育児ノイローゼの治療

育児ノイローゼが深刻な時の治療・気楽になる育児の考え方

育児ノイローゼと言うと、気分的な病気だと思っている方も少なくありません。ですが、育児ノイローゼは、保険適用を受けて病院で治療できる本当の病気です。どのように治療を行うのか説明します。

育児ノイローゼが深刻な時の治療・気楽になる育児の考え方

我慢しすぎていませんか?つらい育児ノイローゼは治療できます

育児ノイローゼというと「気分的な問題ではないのか?」と考える人や「育児は親として当たり前のことなのに、なぜノイローゼになるのか?」と育児ノイローゼの存在すら疑う人も少なくありません。
ですが、本当に、育児ノイローゼは病院でも保険適用内で治療できる病気です。症状を放っておいたり我慢したりするのではなく、深刻な状況になる前に病院で治療を受ける必要があるのです。

治療したほうが良い理由

空を見つめる育児ノイローゼの女性

育児ノイローゼには、夜なかなか眠れなかったり、反対に異常な眠気を一日中感じたりする『睡眠障害』や、死にたいと考えたり、人と会うことが億劫になったりする『うつ症状』、予定外の出来事があると気分が落ち着かなくなったり、パニックになってしまったりする『不安障害(パニック障害)』などの様々な症状があります。

いずれの症状も、良くならないまま長期間そのままに放っておくとこじらせてしまって治療が長期化してしまいます
育児ノイローゼだからといって軽く見るのではなく、1つの病気として捉え、早く治療することが早く完治する方法なのです。

育児ノイローゼの治療

もちろん『育児ノイローゼ』という名前は通称ですので、正式な診断名ではありません。見られる症状によって診断名は異なりますが『自律神経失調症』や『うつ病』『不安障害(パニック障害)』などの名前が付くことが多いです。

ただし精神的な症状ですので、判断する医師によっては病気として捉えられないこともあり、病気ではないと診断されてしまうこともあります。
また病院によって診断名が異なることもあります。症状があって苦しい思いをしているのに診断できない(もしくは納得できない診断名になる)ときは、いくつかの病院を受診してセカンドオピニオンを求めることも大切でしょう。

自律神経失調症

原因不明の体調不良がある女性

具体的な疾患がないにもかかわらず体に不調が見られるときは『自律神経失調症』と診断されることが多いです。
胃の痛みや耳鳴り、動悸や息苦しさ、手足の冷えや冷や汗、吐き気や嘔吐、下痢や便秘を繰り返すこと、肩や背中の慢性的なコリ、頭痛や倦怠感が見られる場合が多いと言えるでしょう。

診断基準

血液検査や尿検査、その他の検査では体の不調の理由が突き止められないときは『自律神経失調症』と診断される可能性が高くなります。
診断基準となるチェックリスト(東邦大学医学部によって開発されたTMI法等)もありますが、すべての項目が他人による観察ではなく自己申告によってチェックされますので、誰が見ても間違いなく『自律神経失調症』と診断できることはない、つまり診断基準そのものがあやふやになりがちなのです。

治療

診断基準こそあやふやになりがちですが『自律神経失調症』は医療保険が適用される病気の1つですので、医薬品やカウンセリングを用いて治療が実施されます。
『自律神経失調症』を根治する医薬品は存在しませんので深刻な症状を緩和させる薬品が処方されます。

不安症状が強く見られるときは『精神安定剤(抗不安薬)』が処方されますし、うつ症状が強いと判断されるときは『抗うつ薬』、睡眠障害が重篤だと判断されるときは『睡眠導入剤』等が処方されるでしょう。

ネガティブ思考から抜け出せないうつ病

ネガティブ思考で暗い雰囲気の女性

ネガティブな思考にとらわれてしまうときは『うつ病』が疑われます。また『自律神経失調症』の症状が重篤化して『うつ病』になるケースも少なくありません。

診断基準

うつ病の判断基準は医師によって若干異なることはありますが、一般的にアメリカ精神医学会の診断基準『DSM-Ⅳ』の診断基準を用いることが多いです。
『DSM-Ⅳ』によると、次の症状のうちの5つ以上が2週間以内に見られるときは『うつ病』だと診断します。

DSM-Ⅳによるうつ病の基準
  • 気分の落ち込みが本人の言葉によって語られる。もしくは他者から気分の落ち込みが観察される。また、これらの様子が1日中観察される。
  • 喜びや嬉しさなどの気持ちが喪失している。一時的なものではなく、1日中喜びや嬉しさを感じることなく過ごしている。
  • 食餌療法をしているわけではないのに、体重が著しく(1ヶ月以内に体重の5%に及ぶ変化)増加もしくは減退している。もしくは、食欲の著しい増加もしくは減退が見られる。
  • ほとんど毎日不眠が見られる。もしくは、睡眠過多が見られる。
  • 焦った行動や異常な行動の遅さが、他者からも観察される。
  • ほとんど毎日疲れやすいと感じている。もしくは、気力がなくなっていることを感じる。
  • 自分を無価値だと考えることが多い。また、自然に考えて自分に責任がないことにまで、自分に責任があるように感じたりしてしまう。
  • 思考力や集中力が著しく減退している。もしくは、何かを決断すること(朝ご飯は何をたべる?どちらの服を着る?等の日常的な決断)に困難を覚える。
  • 死について考えることが多い。また、自殺を考えたりほのめかしたりすることが多い。

治療

うつ病だと診断されたときも、自律神経失調症のときと同じく薬物療法とカウンセリングが治療のメインになります。
精神科関連の医薬品は、決められた量と回数・時間に飲まなくては効果を発揮しにくく、また、身体的な疾患の医薬品よりも効果が出てくるまでに時間がかかりますので、医師が定めた通りにきちんと薬を飲みましょう。

不安障害(パニック障害)

不安で夜も眠れない女性

不安な気持ちが主症状として表れているときは『不安障害』と判断されることもあります。また、不安が高まるとパニックに陥ってしまう場合は『パニック障害』と診断されることもありますが、厳密には『不安障害』と『パニック障害』は同一の疾病ではなく『不安障害』の1つの症状が『パニック障害』ですので『パニック障害』は『不安障害』の下位分類に属します。

不安障害には、パニック障害以外にも『強迫性障害』や『外傷後ストレス障害(PTSD)』『強迫症』などの症状・分類があり、いずれも不安を強く持つ状況になると、呼吸困難や手足の震えや冷や汗が見られたり、過度に刺激を受けるときは意識がなくなってしまったりすることがあります。

診断基準

過去4週間にわたり常に不安にさいなまれてきた場合や、過度の心配・緊張に悩まされてきている場合は『不安障害』の可能性があります。
頻繁に緊張を感じたり、イライラしたり、睡眠に問題(なかなか眠れない、夜中に何度も起きてしまう、異常な眠気を1日中感じる等)を感じている方も、不安障害の可能性があると言えるでしょう。

また、予期しないパニック的な発作が繰り返し起こったり、発作が起こるのではないかと心配することが新たな不安の原因になったりするときは『パニック障害』が疑われます。

治療

不安障害やパニック障害も、うつ病や自律神経失調症と同じく、医薬品とカウンセリングによって治療を行います。
特に不安障害は「発作が起こるかもしれない」という気持ちが症状を悪化させますので、他の精神性障害よりも服用時間や服用回数、服用量を守ることが大きな意味を持ちます。必ず医師の指示に従い、適切な期間、服用するようにしてくださいね。

病院では何科を受診する?受診目安

育児ノイローゼの治療を行う看護師

育児ノイローゼだと思われるときは、心療内科や精神科を受診します。ですが、産後のホルモンバランスの乱れから来る不調(産後うつ)が長引いている方や、育児ノイローゼだと断定しにくいと思われる方は、産婦人科で相談してみるのも良いでしょう。
その場合は産後うつ専用の受診日を設けているところやメンタルケアに力を入れているところが好ましいと言えるでしょう。

いずれの場合も、医薬品を処方されるときの治療費は初診で3,000円~5,000円(保険適用後)くらい、専門の心理療法士がカウンセリングをしてくれる場合はさらに5,000円ほど高くなります。

また、育児ノイローゼから首や背中が凝るように感じるのか、ただ単に首や背中のコリや痛みがひどくなっているのか分からないときは、整体院や整形外科を訪れて見るのも良いでしょう。
毎日、子供を抱っこして体にコリが溜まりすぎて、気分が落ち込んでいるだけのことも結構ありますよ。

整形外科でマッサージやホットパックを受けたり、膏薬等を処方してもらったりする場合の治療費は、初診で1,000円~3,000円(保険適用後)くらいになります。
整体院でマッサージを受ける場合は、保険が適用されませんので3,000円~10,000円ほどの実費が必要になります。

育児ノイローゼのセルフケア

育児ノイローゼかもしれないと思うとき、また、育児ノイローゼかどうか分からないけれど、病院には行きたくないとき。
明らかに不眠やうつの症状が出ているときは、一刻も早く心療内科や精神科を受診して、医学的な対処を始めることが望まれますが、まだそのような段階ではないと思われるときは、次のことを試してみましょう。

誰かに相談することが大切

親友を心配そうに見つめる女性

「体がしんどい」「疲れがとれない」「精神的に辛い」などの正直な気持ちを誰かに打ち明けるだけでも、かなり気持ちも体も楽になるものです。聞いてもらう相手がいないときや、共感を得られないかもしれないと思われるときは、そのような専門のカウンセラーに相談してみることができるでしょう。

どの自治体でも、厚生労働省が掲げる子育て支援事業の一環として、育児における相談窓口を設けています。
お住まいの地域の児童館等の施設で、専門のカウンセラーと無料で相談できる日を設けてあることも少なくありません。母子手帳に相談機関について記載されていることもありますし、市区町村の市民課に電話をかけて該当する窓口を尋ねることもできるでしょう。

リフレッシュできる時間を設けることが大切

子どもの世話をしていると、つい自分の時間を犠牲にして、子どものためや家事等の用事をこなすために時間を費やしてしまいます。
ですが、このようなことが溜まっていくと、精神的にも身体的にも追い詰められた状況になり、育児ノイローゼと思われる症状が出てしまうのです。

一日に数分であっても、リフレッシュできる時間を作るようにしてみるのはいかがでしょうか。子供がお昼寝したら自分もお昼寝すると決めたりお昼御飯が終わった後は、子供の都合よりも自分の都合を優先させてスイーツタイムや読書タイムを取ったりするなどと決めてしまうのです。
例え数分であっても「リフレッシュした」と感じられたならば、育児や家事を頑張る活力が生まれることでしょう。

自分を追い込む考え方を変えていくことが大切

家族に育児の相談をする女性

「~しなくてはいけない」という考え方は、自分を苦しめる原因にもなり、あまり良い結果は生み出しません。「~できれば良いな」「できたら~する」くらいのアバウトさが、お母さんを育児ノイローゼや育児ストレスから解放するのです。

思い通りに行かないのが育児です。思い通りに行けばラッキーくらいに思っておくことで、自分を辛い状況に追い込まないようにしていきましょう。

本当に辛くなるまで我慢しないことが大切

「もう少し、頑張れる!」と思うことが、育児ノイローゼの原因になることもあるのです。体力的にも精神的にも自分の限界に挑戦することは、育児においては何のメリットもないということを知っておきましょう。

自分の限界に挑戦することで、体や心に症状があらわれ、いつも辛い顔で落ち込んでしまうなら、子どもは幸せになれるでしょうか?
限界に挑戦するのではなく育児や家事を頑張っている自分を甘やかす気持ちを持つことがお母さん自身だけでなく子どもにとっても幸せになるのです。

ですから、どうか、本当に辛くなるまで我慢をしないでください。いつも笑顔で過ごすことができるために「ちょっとつらいな」「体の調子が変だな」「ネガティブなことばかり考えてしまうな」と気付いたら、すぐに誰かに思いをぶつけたり、リフレッシュする努力をしたり、早めに病院を受診するようにしてくださいね。

早めの治療で早期に回復!自分の状態を把握しよう

育児ノイローゼが深刻化する前に早めに対処するには、普段から自分の体や心の変化に敏感になることが大切です。
いつも自分の体の声や心の声に耳を澄ましちょっとでも異変が感じられるときは「もう少し頑張れる」と思うのではなく「ちょっと休もう」と自分を労わることを重要視してください。

育児と家事、また人によっては会社勤めをするということだけでも本当にすごいことなのです。ですから、これ以上頑張りたいと思うのではなく、すでに充分に頑張っているのですから、立ち止まったり休んだりする時間が必要なのです。

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