礼儀正しい子に育てたい!

礼儀正しい子に育てたい!相手を思いやる気持ちを教える躾

礼儀正しい子はどこが違う?挨拶や他人の家への上がり方などの基本の所作や「挨拶すりゃいいってもんじゃない!」と言いたくなる『ませてイヤな感じ』のする子と礼儀正しい子との違いをチェック!挨拶や所作などのルール・マナーに思いやりの心を兼ね備える礼儀の躾のポイントは親の姿勢にありました。

礼儀正しい子に育てたい!相手を思いやる気持ちを教える躾

我が子に礼儀正しい子になってほしい!上手な導き方を教えて!

子どもが小学生ともなると、育児上の大事な視点が一つ増えます。それは「人としてしっかり育ってくれているかどうか」
幼児期は、健康に育ってくれるだけで万々歳でしたが、学校に行きはじめるとそうはいきませんね。どこへ出しても恥ずかしくない子に育って欲しいと願ってしまいます。

役者の子役の子をテレビで見かけると、しっかりと挨拶や受け答えが出来ていて、思わず感心してしまいますよね。挨拶がきちんとできたり、他所のお家で最低限のマナーを守れていたりすると、「ああ、この子は礼儀の正しい子だな」「しつけがきちんとされているな」と感じます。いったいどんな風に導けば、マナーを守れる礼儀正しい子に育つのでしょうか?

今回は、礼儀正しい子に着目!礼儀正しい子に育てるコツってある?そもそも礼儀正しい子はどんなことができる子なの?何だか気になってしまうくらい礼儀正しい「礼儀正しすぎる子」に弊害はないの?など、いろいろな面に迫ってみましょう。

上手にできるかな?礼儀正しさが光る所作

挨拶をして下校する元気な男の子

まずは、礼儀正しい子とはどんな子なのか、例をいくつか挙げてみましょう。

「こんにちは」「さようなら」基本の挨拶ができる

Point1◆いつでも、だれでも

どんな人に対しても変わらない態度を取ることができる子は、好感が持てますね。
「あの人は、いつも怖いから挨拶しておこう」なんて思ってするのは、本当の礼儀正しさとは言えません。怖い目上の人でも、近所のおじいちゃんおばあちゃんでも、知っている相手ならば外で会ったらきちんと挨拶できる子。これが正解でしょう。

Point2◆笑顔

ぶっきらぼうな表情だと、せっかく挨拶をしてもその力は半減です。ムスッとした挨拶よりも、笑顔で挨拶をする方が好感を持てるのは言うまでもありません。

Point3◆相手に届く声

挨拶には笑顔が必要なのと同じように、相手に届く声でハキハキと挨拶することも大切です。
小学校高学年にもなると、気恥ずかしさが勝って、ごにょごにょと挨拶する子が出てきますが、そんな様子もなくしっかりと挨拶できる子は、優秀ささえも感じますね。

「ありがとう」「ごめんなさい」が言える

人との付き合いの中で、「ありがとう」や「ごめんなさい」は必ず言えなければならない言葉です。素直にこれらが口に出せる子は、「きっと親御さんが普段からそうしているのだな」という良い印象与えます。

大人になって「ありがとう」や「ごめんなさい」がなかなか口に出せずにいる人は、少なくありません。小さい頃に、ぜひ素直に感謝や謝罪ができる習慣をつけておいてあげたいものですね。

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友達の家への上がりかた

友達の家でゲームをする仲良し兄弟

マナーや最低限のルールが守れていると、しつけがきちんとされた礼儀正しい子に見えます。お友達のお家に上がらせてもらうときこそ、その子がどんな子なのかが見えてきますよ!

Point1◆おじゃまします

できた方が良い挨拶の一つです。お家へ上がらせてもらうときには、「おじゃまします」の一言が相手に好感を与えます。小学生くらいになればできて当然、幼稚園児ならマナーをよくしつけられた子だと感心するでしょう。

Point2◆靴や上着を脱ぎ捨てない

お家でやっていないことを、よそのお家で完璧にできるなんてことはありません。靴を適当に脱ぎ散らかしたり、脱いだ上着をそのままにしたりしていると、当然お友達のお家にあがったときにもそうしてしまうでしょう。脱いだ靴は綺麗に揃えて、上着はきちんとたためる子になってほしいですね。

約束を守る

「5時までに帰ってこようね」「外で暴れ回るのはやめようね」こう言った約束事を守る子も、自分を律することのできるきちんとした子だという印象を受けます。
子どもは本来自由で気ままな存在ですから、そのときが楽しければ善悪関係なくやってしまうものです。それを越えて、ルールや約束事が守れるというのは、とても高度なことなのです。

「決まりごとは絶対に守らなきゃいけない」ある種の強迫観念から約束を守るのとは少し違います。親や怖い大人から言われたからそうする、のではなく、ルールを知った上で自分の意思を持って約束を守れることが大切なのです。

親が鏡!礼儀正しい子になる魔法の導き方

お子さんを礼儀正しい子に育てるためには、パパママたちの関わりが大切だということは言うまでもありません。それどころか、礼儀やマナーなどのしつけ面に関しては、何より「親が鏡」!親がそうしていると、子どももいつの日か自然にそうできるようになるものです。逆に言うと、親が出来ていなければ、子どもも当然できないと思っておきましょう。

我が子を礼儀正しい子に導く最短の方法、それは、パパママがしっかりと見本を見せること、それに尽きるのです。

道で知っている人に会ったら挨拶をしよう!

友達と手を繋いで遊びに行く女の子

まずは挨拶が基本です。道で知っている人に出会ったら、積極的に挨拶をしましょう。小さい子は、パパやママがしていることをよく見て過ごしています。2〜4歳くらいまでの子なら、真似っこの延長ですぐに挨拶の習慣がつくようになるでしょう。

挨拶が恥ずかしい…もじもじ照れ屋な子供へはどう教える?

ハキハキと挨拶ができるような社交的で闊達な性格のお子さんは、そんなに苦労せずに挨拶ができます。しかし、もともと恥かしがり屋なお子さんは、挨拶できるようになるにも時間がかかります。
知り合いのおじさんやおばさんに会ったとき、ママの後ろでモジモジ…。なかなか挨拶するまでに至りません。

ついつい注意をしたり叱ったりしてしまうでしょうが、無理強いをするだけならかわいそうかも。まずは根気よく、人に会わせることを続けていきましょう。そしてパパママが、率先して挨拶をします。
相手の方から「挨拶出来てえらいね!」と言われると、徐々に自信がついていく子もいるようなので、事情を知る知人の方なら協力してもらっても良いかもしれませんね。

それでも人見知りが激しくて、挨拶ができない子もいます。
小学校高学年にもなって挨拶ができないというのは、さすがに今度は本人のマナーの問題になってきますので、なんとかその頃までにはできるようにしてあげたいものですね。
とはいえ、極度の人見知りの子どもの中には、稀に『場面緘黙』と言って、ある特定の場面になると言葉が全く出なくなってしまう子もいます。いずれにせよ、挨拶ができないと怒るのではなく、本人の様子ながら気長に待つ姿勢で教え続けていくことが大切でしょう。

パパとけんかしたら素直にごめんなさい

パパとの喧嘩では、どうやって仲直りしていますか?幼稚園児にもなれば、パパとママの不穏な空気はすぐに察するもの。子どもは意外といろんなことを知っているのです。

仲直りするときには、子どもがいるところで「ごめんね」と言ってみませんか?そうすれば、子どもは人間関係の修復の仕方を肌で覚えることができます。もしかすると、お友達との仲直りで「ごめんなさい」が素直に出るようになるかもしれませんよね。

ルールやマナーがあることは時間をかけて教えていこう

性善説や性悪説など、子どもの捉え方は様々ですが、どれにも共通して言えるのは「子どもは善悪の判断を知らない」ということです。スーパーで暴れてしまう2歳児も、お友達の家で好き放題やってしまう3歳児も、まだそのルールやマナーを知らないのです。
とはいえ、2歳児も3歳児も大人と同じ人間ですから、年相応にルールやマナーは教えていかなければなりません。

公共の場と自分の家の区別

幼稚園児頃からは、家の内と外の世界が違うことを教えてあげるようにしましょう。公園やスーパーなどの公共の場では、マナーを守れない人は自分が不利益を被ります。
幼いうちはそこまでわからずとも、まずは公共の場と自分のお家との過ごし方の区別がつくようにしていきましょう。

子供同士の遊びの中の約束事を通して『ルール』を知る

子どもの世界にも、もちろんルールやマナーがあります。ルールや約束事が存在するということは、子どもたちの遊びの中で知ってもらえるといいですね。「すべり台の順番を守る」「人の使っているおもちゃを突如はく奪しない」など、まずは子どもの世界で、ルールの存在を教えていきましょう。

「礼儀正しい子」に育てたくて…間違った躾の危険性

礼儀正しい子に育てたい一心で、それが間違った方向に向かっていくと、誤ったしつけで子どもを萎縮させてしまう可能性があります。そうならないために「礼儀正しい子」に潜む、表裏一体の危険性も知っておきましょう。

萎縮した子になるような間違った躾

ママに怒られて号泣する男の子

礼儀正しさを重視しすぎると、どうしてもしつけが厳しくなってしまいます。そうすると、親の怖さに萎縮して、逆に何もできない子になってしまう場合があります。

感情的に怒るのは『躾』ではない

感情的に怒ると、行儀やルールの意味は関係なく「怖いから」従うようになります。
一見すんなり約束事を守っているように見えますが、本人の心の中でそれは『全く理由の分からないルール』なのです。
『親が怒った→行動をやめる(または何かをする)→親は怒りを鎮める』この繰り返しで、子供は思考しない癖がつき、これから必要となる様々な判断も自分でできない―――といった大きな弊害が生まれます。怒って子どもを思い通りに動かそうとするのは『躾』とは言い難いものがあります。

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失敗をとがめる

小さい頃に失敗はつきもの。ママはその後始末にうんざりする日々でしょうが、失敗を咎めてばかりいると、自分は失敗ばかりをするダメな子だと本人が思うようになります。
子どもは安心や自信を武器にいろんなことに挑戦します。そしてその自信とは、失敗を経験して生まれるもの。自信も培われないまま、また失敗するのではないか?失敗したらどうしよう…と萎縮して、何をするにも弱気になってしまいます。

行儀だけを教えて『相手を思いやる心』を教えていない

行儀やマナー、ルールを守ることは大切です。しかしそこに理由づけはなされているでしょうか?例えば、玄関の靴を揃えるのには、整頓する意味もありますし、他の人と靴が混じらず次に履くとき履きやすくする意味合いもあります。

こういった行儀やマナーの後ろには、必ず相手の存在が見え隠れしています。つまり、誰かに迷惑をかけないか、相手も快適に過ごすことができるのか、そう言った「相手を思いやる心」が背後にあるのですね。
行儀の形だけを教えると、簡単に習慣化はするかもしれませんが、そこに意味は介在しません。意味を学んで初めて、自分の心を通して考える子に成長していくとは思いませんか?「礼儀正しい」とは、相手への思いやりの心なのです。

思いやる心を教えない弊害

相手を思いやる心が分からないと、嫌なことを言うと相手がどう感じるかを汲み取ることができないので、言いたいことは遠慮なく言ってしまい、相手のことを傷つけてしまうことがあります。

子供だから許されると言うことではなく、子供のころから自分が言われて嫌なことは、相手も言われたら嫌な思いをすることを教えてあげなければいけません。

挨拶すりゃいいってもんじゃない!ませて嫌な感じはどこから?

挨拶ができても、形だけならばいい挨拶とは言えません。子どもがいきなり「先日はお世話になりました。ありがとうございます」と言ってきたら…どうでしょうか?変…というか気持ちが悪いですよね。

そう感じてしまうのは、『覚えたての言葉を意味もわからず使っているのだろう』という大人の経験値あっての先入観とも言えるのかもしれませんが、挨拶は心を表すものです。例えば、プレゼントを嬉しいならその嬉しい気持ちを素直に込めてほしいところ。子どもならばなおさらです。正しい形式よりも、その挨拶に込められた心を大切に教えていきましょう。

将来的な心配

礼儀の形やうわべばかり厳しくしつけていっても、心は豊かに育ちません。思いやりの心が十分に育たなければ、世界は自分中心に回っていると思うでしょうし、相手の気持ちを汲み取ることもできないばかりかその価値観すら育ちませんよね。

大人の望む姿ばかりを追いかけていないか

礼儀正しいことは本来いいことなのですが、その理想像ばかりを追いかけて、子どもが置いてけぼりになってはいませんか?
しつけと子どもの言動コントロールは似ています。しつけをしているつもりで、実は子どもをコントロールしていただけなんてことになると、そのしつけの意味は皆無に等しいでしょう。自律のためのしつけなのに、反対に何もできない子を育ててしまっていることにならないように注意が必要です。

のびのびとした子どもらしさは最も大切

のびのび成長している男の子と女の子

いくら礼儀正しくとも、子どもらしさまで失ってしまうようでは何を育てているのかわからなくなります。そもそも子どもは、善悪の判断を知らずに、自由にいろんなことを試してみたくなる生き物。
その子たちが少しずつ大人たちの世界で生きていくために、挨拶を持って他者とコミュニケーションを交わし、順番を守る必要を知りながら人間関係を育むための礼儀ですから、今の時点で全て上手にできなくてもいいのです。
ママたちが今の子供に望むのは、決してビシッと決まったビジネスマンのような礼儀正しさではないはず。行き過ぎたしつけはNGです。

元気な子に育てる方法は?健康な心と体の成長を促す育児
元気な子に育てる方法は?健康な心と体の成長を促す育児
元気な子に育てるためには、正しく褒めること・正しく叱ることが大きなポイントとなります。褒めることは自信や価値を見出すのに効果的であり、正しく叱ることで目標に向けて努力するという姿勢が生まれるのです。

子供に本当に教えたいのは形だけでない『思いやりの心』を持つこと

礼儀や行儀が人間関係の要。子供に対してのしつけは親の大切な仕事ではありますが、同時にとても難しさを感じる仕事でもあります。簡単に「礼儀正しい子」に育てられれば苦労しないのですが、一筋縄にはいきませんよね。
挨拶がどうしてもできない子、ママやパパといるときには必ず人見知りをする子、逆に大人び過ぎていてこちら側が心配になるような子もいます。

どの場合にしても、親の私たちが忘れてはならないのは、「何のためにしつけをするのか」「なぜ礼儀正しい子になってほしいか」ということです。

「周りに迷惑をかけるから」確かにそうではあります。「みんなきちんとしつけられていて、うちの子だけ恥ずかしいから」「礼儀正しい方が鼻が高いし、良く見られるから」そう言う面もあるでしょう。しかし、それだけの理由はダメです。

行儀やマナー、ルールは、相手を思いやることそのもの。集団生活や社会生活の中で、相手の人も心地よく過ごすための約束事で、それを身につけていれば、円滑に人間関係を築いていくことができます。反対に、それができなければ、子どもの頃はよくとも、大人になってから社会的に不利益を被ることが出てくるでしょう。

つまり他の人への配慮や思いやる気持ちが形となったものが礼儀やマナー。礼儀やマナーをわきまえた所作を通して相手への気持ちや思いやりを表すのよ、という部分をしっかりと教えていくことは必要不可欠と言えるのではないでしょうか?