子供会の活動を通して得るもの

子供会は必要?薄れつつある存在意義~親と地域が守っていたもの

現代にはかかわりを持たない家庭も増えている『子供会』ですが、入会が半ば強制のケースもあり問題となってしまうことも…子供会は現代社会で必要なのか、子供会の役割や活動内容、子供のいる家庭にとってのメリット、デメリット、実際のトラブル事例を通して子供会を考え直してみませんか?

子供会は必要?薄れつつある存在意義~親と地域が守っていたもの

子供会は必要?メリット・デメリット

突然ですが、あなたの子供は、子供会に入っていますか?
「子供会にはもちろん入ってますよ、子供が近所のお友達と一緒に楽しく活動しています」という人から、「昔は入っていたんだけど、いろいろあってやめました」、あるいは、「行事が多くて大変だし本当はやめたいんだけど、なかなか言い出せなくて…」という声も聴きます。

地域に昔からあって当たり前だった子供会ですが、どのような団体なのでしょうか?入ることで得られるものとは? 子供会を巡るトラブルの実例や回避する方法、楽しく活動するポイントなど、ここでは知られざる子供会の実態について解説していきます。

子供会とは?その成り立ちと趣旨

子供会の冊子を読むママ

そもそも、子供会とはどのような団体なのでしょうか?
子供会の歴史を見ると、なんと江戸時代の寺子屋の頃までさかのぼるといいます。ですが現在の子供会の流れができたのは、戦後まもなくのことです。紆余曲折を経て現在の子供会は「公益社団法人全国子ども会連合会」という全国的な組織が母体となっています。

それによると、子供会は住んでいる地域の乳幼児~高校3年生の年齢相当までの子供たちで構成される異年齢の子供の集まりであり、主役はあくまで子供たち。そこに、保護者や地域の大人たち(育成者・指導者と呼ばれる)などが運営のサポートにまわります。子供たちに主体的に活動してもらうため、育成者はあくまで見守り役というスタンスです。
規模も、十数名の小さなものから、100名を超える大規模なものまで実に様々です。また、地域によっては「〇〇子供会」「〇〇クラブ」「〇〇少年団」というように名称も異なります。

子供の心身ともに健全な育成を地域全体で支えていこう、というのが現在の子供会ができた当初からの目的であり、趣旨といっていいでしょう。

一年間の活動内容から見る子供会に入会するメリット

子供会にはどのような活動があるのでしょうか?これは、子供会の規模や活動方針によって多種多様です。多くは子供たちの興味関心、心身の健やかな成長や発達に合わせた活動が中心で、【社会的なもの・文化的なもの・体育的なもの】などに分類されます。

子供会の様々な活動を通して得られるメリットは大きい

集団下校する子供会の小学生

子供会では年間を通していろいろな活動を行っていますが、どこの地域の子供会でも以下のような活動が主であるようです。

  • 社会的なもの…たとえば季節ごとの行事に合わせたイベント、ひな祭り、七夕祭り、クリスマス、新年会など。廃品回収や地域清掃などのボランティア活動も含まれます。
  • 文化的なもの…音楽会、映画鑑賞会、創作活動など。
  • 体育的なもの…ソフトボール大会、サッカー、運動会など。

夏休みの◯◯も子供会の活動だった!

小学生の夏休みの思い出に、ラジオ体操がありますね。実はあれも子供会の活動のひとつです。
毎朝眠い目をこすりながら近くの公園に向かい、みんなでラジオ体操。ハンコを押してもらったり、最終日にはお土産をもらった記憶を懐かしく感じる方もいると思います。身近なところに子供会活動があったんですね。

ですが、私たち親世代が子供だったときは『ラジオ体操は何としてでも行かなければならない!』という感覚がありましたが、現在では夏休みにはラジオ体操カードはもらうものの、放置…という子が大半である地域も…。
ですが、ラジオ体操のために無理にでも早起きして、なあなあになりがちな夏休みの生活の中、生活リズムの規律、強いては心身の健康をもコントロールしてもらっていた面も確かにあると思うと、意味のない活動と風化させてしまうのは少々残念にも思います。

地域で子供同士、育成者同士のつながりが持てる

子供会に参加することによって、どんな人が地域に住んでいるのか、お互いの顔が見える間柄になります。
例えば子供たちの登下校や近所で遊んでいる様子を地域全体で見守ることで、犯罪防止はもちろんのこと、万が一の災害時には、無事の確認が取れやすいなど、セーフティネットの役目も担えます。

多世代の交流が子供の心やコミュニケーション力を育てていく

下校後の子供会のイベントについて話し合う小学生

子供会活動は、基本的には子供たちのなかでも年長者が年少の子供をサポートするスタイルが主流です。例えば、子供会において年下の子供たちがゲームを巡りけんかをした場合、仲裁に入るのは年上の子供たち。親や地域の育成者はその様子を見守り、ときには間に入ることも必要ですが、子供たちのことは子供たちで解決できるように促すのが役目です。

特に最近は少子化の影響もあって、兄弟のいない子供も多く、年齢の異なる子供と交わり遊ぶ機会が失われつつある中で、子供たちにとってもこうした経験が人間関係などにおけるトラブル発生時の問題解決能力を鍛えていくことにもつながるのではないでしょうか?

また、子供会の活動は、同時に地域の行事と併せて行う場合もあり、多くの年代の住民が関わる地域コミュニティの1つともいえます。

子供会とは、隣の人が誰かも分からないという現代において、子供同士のみならず、多様な年齢、多様な立場の人との関わりを通し、コミュニケーションを積み重ねて得られる人間関係、信頼関係を築いていくといったこれから先を生きる子供にとって大切な経験ができる環境と言えます。

学校と子供会活動の違いと意義

子供を集めて管理し、集団の中で社会性を身に付けていくという側面は『学校』にもあります。しかし、学校はあくまでも学習が主体。学校では、同じクラスや学年単位で過ごすことがどうしても多くなりがちですし、子供会ほど『コミュニケーションを積み重ね人間関係、信頼関係を築いていく経験ができる』わけではありません。

子供会とは、いわゆる学校では学ばない『これから先を生き抜くコミュニケーションスキル』を育んでいける場。そういう意味でも、子供会で様々な年代の子供たちが交流し成長しあう意義は大きいといえます。

子供会に入るデメリット

一方、子供会に入ると大変、というのは、主に育成者と呼ばれる保護者からの声です。
その多くは、子供会における活動量の多さと、人間関係のトラブルが生じがちな時代背景によるものが大きいようです。

忙しい親と子供…『活動が活発な子供会』の両立が困難な時代背景

子育てと仕事を両立するママ

家族が住む地域コミュニティのなかに子供会があるという前提上、忙しいからというだけで子供会を避けることは、実際には難しいといえます。

子供会活動の話し合いや、それを支える育成者による役員会が定例化している地域は、その時間を確保するのに苦労しているようです。残業、親の介護などで夜間は家を空けられないという家庭だってありますよね。
また、子供たちが各々塾や習い事、少年団などに入っている場合も多いために、子供会の運営に携わる子供が限られるという事情もあります。

地域によって子供会への入会が強制的

このような時代背景において子供会を存続させるべく、地域によっては『子供がいる家庭』は強制的に子供会への入会を迫られる場合があるといいます。
本来、子供会への参加は任意ですが、運営上「全員入会」を促され、やむを得ず入ったという実態も少なくないようです。

また、一度入ると会議や行事の準備に追われる、何年かすると役員が必ず回ってくるので面倒、という声も聴こえてきます。ちなみに、育成者による役員は、地域によりますが主に小学5・6年生の保護者が引き受けるところが多いようです。ほかに、くじ引きや前任者からの指名制などもあります。

活動できない人がくじで役目が当たり、運営に支障をきたすなど、トラブルの原因にもなっています。

ライスフタイルの変化に伴って変えるべきものもある?

子供会は必要。しかし運営に関しては検討の時期にある。
こうしてみると、子供会の必要性は感じつつも、実際の活動や運営方針に関しては、ライフスタイルの変化に伴い、様々な面から転換期を迎えているところかもしれませんね。
しかし、強制的に子供会を存続させるような方法はいつまでも持ちません。皆が忙しい『現代』に合った『子供会』の在り方を模索するべきときなのではないでしょうか?

子供会会費への不満

子供会を運営するための会費は、規模や人数、イベントの内容によってさまざまですが、月々数百円~1000円前後のところが多いようです。

徴収方法も、子供会の役員が各家庭を回ることもあれば、町内会費などに含まれる場合もあり、一概には言えないのが実情です。中には、子供会活動に参加していない家庭に、子供がいるからという理由で徴収されている例もありました。教育費などで頭を悩ませている親世代には、痛い出費かもしれません。

子供会で起こった実際のトラブル事例と解決策

実際に子供会活動を巡って起きたトラブル、解決策について調べてみました。ここでは子供編、大人編に分けて解説します。

子供のトラブル編

子供を子供会の行事に送るママ

登校班に入れてもらえない

子供会のなかには、小学校への登校班を作り集団登校するところがあります。年長者が年少者を見守りながらの登校は、安全・防犯の意味でも安心感がありますね。
しかし、子供会には地域の子供たちの安全を見守る役目もあるため、学校や自治体が任せてしまっている場合があることも一因となって、子供会に入らない子供はこの登校班に入れない、という事例があるのです。

万が一登校中に事故が起きてはなりませんし、子供会への参加に関わらず、子供の安全を第一に考えての集団登校が望まれますね。

子供会行事に参加できない

子供会に入らない場合、多くは子供会で企画する地域イベントに参加することができません。よって子供会が活発な地域では疎外感を味わう子供が出てきます。近所の子供たちが楽しそうに遊んでいるのを横目に、なぜ自分は参加できないのか…確かにこれはかわいそうです。

子供の頃のこうした心の傷は、大人になってもどこか寂しい思い出として残る人もいるようです。
保護者の都合で子供たちの活動を制限することのないよう、子供の立場を汲んだり、子供会の参加について親子でよく話し合うことが大切ですね。

大人のトラブル編

子供会とはいえ、仕切っているのは町内の大人たちです。子供の保護者として、また、町会や子供会の役員として動かなければならないことも多く、トラブルがないとは言えない現状です。

子供会の強制的な入会&退会できない

子供がいる家庭は、幼稚園や小学校入学時に合わせて、地域の子供会への入会を勧められることが多いようです。子供会は法的には任意による団体なので、無理強いすることはできないのですが、「ここは昔から全員入会が決まりなんです」と押し切られるまま、渋々入会するケースもあるのだとか。

もちろん、中には「必要ないから」と断る家庭や、入会したはいいけど、保護者の仕事や子供の習い事など、参加が難しいと途中で退会する家庭もいますが、多くは子供会に入らない、途中でやめるのは、ちょっと勇気が必要ですよね。
転勤族ならまだしも、家を購入してその土地に長く住もうと決めた家庭であれば、悪いことはしていないにもかかわらず、白い目で見られたりすることも…。なかには、子供が意地悪されるのではとストレスを感じている保護者もいます。

子供会を通して、子供に気の合う友達ができたり、様々な行事により楽しい思い出がたくさんできた、と喜ぶこともある反面、家族で行事への強制的な参加があると、ちょっとしんどいと思うこともあるのは事実。
ただ子供会活動は、子供の成長によっていつかは終わりを迎えます。どうせ関わっても数年のこと、その間を楽しく過ごすにはどうしたらいいか、と逆転の発想で乗り切るのも精神的な安定につながるのではないでしょうか?

役員などが必ず回ってくる

子供会や会を支える育成会の役員は、主に小学校高学年の保護者が引き受ける場合が多いのだとか。
低学年のうちは毎年お世話になっていたので、順番なら…と思えばいい方ですが、「うちの子供会は昔からこうだから」というように、やって当たり前的な姿勢では、せっかく子供たちが楽しく過ごすためのいい活動が、義務的で苦痛を感じるものに変わってしまいます。それはとても残念ですね。

子供会の役員の断り方、角が立つ理由&円満にお断りするコツ
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子供会の役員の断り方を伝授!子供会の役員は共働き世帯や小さな子供を抱える家にとって負担となってしまうことも。どうしても仕事が大変、家庭の事情により子供会の役員の引き受けが出来ないあなたを救います!

「お互い様」の気持ちが相互の信頼関係を生む

子供会は面倒だ、煩わしいとブルーになるのではなく、ひとりひとりが子供会の優れた面を探して、子供が喜ぶことなら積極的に協力してみることはもちろん大切です。

ですが、戦後の時代から70年以上が過ぎた現代。ライフスタイルも家族構成も様変わりしているのは事実。昔のままのシステムでは、どこか無理があるのは誰もがどこかで感じるところです。
それぞれの事情も汲んだうえで、どうしても活動ができない事情を持った家庭については、役員以外の協力をお願いするなどの緩和策を講じることで、みんなが気持ちよく、子供たちのための運営に携わることができるのではないでしょうか?

これからの時代に沿った子供会はどんなものなのか、ここから社会全体で考えてみていけるなら素敵ですね。