子供の対人恐怖症

対人恐怖症を克服する子供との接し方

子供の対人恐怖症を治すにはどうしたらいいのでしょうか。子供の対人恐怖症に悩むママに対人恐怖症を克服する子供との接し方をご紹介します。人と接することが苦手になるのは、ほんの些細なことがきっかけです。親がそのサインを見逃さないためにも、対人恐怖症のことを知っておきましょう。

対人恐怖症を克服する子供との接し方

子供の対人恐怖症とは?あがり症との違いや特徴、克服する方法

対人恐怖症などというと、引っ込み思案な大人に見られる症状かと思われがちですが、そうではありません。幼稚園くらいの小さな子供でも対人恐怖症につながる症状を見せることがありますし、症状が深刻になって、学校に行けなくなってしまう小学生もいます。

親は、子供に対人恐怖症の症状が現れた時に、「もしかしたら対人恐怖症かも」と考えられるだけの知識を持っておくことが肝心です。今回は、対人恐怖症の人に見られる症状やあがり症との違い、対人恐怖症を克服する方法をご紹介します。

対人恐怖症とは

対人恐怖症とは、知らない人の前では、泣いたり、かんしゃくを起こしたり、心臓がドキドキしたり、顔が赤くなったり、手が震えるなどの特徴が現れる不安障害のひとつで、自分のそのような特徴が周りの人を不快な気持ちにさせてしまうのでないかとの恐怖が継続することをいいます(注1)。

不安な表情の少女

これらの症状は、恥ずかしい思いをしたときや強く緊張した時に突然現れたり、緩やかに表に出てくる場合があります。子供の様子が普段と違う、みんなと違うと感じたときは、早めの対処が必要です。対人恐怖症の症状ではないかと考えてみるようにしてください。

子供の対人恐怖症を克服する接し方

子供に対人恐怖症の傾向が見られたら、親は何をすることができるでしょうか。単に「自信を持って堂々としていれば良いんだから」とか、「あなたが思っているほど、誰もあなたのことを見ていないよ」などと言っても、その場しのぎにはなっても、子供の対人恐怖症を根本から解決することにはなりません。

子供の対人恐怖症を解決するには、多少時間がかかっても、子供に愛されているという実感と自分自身に自信を持たせることが必要だと言えるのです。ひとつひとつ、子供の対人恐怖症を克服する接し方を試してみて下さい。

小さな成功体験を積み重ねる

子供の頭をなでながら褒める母親

「今日はおねしょしなかったね」「○○ちゃんと遊べたね」「○○ちゃんとおしゃべりできたね」「上手に絵が描けたね」など、できたことをほめてあげてください。

どんな小さなことでもいいのです。ほめられたことが「自分はできるんだ」と自分に対する自信へとつながっていきます。

他の子と比べない

「○○ちゃんはちゃんとできるのに…」などと比べてはいけません。たとえ他の子より上手にできなくても、他の子は他の子と割り切りましょう。その子にはその子ができる何かがあるはずです。

子供のいいところを見てあげてください。もし、他の子と比べて劣っているところがあるなら、「そのうちできるようになる」と楽観的に考えるのがいいでしょう。

こうするべきをやめる

少女から成長してスーパーマンへ

親の理想を子供に押し付けるのはやめましょう。「いい大学に入ってほしいからもっと勉強して」「箸の持ち方が違うでしょ」「5時になったらお風呂に入りなさいって言ったよね」などと、親の都合や理想を押し付けても、子供は息苦しさを感じてしまいます。

「こうでなければならない」という固定概念は、小さな子供にとって酷なだけでなく、親の愛情がゆがんで伝わるだけで、なにもいい事はありません。

行き先を示すのではなく帰るところがあることを示す

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「人前でスピーチをしても絶対にあがらないから、大丈夫よ!」と言って子供を送りだすのも良いですが、いくら親が絶対と言っても、子供が緊張して失敗してしまうことを避けることはできません。

人前に出ていくことに対する不安を解消するのではなく、失敗して帰ってきても温かく迎える場所があるということを子供に覚えさせることが先決なのです。

「うまく行くと良いわね!うまく行っても行かなくても、今日はあなたが好きな○○を作るから、一杯食べてね!」と結果ではなく、人前で話したという事実に対して親が子供を誇らしいと思っていることを伝えるようにしてください。

回り道でも、子供は親が自分を誇りに思っているということを自覚すれば、自分自身に自信が持てるようになり、他の人とも自信を持って接することができるようになるのです。

対人恐怖症が見られる状況

ここでは、子供の対人恐怖症に見られる具体的な状況を見ていきます。対人恐怖症の症状が見られる状況は人により違いますが、お子さんに当てはまることがないか、チェックしてみて下さい。

学校で孤立する少女

一人ぽっちと感じるとき

大勢の中に入ると、自分以外の皆が仲良さそうに感じ、どのように他の人に話しかけたり距離を取ったりしてよいか分からないという人がいます。もちろん、人がたくさんいるということは、その中には一人で過ごしている人も何人もいるということですが、「自分だけ一人ぼっち」と考えてしまうことが精神的な病と言えるでしょう。

初めて会った人や慣れ親しんでいない人と話すとき

家族や仲のいい友達とは自然に話すことができても、初めて会った人やあまり慣れ親しんでいない人と話すときに過剰に緊張してしまいます。相手の目を見ることができなかったり、手のひらや脇の下に大量の汗をかいたり、顔が赤くなったりします。

人前では頭が真っ白になる

知らない人とでもスムーズに話すことができるのに、大勢の前に立って話すことは苦手という人がいます。話す内容を準備していても、人前に立つと頭が真っ白になって、何を話せばよいのか分からなくなってしまったり、声が震えたり、明らかに緊張していると分かる程度に声が高くなったり、時にはかんしゃくをおこしてしまうことがあります。

不意に話しかけられる

自分から話しかけることはできても、人から話しかけられることは苦手という人がいます。不意をつかれて話しかけられると、声が上ずってしまったり、相手の顔を正面から見ることができなかったり、流れるほどに大量に汗をかいたりすることもあります。

手元を見られる

あまり親しくない人と一緒に食事をしたり、それほど親しくない人に字を書いている様子を見られたりすることが苦手と言う人がいます。手元を見られていると考えるだけで緊張し、通常の作業ができないことがあるのです。

学校のトイレが使えない

「誰かが順番を待っているのでは」「音を聞かれてしまうのでは」と思うだけで、園や学校で排尿や排便ができないという子供がいます。自分の家のトイレでないと落ち着けないという人や、誰も入ってこないと分かっているトイレでしか用を足せないという人もいます。

目を合わせない

俯く子供

みんなが自分の噂話をしているのではと気になって、他人の視線を過剰に気にする人がいます。また、反対に、自分の視線が他人を不快にさせているのでは、もしくは自分の視線で他人が誤解するのではと考え、なるべく人とは目を合わさないようにする人もいます。

対人恐怖症とあがり症との違い

対人恐怖症は、「社会不安障害」と呼ばれたり「社交不安障害」とも呼ばれます。ですが、呼び方によって大きく意味が異なることはありませんし、言葉の違いが厳密に定義されていることもありません。

一般的には、人前に出ることが単に苦手な場合は「あがり症」、人前に出るだけ、もしくは人前に出ると考えるだけで強い精神的な苦痛を感じる場合には「対人恐怖症」や「社交不安障害」と言うことが多いです。

人前に出ることや人前で話すことが苦手でも、なんとかこなしていくことが出来る人は「あがり症」、苦手なあまり家から出たくないと考えてしまう人は、「対人恐怖症」や「社交不安障害」と区別して考えた方がいいです。

子供が対人恐怖症になるきっかけ

子供が対人恐怖症になるのは、ほんの些細なことがきっかけである場合が多いです。子供をとりまくどのような環境が対人恐怖症を招いてしまうのでしょうか。ここでは、子供が対人恐怖症になるきっかけを考えてみます。

不安に適切に対処してもらえなかった

親の胸に顔を埋めて離れようとしない子供

幼い子供は誰でも、多かれ少なかれ親と離れることに不安を感じます。初めて幼稚園に行く日や初めてのお泊まり保育など、親と離れるという状況に大きな不安を感じるのです。

もちろん、このような分離不安は子供によって感じ方が異なります。「お母さんがいないのはさびしいけれど、たぶん、お母さんがいなくても楽しいはずだから気にならない」と、お別れのときに親を振り返ることすらしない子供もいれば、「お母さんなしで過ごすなんて考えられない。絶対に離れたくない!」と泣き叫ぶ子供もいるのです。

お別れのときに親を振り返ることすらしない子供の場合は問題ありませんが、子供が絶対に離れたくないと泣き叫ぶ場合は適切な対処が必要になります。「もう時間だから」と無理に子供と離れるのではなく、子供の不安に正面から付き合い、子供が納得するまで抱きしめることや、子供の不安を1つ1つ解消することが必要になるのです。

幼いときの不安を抱えたまま大きくなった子供は、自分が持つ不安感の正体がなんであるかつきとめることをせずに、人と会うことに対する不安とすり替えてしまうことがあります。本当は親と離れることが不安であったはずなのに、いつの間にか他人に会うことが不安、他人の前に立つことが不安と感じるようになるのです。

恥ずかしい経験をした

子供のときに人前で恥ずかしい思いを経験すると、不安を強めて対人恐怖症の傾向が強くなってしまうことがあります。

両手で目を押さえて泣く子供

保育園のおひるねの時間におねしょをしてしまった場合。年長クラスなら、もうおねしょをしない子供の方が多くなっていますので、おねしょをするというだけでも充分に恥ずかしい思いをすることになります。

ですが、おねしょをしたことが隣で寝ている子供にもばれてしまって、みんなの前で「○○ちゃんがおねしょした!」とはやされたり、先生が無神経にみんなの前で「○○ちゃん。もう大きいんだからおねしょはダメよ!」と注意したりするなら、子供にとって忘れられない恥ずかしい経験になるでしょう。

からかわれた

小学校高学年や中学生になって、好きな子に勇気を出して告白したことを、告白した本人や周囲の子供たちからからかわれたりしたならどうでしょうか。自分の感情をストレートに表現することができなくなってしまったり、自分の感情を他人に教えることを恥ずかしく思うようになったりする可能性があります。

他人の暴力や失敗を見た

自分自身が恥ずかしい経験や不安を強める経験をしたわけではなくても、周りの子供たちの経験によって、対人恐怖症の傾向を強めてしまうことがあります。

例えば、子供をひどく叱責する親や子供に暴力をふるう大人を見ることで、「人と言うものは怖いもの」と強く印象付けられ、他人と接することを嫌うようになることもあるのです。

また、授業中に当てられてうまく答えられなかった子供が他の子供たちにからかわれている様子を見ることで、「自分もうまく答えられなかったらどうしよう」「もし失敗して、みんなから笑われてしまったらどうしよう」と、不安感を強めてしまうこともあるでしょう。

自分自身に自信を持てないように育てられた

膝を抱いて自分の殻に閉じこもる子供

自分自身に対する自信が持てずに、いつも「わたしは他人よりも劣っている」「みんながわたしを見て笑っている」と考えてしまい、対人恐怖症の傾向を強めてしまうことがあります。これには様々な理由が考えられますが、幼少期に自分自身に対する自信が持てなかったことが関係するのです。

例えば、絵を描いても、「上手にできたね!」と手放しでほめてくれる親の下で育つなら、自分の才能に自信を持ったり、自分が作り上げたものを他の人にも見せたいと考えたりするようになりますが、「これはもうちょっと明るい色で塗った方が良かったんじゃない?」「線が雑だから、何を描いているか分からないわ」などと言われてばかりなら、絵の才能がないと思いこむだけでなく、自分が作ったものや自分自身にも自信が持てないようになってしまうでしょう。

容姿のことをネガティブに言う親もいます。「本当にかわいくないわね」「容姿が良くないんだから、勉強でもスポーツでも何か取り柄を持てるように頑張らなきゃ」などの発言は、女の子はもちろん男の子でも傷つきます。容姿が良くないから他人に愛されないと思いこみ、他の人と交流することを避けるようになることもあるでしょう。

周囲がネガティブな反応を示すことが多かった

どうせ…とネガティブな発言をする女性

お出かけしようとしても、いつも親が、「遅れたらどうしよう」「混んでいたらつまらないよね」と言うなら、子供も常にネガティブな感情を持つようになります。

また、出かけた後も、「きちんと戸締りをしたかしら?」「地図を持ってくるのを忘れた!」などの子供の不安感をあおるような発言ばかりをするなら、子供も何をしても落ち着かず、いつも不安感を抱えるようになるでしょう。

新しいことに挑戦しようとしても、いつも、「失敗したらどうするの?」「わたしは、それを選ぶことはオススメしないけど」などの足を引っ張るような発言をするなら、子供も新しいことに挑戦しようという気持ちを持ちにくくなります。そのため、外に出ることを億劫に思うようになったり、他の人と過ごすことを避けるようになったりしてしまうのです。

対人恐怖症が現れたサインを見逃さないで!

「人前に出ることが苦手だ」「人前で話すことが嫌だ」と言っている程度なら、単に性格として克服することができますが、「人前に出ると思うだけでお腹が痛くなる」「人と会いたくないから家を出たくない」と言い始めたら、症状が進んできたサインといえます。

親は、子供のサインを見逃さないでください。症状が進めば進むほど、克服するのに時間がかかってしまいます。子供が辛い思いをする時間が長くなってしまいます。日頃から、子供の様子を観察することを意識するようにしてください。

子供の対人恐怖症は特別なことではありません

対人恐怖症と言うと、極度に他人を恐れるようなイメージを持つかもしれません。ですが、人前で自分をアピールすることが苦手な国民である日本人には、けっして珍しい症状ではないのです。

もっと楽に子供に接してください。もし、お子さんが対人恐怖症だとしたら、「人と接することは楽しい」ということを、時間をかけてゆっくりと伝えていってください。

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