自閉症の偏食との向き合い方

自閉症の子の偏食と向き合う|子供の偏食理由や傾向、対処法

自閉症児の偏食はときとしてひどくなることがあります。一体それは何故なのか、何か法則性があるのかなど私たち親が知っておくべき自閉症児の味覚について探っていきます。研究結果を参考にした偏食改善のコツも併せて見ておきましょう。

自閉症の子の偏食と向き合う|子供の偏食理由や傾向、対処法

自閉症児の偏食には理由がある…無理に改善しようとする前に知っておきたいこと

自閉症の子供たちは、幼少期から食にもこだわりがあります。あまりにも強いこだわりのせいで、ママを困らせてしまうこともしばしばあるでしょう。
彼らなりの個性だとは思っていても、ひどい偏食なら栄養面が心配になりますし、親としてどう対応していくべきなのか迷うときもありますね。自閉症の子供の偏食と上手に付き合うために、知っておいたほうが良いことをまとめました。

偏食の理由は2つ。実は子供なりの「感覚」があるから

ブロッコリーをもしゃもしゃ食べる赤ちゃん

自閉症の子供たちは、いろんなことに強いこだわりを持ちます。食へのこだわりもその一つ。その食へのこだわりが強いと偏食がひどくなる傾向にあります。
でも、彼らにもこだわるには理由がある模様。自閉症の子供たちによくある偏食の理由は、概ね次の2つを挙げることができます。

感覚過敏

自閉症の特徴として、感覚が過敏すぎるということが一つあります。これにはもちろん個人差があって、触った感覚が過敏な子、匂いに過敏な子など様子は様々です。程度にも個人差があります。

舌の感覚が非常に優れている子の場合、食べ物を食べるときに、当然私たちよりも多くの情報を得ることになります。プチプチとした食感がある、ザラザラしている、ツルツルしている…など、私たちよりずっと繊細です。そのため、特定の匂いや食感に過敏になり、好き嫌いが多くなるのです。

本人なりのこだわり

自閉症の子供には、その子その子でこだわりが違います。コップは必ず机のこの位置に置きたいだとか、お洋服は絶対この色がいいなど、こだわりの場面は十人十色です。
たとえばりんご自体は食べられるけれども、りんごは皮付きじゃないと嫌!最初にりんごを食べたときに皮付きだったからいつもそうあってほしいという、状況へのこだわりですね。

自閉症の偏食を子供の立場で考える!自閉症の子の偏食傾向

匂いが苦手な男の子

偏食自体に、何か傾向や特徴はあるのでしょうか?よくある偏食の事例をまとめました。

決まった色や形

「白い色の食べ物は好き、でも緑色のものは絶対に食べられない!」―――これは自閉症の子の偏食によくあるパターンです。ご飯や白いパン、うどん、おせんべいなど白い食べ物なら積極的に食べてくれる子は少なくありません。野菜が嫌いなのではなく、色での判断。だから大根やかぶ、卵の白身などは食べるという子も。

また、形にもこだわりを持つ子もいて、そういうケースでは同じハンバーグでも、食べやすいように切ってから出すと本人が激怒して食べてくれなかったり。元は丸くて大きなハンバーグが細かく切られていると、これは違う!と思ってしまうようです。

自閉症の子のこだわりパターンは多岐にわたり、その子によっても傾向が違います。本人の中で何らかのこだわりがあって、決まった色や似たような形の食べ物ばかりを食べる傾向があります。

決まった食材

極端な例では、白いご飯しか食べないというように、決まった食材ばかりを食べたがる場合があります。本人たちなりに、安心して食べられるからでしょうか?好きな食材以外は全部嫌い!稀にこんな時期もあります。

頑固一徹本当に食べてくれない!

白米、りんご、うどん、おかし…これしかろくに口にしてくれない!どうしたらいいの…?子供のひどい偏食には真剣に悩んでしまうものです。ですが、食べることへのこだわりが強い子や、逆に食に興味がない子にとっては、食事は私たちが思っている以上に辛いものなのかもしれません。

療育機関などでは「いろいろな食べ物を無理強いしても改善はしない」との考えから、数少ない食べられるものだけでもいいと指導されるようです。食べられる食材の種類が多ければ多いほど理想ではありますが、食べられるものでお腹を満たすことができれば御の字なのかもしれません。

健康状態が危ぶまれるような偏食のときは医療機関も

中にはどんなにお腹が空こうが全く食べてくれなくてママを悩ませる子も・・・。食事のたびに全力で拒否されては、心配と苦労でこちらがどうにかなってしまいそうになりますよね。

小さい子の食欲や食べるペースにはムラがありますから、一食一食の量よりは、一週間をベースにしてどのくらい食べられたかで見てあげるようにしましょう。2、3 日なかなか食べない日が続いていたとしても、その後しっかり食べる日がやってくれば心配いりません。

しかし、中には長期的に栄養面で偏りが出る偏食をする子もいます。その場合は、いつもかかっているお医者さんで相談し、栄養指導を受けるなどの対応が必要です。

研究でわかった自閉症の子の好き嫌いを覗いてみよう

ピーマンがどうしても食べられない女の子

最近の研究では、自閉症の子たちの食の好みがどんどん明らかになってきています。
自閉症の子どもたちは、食に対して何を最も嫌いに思っているのでしょうか?見た目?味?それとも食感でしょうか?

統計結果からのものですので、もちろん一概には言えず個人差もあるのですが、自閉症の子の偏食の理由は、実は「食べ物の匂い」が一番優勢らしいのです。嗅覚が優れているのかもしれませんね。

食材の匂いが嫌ならば、うどんのほんの少しのネギにも敏感に反応する子どもがいても納得です。
次に多い偏食の理由が飲み込みにくさや食べにくさなど口の中での感覚に関する好み。例えば食物繊維や小さなごまなどの喉にあたる、引っかかる感じや、サラダの水菜など、噛むときにもさもさする食感も嫌われる傾向にあります。

自閉症の人の偏食理由では、飲み込みにくさの次点でやっと食感や色・形・味などの、いわゆる「よくある好き嫌いの理由」が挙がってきています。

偏食を緩和する方法とコツ/家でできる取り組み

偏食を少しでも緩和させたい気持ちは、どの親にとっても共通のことかと思います。自閉症の子の偏食を緩和する方法は、一般的に子供の好き嫌いを改善していく方法と考え方自体は変わりません。次の3つの基本姿勢を確認しておきましょう。

匂いを消す工夫をする

自閉症の子が食べ物を嫌う理由で最も多いのは、匂いです。でも自閉症の有無に限らず、子供は匂いで好き嫌いをする場合が多くあります。納豆はその最たる例ですよね。匂いがダメな食材は、スープの中でコトコト煮るなどして匂いを消す工夫をしてみましょう。研究のデータでは、70%以上の成功率があったと示されています。

口の中で食べやすくする

食べにくいことも、自閉症の子供が嫌煙する大きな理由です。食べ物は咀嚼しやすいように一口サイズに切って出してあげましょう。また、食材を柔らかくしておくのも効果的です。

好きな食感・味に変える

葉物野菜のもさもさ感が嫌いならば、加熱処理して食感を消したり、いつも安定して食べてくれる味付けや好きなレシピの中に入れたりしてあげましょう。
その食材のオーソドックスな食べ方ができなくても問題ありません。ちょっと変な組み合わせでも、その食材を好んで身体の中に取り入れられる方が大切です。

温度に敏感な場合は、食品の食べ頃を調整する

口の中の感覚が敏感で、温かい食べ物を嫌ったり、反対に冷たい食べ物は全く食べなかったりする子がいます。状況へのこだわりで、この食べ物はぬるくないといけない!などと固定観念を持っていることもあります。
その場合は、食品の温度へも配慮してみましょう。本人の食べ頃の温度にして出してみてください。

食べたら褒める

嫌なものでも、食べ続けていると次第に慣れて食べられるようになることってありますよね。もし本人がその食材を嫌がっている理由が、強い感覚過敏によるものではなさそうな場合、慣れや経験によって食べられるようになることも十分に考えられます。

食べず嫌いのままになっているなどの食材は、一口でも頑張って食べるように促してみましょう。もしも少しでも食べることができたなら、しっかり褒めてあげます。

好きなものだけでまずは完食

親が理想とする食事量や、食べて欲しいと願いを込めたメニューは、身体のためを思うと栄養バランス的にも良いのかもしれませんが、逆に本人の食べる意欲を削いでいるかもしれません。

子供にとって、何事も「やりきった!」という達成感は自信に繋がります。食事も例外ではありません。
おそらく、偏食の激しい子は完食する達成感をあまり感じられていないはず。まずは好きなものや本人が安心して食べられる食材・量だけでもいいので、完食することを通して、食べられる自信をつけてあげましょう。

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こんなときはこうしよう!自閉症児の偏食対策

ママ手作りの愛情弁当

自閉症の子供がお家の外でご飯を食べるシーンといえば、学校での昼食ですよね。お弁当のときには好きなものばかり入れても構わないのか、給食は食べられるのかな…?など、不安点と対策を考えましょう。

お弁当のとき

遠足などでお弁当が必要なとき、もしかするとママの方がその状況に身構えてしまっているかもしれませんね。栄養バランスももちろん大切ですが、できるだけ楽しく食べられるように、好きなものをたくさん入れてあげても構いません。

それよりも、慣れないお弁当だからという理由で拒否してしまわないように、事前にお弁当を食べる練習をしておく方が大切です。お弁当を袋から出して、ふたを開け、スプーンを持って食べる。この一連の動作を確認しておくだけで、本人の遠足へのハードルも下がることでしょう。

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給食のとき

支援学校や支援学級では、ご家族と相談の上に、先生方がその子その子の状況に合った対応をされています。給食も何が何でも食べられるようにならなければ!というのではなく、今日は一口でも頑張ってみたり、見た目だけにこだわりがあるのなら隠して別の形にして食べるよう促してみたりと、本人がパニックにならない程度に改善を試みているようです。

給食は家庭の味とは異なるため、普段食べられるものが食べられなかったり、反対に食べられたりと、いつもとは違う揺らぎがあるものです。給食だからと気負いする必要はありません。まずは学校の先生に任せて、本人の食べ具合を見てみましょう。

偏食に対する最近の考え方

偏食気味の仲良し姉妹

自閉症の子の偏食が酷いと、ついついマイナスに捉えてしまうのではないでしょうか?これは親としては自然なこと。栄養面や成長発達のことを考えれば、少しでもいろんな種類のものを食べてもらいたいと思うものです。親だからこそ、躍起になってしまう部分は大きいはずです。

ときに、自閉症の子供は最高にグルメな舌を持っていると形容されることがあります。「うーん、深い!」と思われたママ、いらっしゃるのでは?
自閉症の子供は、ある感覚がとても鋭いかもしくは反対にとても鈍感な部分があります。それが如実に食に出た場合、偏食という形に現れるのですが、これはある意味本人にはどうしようもないことであるのを、こちらは理解しておかなければなりません。

私たちが美味しいと思って飲んでいる味噌汁が、自閉症の子にはただの苦い汁に感じているかもしれません。シャキシャキとした食感が美味しいきゅうりや葉物野菜は、じゃりじゃりの舌触りの悪い食べ物に感じているのかもしれません。自閉症の子の舌はとっても繊細なのです。そう考えれば、本人なりの味覚や感覚があることを理解できるのではないでしょうか?

もちろん、栄養面などを考えて、偏食を少しでも改善していくことは大切です。偏食改善の見込みは、自閉症関係なく十分にあります。以前は食べられなかったものでも食べられる食材にしていけると、本人にとっても大きなプラスになるでしょう。

自閉症の子はいつから頃から偏食始まる?

自閉症の子供の偏食が始まる時期は、目安となるものはありません。
離乳食時代からひどい偏食が始まる子もいれば、それまでは比較的なんでも食べていたのに4歳くらいから突然始まる子もいます。こればかりは個人差というしかありませんね。

また、自閉症だから必ず偏食がひどくなるというわけではなく、自閉症特有のこだわりの強さや感覚の鋭さが偏食を起こしやすいという認識の方が正しいでしょう。
栄養が足りていなくて心配なママがいる一方で、本人が好んで食べるものが高カロリーなものばかりで肥満が心配なママもいます。

いつ頃落ち着くの?

普通、子供の偏食は、食べる経験が豊かになることや味覚が発達することによって次第に緩和されていきます。ですが、自閉症の子供の場合は、もともと持つこだわりのせいで偏食がひどくなる場合が多いので、落ち着いてくる時期は一概には言えません。

偏食の波はこだわりの波と似たところがあり、本人の中でこだわりが強くなる時期と偏食がひどくなる時期が重なることも少なくありません。精神的に落ち着いている時期には偏食も落ち着くこともあります。

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子供の好き嫌いは栄養が偏り成長にもよくないばかりか性格にも影響がでると言われています。年齢ごとの好き嫌いの直し方、トマトやピーマンなど嫌いな野菜を調理の仕方で克服する方法です。

自閉症の偏食には本人のこだわり以上のものがある。でも改善の余地ももちろんあり!

偏食や好き嫌いというと、わがままや躾の問題というイメージが付きまとってしまい、周りから見るとただただ「大変ね」の視線が痛く感じることもあるかもしれません。
しかし、自閉症の子の偏食には、本人の嗜好やこだわりを超えた理由があります。感覚の鋭さや鈍さは、本人や私たちにはどうしようもないこと。

本人は、その感覚を持って日々の食事を進めていかなければなりませんし、私たち親は、少しでも美味しく食べてもらえるように工夫するしかありませんが、偏食は全く治らないものではありません!

食材や食品に慣れていくことで改善は十分に見込めますし、幼少期は食に対して全く興味がなくても、大きくなってからいろんな食材が一気に食べられるようになった話も聞きます。そう考えると、自閉症児の偏食は他の子とそう変わりないのかもしれません。普通よりグルメな子を持ったと思って、ゆっくりとおおらかにいきましょう。

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