている場合もありますが、公共料金や食費などは基本的に賃貸物件に住むより安く済むので、経済的にも助かります。

持ち家

シングルマザーになる前の持ち家にそのまま継続して住むシングルマザーもいますが、環境が変わらないという点では子供にとって良いと言えます。

また、引っ越しにかかる費用も必要ないので経済的にもメリットはあります。しかし、ローンが完済されていない場合は手続き等が面倒ですし、自分名義の負債を抱えてしまう可能性も出てくるでしょう。

アパート・マンションなどの賃貸物件

住む場所や条件によって差がありますが、賃料が高いというのがシングルマザーにとってはネックとなります。

誰からも干渉されず自由に生活できるという点は大きなメリットですが、家事、育児を全て自分1人でこなさなければいけないので、ストレスを抱えてしまう場合もあります。

市営住宅・公団

自治体が運営している市営住宅

賃料は収入によって決まるので、低収入のシングルマザーにとってはありがたいはずです。
しかし、市営住宅や公団の場合は基本的に抽選によって入居できるかできないかが決まります。自治体によってはひとり親家庭を優先してくれる場合がありますが、それでもなかなか当選できない家庭も多いのが現状です。

シェアハウス

シングルマザーの増加に伴って増えてきたのが、シングルマザー専用のシェアハウスです。賃貸物件とは違い、管理会社ではなくオーナーと直接契約を結びますが、物件によっては子供のお世話をしてくれるサービスなどがあります。

しかし一つ屋根の下に住み共有スペースもあるということで、性格的に合わない人がいる場合は苦痛となる可能性も考えられます。

実家暮らしのデメリットとは?

シングルマザーが実家暮らしをするうえでのメリットには、経済的な負担軽減、子供にとって祖父母がいる安心感などが挙げられます。

しかし、実家暮らしにはメリットだけでなく、デメリットもあり、かえってストレスとなる可能性も無視できません。

自分のペースで生活できないストレス

実家暮らしの大変な点はといえばやはり両親との関係です。
実の親とはいえ一度家を出て自分の家庭を持てば、自分のなりの家事のやり方や時間の使い方など生活のペースが出来上がっています。それを再び親のペースに合わせるとなれば、我慢をすることになり、精神的にストレスとなります。

もちろん両親との関係が上手くいって「実家最高!」と思えるようなら何の問題もありません。ですが、離婚の場合は出戻ったことに対しての後ろめたさや遠慮から、居心地が悪くなる方も多いでしょう。

児童扶養手当などの受給対象外となるリスク

家のミニチュアと電卓と筆記用具

ひとり親家庭に対する補助金「児童扶養手当」は最大で月約4万円も支給されるので、シングルマザーの家計には非常に助かる収入となります。

しかし、児童扶養手当は所得によって支援の有無が決まり、実家暮らしの場合は世帯全体の所得が基準となります。両親がまだ仕事をしているような方は、同居により支援を受けられなくなる可能性が高いです。

希望の保育園に入園できない可能性

待機児童が社会問題となっているように、地域によっては保育園に入所するのが難しい場合があります。

実家暮らしで同居している母親(子供にとっては祖母)が専業主婦である場合は、子どもの世話をしてくれる人が家に居るとみなされて、保育園の入所に必要なポイントが低くなり、入園できない可能性もあります。

幼稚園や無認可保育園には入れますが、その場合は「保育時間が短い」「保育料が高い」という条件面で妥協しなければいけなくなるでしょう。

世間の目

シングルマザーとなって実家と離れた場所に子供と暮らしていても、周りからの目は気になるモノです。それが実家となれば子どもの頃からの顔見知りも沢山いるので、あれこれ噂されることは覚悟をしておかないといけません。

例え十分な生活費を入れている場合でも、そうした実態は外からは見えません。「いい大人がいつまでも親のスネをかじっている」という目で見られることもあります。日本でも離婚率が高くなってきたとはいえ、まだまだシングルマザーに偏見があるのは事実です。

教育方針の違い

祖父母にとって孫は特別な存在です。ただただ可愛いだけで責任を負うことがないので、甘やかしてしまうのは仕方がないでしょう。

あまりお菓子ばかり食べさせたくなくても孫が喜ぶからと与えてしまったり、ゲームやスマホなどを与えるのは年齢的にまだ早いと思ったところで、祖父母は孫の要求に従って買い与えてしまったりなど、母親からすると「教育的にどうなのか」と反発したくなることもあります。

特に親への遠慮や後ろめたさが強い方の場合、なかなか自分の教育方針を貫き通すことが難しくなります。自分の子供であるにも関わらず、自分の教育方針で子供を育てることができないジレンマに悩まされるケースも多いのです。

シングルマザーが実家暮らしを決める時のポイント

シングルマザーの実家暮らしにはデメリットもありますが、やはり親の力を借りられる実家や実家近くの賃貸住宅を借りる選択をすべき場合もあります。

最優先すべきは子供の気持ち・心のケア

散歩中に子供を気遣うシングルマザー

離婚や死別はシングルマザー本人にとってもショックな出来事ですが、大人である以上はその心の痛みを自分で消化しなければいけないでしょう。しかし、子供の場合は、自分の意志に関係なく、ひとり親家庭になる場合がほとんどなので、自分の心をコントロールするのはとても難しいことです。

シングルマザーとなると、一人で家事、育児、仕事をこなすことになり、子供と十分な時間をとれないケースもあります。しかし、実家なら子供には祖父母がついてくれます。母親自身も、心強さを感じられるはずです。

しかし、そうはいっても祖父母の子供への関り方が望ましくないケースもありますので、「子供のため=同居」というのもまた短絡的です。子供がある程度の年齢であれば、転校などの可能性もありますから、現在の自分たちの置かれている状況によって、まずは何を最優先するのかを考えてみましょう。

経済的なメリットがどの程度あるか計算する

実家に住めば賃貸住宅に比べて家賃や生活費が安くなるので、経済的に助かります。その分子供の将来のために貯蓄をしたり、資格を取得するための資金にしたりと、有意義にお金を使うことができます。

児童扶養手当が受給できなかったり、保育園入所の順位が下がるなどの問題点もありますが、それを上回るメリットがあるかどうかは、実家暮らしを決める上での最大のポイントとなるはずです。

経済的に余裕があるというなら話は別ですが、一家の主としての収入が確保できない場合、実家暮らしをしながら、今後の人生設計をするのも選択肢の1つです。

精神的ストレスは「我慢すれば済む」という問題でもない

子供のこと、経済的なことなどの視点は必要ですが、母親自身のストレスは我慢すれば済むという問題ではないケースもしばしば見受けられます。

両親との折り合いが悪い、近所の人から偏見の目で見られたりすることが原因で精神的なストレスを抱えると、健康を害し、かえって医療費などがかさむリスクもあるのです。仕事と子育てを両立させるシングルマザーにとって健康な体と心は、大切に守り抜くべき財産であることを忘れてはいけません。

とにかく経済的に困窮しているという方や両親とうまくやっていく自信のある方は実家暮らしを選択しても良いでしょう。しかし、迷っている方は、子供のこと、経済的なこと、そして自分自身の健康を総合的に考えて判断してください。

実家暮らしを選択したシングルマザーの体験談

シングルマザーとして実家で暮らしている、暮らした経験がある方々の体験談です。
親との同居により助かる点、たいへんな点、今後実家を出たいと思うかどうか、伺いました。

現在、実家で親と同居中のシングルマザーの体験談

感謝しているからこそ実家を出たい

たなかみなみ(21歳)


未婚のシングルマザーで、4ヶ月の娘がいます。
化粧品会社で販売を行っていて、今は産休育休でお休みをいただいています。しかし、私の収入では経済的に厳しいので、妊娠中に実家に帰りました。

私自身は3人兄弟の末っ子で昔から甘やかされて育ちました。それは今でも変わらず、久しぶりに実家に帰ってきた娘と、孫にメロメロで、母も父も子育てを助けてくれます。

シングルマザーになった原因は私にあるのに、怒ることなく優しく諭されました。実家で子育てをすると、両親は経験者なのですごく助かります。どうしたらいいかわからない時など助けてくれるのでいつも感謝しています。

ただ、娘のお世話は私がしたいのに、既に母がやってしまってるということもあります。母親の仕事をとられてしまうとちょっと悲しい気持ちになります。でも、本当に感謝しています。仕事に復帰して、もっとバリバリ働いて、いずれは両親に迷惑かけないよう実家を出たいと思っています。

両親の為に頑張って働こうと決意をするシングルマザー

子供が小さいうちは安心です

まっつぁん(30代前半)


私は2歳と4歳の子供がいるシングルマザーです。仕事は介護士をフルタイムでやっています。

実家には父と母がいますが、実家暮らしのメリットは家事や育児を一人でしなくてもいいことです。実家に一緒にくらしていることで、子供も慣れてくるし、子供の保育園の送り迎えも頼みやすいです。また、母がご飯作りを担当してくれているので、家事の時間が少なくて済むので助かっています。

デメリットは、いろいろ親が子供の教育に対して口を出してくることです。主に子供に対して厳しすぎるなど。私からすると、母(祖父母)は甘すぎると思うのですが…。

ですが、このまま実家に暮らし続ける予定です。それは、実家で暮らすデメリットよりもメリットのほうが大きいと思っているからです。

子供(孫)を思う気持ちは一緒なのだと知って

ミルク(34歳)


離婚してから、実家に戻り、3人の子供の子育てをしています。実家には母親一人で住んでます。私の仕事が夜の時間帯のウエイトレスなので、その時間は寝ている子供と一緒に留守番をしてくれています。

親と住むメリットは、親が居てくれるので、託児所やシッターさんを呼ばずに仕事に出られるところです。人に頼めば、その分の費用がかかるので、働いた分マイナスになってしまいます。

デメリットは、子育てに対しての意識が違うので、仕事で家を空けている間のおやつのあげ方だったり、TVの見せ方だったりと、ぶつかる事が増えました。でも、現在はよく話し合い、子供のためにも、同じ方針で子育てをする様に心がけると納得して貰えました。

私のようなシングルマザーに限らず、子育ては一人ではできないことだと思います。母のおかげで、私たちの今があるのは事実なので、いつも感謝を忘れないようにしています。

親との同居後、実家を出たシングルマザーの体験談

おかげで進学資金を貯蓄

ぷよよ(30代前半)


思春期真っ盛りな中学2年生男子を抱え、派遣社員であった私は夫と別れシングルマザーになりました。経済的にも仕事の継続という点においても不安定でしたので、実家に住むことしました。

実家は父親が気ままな一人暮らしをしており、住み始めた当初はお互いに遠慮もあり波風立たない生活を過ごせました。しかし、思春期と親の離婚もあり、口をきかない息子に対して、父親が説教を初めたのがきっかけで、私と息子の生活全般に口出しするようになったのです。

当時の私には心の余裕がなく、息子にも父親にも思いやる気持ちにも欠けていて、息子に言わなくて良いことまで言う父親にも、不貞腐れる息子に対しても、丸く収めることも出来ず家の中はギクシャクし、3人ともストレスが溜まっていきました。

これ以上一緒にいると、息子の為にも父親の為にもよくないと実家を出ることにしました。経済的には少しの食費しか入れてなかったのもあり、貯蓄ができました。息子の進学のことを考えると、実家暮らしは大変ありがたく、今は感謝しています。

学校の教師と授業を受ける高校生のイラスト

実家とはいえ、必要以上に甘えない

ぱぺちゃん(40代前半)


離婚して間もない頃、4歳の息子を連れて身重の身で実家に帰りました。両親は特になにを言うでもなく受け入れてくれました。実家で私が使っていた部屋は姉妹が使用していましたが、特に困ったことはありませんでした。

数ヶ月後下の子が産まれ、落ち着いた頃すぐに職場復帰しました。それから下の子が3歳になるまで実家でお世話になりました。職場復帰する頃には、子供は保育園に預けており、残業も少なく、病気の時以外は迷惑はかけていないと思います。でも、実家にはいつも誰かがいるため、子供の急病などの時にはメリットを感じていました。

デメリットというのもおこがましいですが、お金をアテにされるのは辛かったです。もちろん生活費は渡していたのですが、少しでも貯金をして早く自立したかったんです。両親とはいえお金の価値観は違い、折り合いが難しい部分もありました。

実家を出て今年で15年になります。早めに出てよかったと思っています。